「また勝手に……」
トモナリは呆れてしまう。
メイリンのことは美人だし、非常に能力の高い覚醒者だと思う。
しかし別に異性として意識はしていない。
まるでメイリンをハオレンと取り合っているように思われても困ってしまう。
「ああ、もう……」
トモナリの思いとは裏腹にブザーが鳴って試合が始まる。
「‘猛虎襲来!’」
ハオレンは始まってすぐスキルを発動させた。
目が金褐色に染まり、頬に虎のような模様が浮かび上がる。
去年は使うことを止められていた狂化系のスキルだが、ハオレンも鍛錬を積み重ねてコントロールできるようになっていた。
相手もトモナリなので怪我させるぐらいの勢いがなければいけないだろうと、ハオレンは最初から全力だ。
「‘スキル重撃!’」
一気にトモナリと距離を詰めたハオレンは偃月刀を振り下ろす。
スキルによってハオレンの一撃は通常よりも重たさを増し、簡単には受けられない破壊力の攻撃となっている。
「‘なっ……!’」
回避するだろう。
そう思っていたハオレンは驚いた。
「なかなかだな……」
トモナリはハオレンの攻撃を正面から受け止めた。
重たい攻撃にトモナリの足元がへこむが、偃月刀を受けるトモナリの剣は少しも押されなかった。
攻撃で怪力をフルパワーで使うと体が耐えきれないことも多く、魔力物質構成と合わせて出力を抑えるようにして使っている。
一方で単純に攻撃を受け止めるだけなら体に負担がかかりにくい。
魔力物質構成で体を保護しながらも、怪力の出力はだいぶ高めにできる。
スキル二つを使ってハオレンもかなりの力で攻撃してきたが、使用者の体のことも考えないような力一辺倒のスキルには敵わない。
「‘ここでお前との因縁も終わらせておこうか’」
いい加減絡まれるのも面倒だ。
団体戦でも力を見せてきたが、個人戦ではより目立つように力を使っていこうと思う。
「怪力、魔力物質構成、弱点看破」
スキルを複数同時に発動させる。
魔力の消費は大きくなって、一つ一つの効果は落ちるけれども合わせて発動される総合的な効果は大きくなる。
「お返しだ」
ハオレンを押し返したトモナリは剣に炎をまとわせて振り下ろす。
今度はハオレンの方が、トモナリの攻撃を正面から受け止める形となった。
「‘ぐうっ!?’」
トモナリのように少しも押されることなく受け止めてやると気を吐いていたハオレンだった。
けれども力強い一撃に押されて、額ギリギリのところで剣は止まった。
まとわれた炎で額が熱を感じている。
「‘この野郎!’」
ハオレンは体を横に動かしてトモナリの剣を受け流す。
「僕もいるのだー!」
偃月刀を振り回してトモナリを攻め立てるハオレンだけど、トモナリは一人で戦っているわけじゃない。
ちゃんとヒカリもいる。
トモナリを攻め立てるハオレンの頭を、ヒカリが後ろから蹴り飛ばした。
ハオレンが振り向きながら偃月刀を振った時にはもうヒカリはいなかった。
「よそ見してていいのか!」
こうして隙ができるとトモナリが攻める。
力の優位性は失われ、トモナリの攻撃ごとにハオレンは焦りを感じていた。
負けるかもしれないという予感が脳裏をよぎって、動きが大きくなっていく。
猛虎襲来も狂化系スキルで能力を大きく向上させてくれる代わりに、理性面でデメリットが起こるものだ。
頭の芯の理性が痺れて、自分が虎にでもなってしまうかのような感覚に襲われる。
理性の制御を失うと野生動物のようにただ戦うだけになってしまう。
ハオレンは何度も理性を失いながら、猛虎襲来のデメリットを制御する術を身につけてきた。
しかし、今のハオレンは負けるかもしれない焦燥感が、理性の制御を少しずつ狂わせ始めていた。
「‘負ける……?’」
ヒカリの攻撃も決して軽くない。
理性をコントロールしたまま、トモナリとヒカリの両方に同時に対処することはかなりの負担であった。
「‘こいつにまた負けるわけには……行かないんだ!’」
ハオレンの頬の模様がより濃くなる。
犬歯が伸びて牙のようになり、鼻にシワを寄せたハオレンは吠える。
「おっと?」
瞳孔も縦に伸びて、まるで猫のよう。
ハオレンの攻撃速度が上がり、勢いを活かした偃月刀の攻撃はかなりの破壊力がある。
おそらく一撃ごとに重撃のスキルも発動させていて、当たってしまえば体の無事はともかく魔道具は耐えられないだろう。
当たらない攻撃全てにもスキルを発動させていたら、あっという間に魔力が尽きる。
回避を続けていればハオレンは魔力が尽きて簡単に倒せるようになる。
ただそれではつまらないとトモナリは思った。
しっかりと力の差を分からせるためにも、ここは正面からハオレンを撃破するつもりだった。
「ようやく発動だ」
トモナリはハオレンの攻撃に剣を合わせる。
ハオレンの方が力負けして偃月刀が大きく弾き返される。
最初の方で発動させていた弱点看破がようやく効果を発揮し、ハオレンの弱いところをトモナリに教えてくれていた。
弱点看破で見える弱点に向けて剣を振る。
力の入りにくいところ、入りずらいところ、体勢的に突かれると弱いところなどを総合的に判断して弱点看破は教えてくれる。
弱いところを突くことができれば、力が弱くとも相手を打ち崩すことができる。
トモナリは呆れてしまう。
メイリンのことは美人だし、非常に能力の高い覚醒者だと思う。
しかし別に異性として意識はしていない。
まるでメイリンをハオレンと取り合っているように思われても困ってしまう。
「ああ、もう……」
トモナリの思いとは裏腹にブザーが鳴って試合が始まる。
「‘猛虎襲来!’」
ハオレンは始まってすぐスキルを発動させた。
目が金褐色に染まり、頬に虎のような模様が浮かび上がる。
去年は使うことを止められていた狂化系のスキルだが、ハオレンも鍛錬を積み重ねてコントロールできるようになっていた。
相手もトモナリなので怪我させるぐらいの勢いがなければいけないだろうと、ハオレンは最初から全力だ。
「‘スキル重撃!’」
一気にトモナリと距離を詰めたハオレンは偃月刀を振り下ろす。
スキルによってハオレンの一撃は通常よりも重たさを増し、簡単には受けられない破壊力の攻撃となっている。
「‘なっ……!’」
回避するだろう。
そう思っていたハオレンは驚いた。
「なかなかだな……」
トモナリはハオレンの攻撃を正面から受け止めた。
重たい攻撃にトモナリの足元がへこむが、偃月刀を受けるトモナリの剣は少しも押されなかった。
攻撃で怪力をフルパワーで使うと体が耐えきれないことも多く、魔力物質構成と合わせて出力を抑えるようにして使っている。
一方で単純に攻撃を受け止めるだけなら体に負担がかかりにくい。
魔力物質構成で体を保護しながらも、怪力の出力はだいぶ高めにできる。
スキル二つを使ってハオレンもかなりの力で攻撃してきたが、使用者の体のことも考えないような力一辺倒のスキルには敵わない。
「‘ここでお前との因縁も終わらせておこうか’」
いい加減絡まれるのも面倒だ。
団体戦でも力を見せてきたが、個人戦ではより目立つように力を使っていこうと思う。
「怪力、魔力物質構成、弱点看破」
スキルを複数同時に発動させる。
魔力の消費は大きくなって、一つ一つの効果は落ちるけれども合わせて発動される総合的な効果は大きくなる。
「お返しだ」
ハオレンを押し返したトモナリは剣に炎をまとわせて振り下ろす。
今度はハオレンの方が、トモナリの攻撃を正面から受け止める形となった。
「‘ぐうっ!?’」
トモナリのように少しも押されることなく受け止めてやると気を吐いていたハオレンだった。
けれども力強い一撃に押されて、額ギリギリのところで剣は止まった。
まとわれた炎で額が熱を感じている。
「‘この野郎!’」
ハオレンは体を横に動かしてトモナリの剣を受け流す。
「僕もいるのだー!」
偃月刀を振り回してトモナリを攻め立てるハオレンだけど、トモナリは一人で戦っているわけじゃない。
ちゃんとヒカリもいる。
トモナリを攻め立てるハオレンの頭を、ヒカリが後ろから蹴り飛ばした。
ハオレンが振り向きながら偃月刀を振った時にはもうヒカリはいなかった。
「よそ見してていいのか!」
こうして隙ができるとトモナリが攻める。
力の優位性は失われ、トモナリの攻撃ごとにハオレンは焦りを感じていた。
負けるかもしれないという予感が脳裏をよぎって、動きが大きくなっていく。
猛虎襲来も狂化系スキルで能力を大きく向上させてくれる代わりに、理性面でデメリットが起こるものだ。
頭の芯の理性が痺れて、自分が虎にでもなってしまうかのような感覚に襲われる。
理性の制御を失うと野生動物のようにただ戦うだけになってしまう。
ハオレンは何度も理性を失いながら、猛虎襲来のデメリットを制御する術を身につけてきた。
しかし、今のハオレンは負けるかもしれない焦燥感が、理性の制御を少しずつ狂わせ始めていた。
「‘負ける……?’」
ヒカリの攻撃も決して軽くない。
理性をコントロールしたまま、トモナリとヒカリの両方に同時に対処することはかなりの負担であった。
「‘こいつにまた負けるわけには……行かないんだ!’」
ハオレンの頬の模様がより濃くなる。
犬歯が伸びて牙のようになり、鼻にシワを寄せたハオレンは吠える。
「おっと?」
瞳孔も縦に伸びて、まるで猫のよう。
ハオレンの攻撃速度が上がり、勢いを活かした偃月刀の攻撃はかなりの破壊力がある。
おそらく一撃ごとに重撃のスキルも発動させていて、当たってしまえば体の無事はともかく魔道具は耐えられないだろう。
当たらない攻撃全てにもスキルを発動させていたら、あっという間に魔力が尽きる。
回避を続けていればハオレンは魔力が尽きて簡単に倒せるようになる。
ただそれではつまらないとトモナリは思った。
しっかりと力の差を分からせるためにも、ここは正面からハオレンを撃破するつもりだった。
「ようやく発動だ」
トモナリはハオレンの攻撃に剣を合わせる。
ハオレンの方が力負けして偃月刀が大きく弾き返される。
最初の方で発動させていた弱点看破がようやく効果を発揮し、ハオレンの弱いところをトモナリに教えてくれていた。
弱点看破で見える弱点に向けて剣を振る。
力の入りにくいところ、入りずらいところ、体勢的に突かれると弱いところなどを総合的に判断して弱点看破は教えてくれる。
弱いところを突くことができれば、力が弱くとも相手を打ち崩すことができる。

