団体戦の熱が冷めやらぬまま個人戦が始まった。
まずは十六歳組からのスタートとなる。
個人戦となると数も多いので広いステージを四分割して四試合同時に行われる。
日本の中で期待の出場者はミヤマエである。
希少な職業を持ち、元々の能力も高い。
トモナリたちとトレーニングに邁進しているし、やる気も気力も共に高い。
アカデミー勢ではないが、ササキも期待されていた。
「問題はやる気だったな」
ササキの能力も高いのだけど、あまり交流戦においてモチベーションが高くない。
本気でやれば勝てそうな相手だったのに、ササキはそのまま負けてしまった。
「ミヤマエの方は……」
「加減を覚えたり、あとはまだ魔力が不足しているな」
「すんません、先輩……」
「しょうがないさ」
日本の一年生たちも頑張ったのだけど、ミヤマエのベスト16進出が最高順位で敗退することとなった。
ミヤマエも実力的にはもうちょっといけそうだった。
しかしミヤマエには大きな弱点があったのだ。
それは燃費が非常に悪いことである。
技一つにしても魔力の消費が大きい。
魔力の制御が甘くて、ただ戦うにしても意外と魔力を使ってしまう。
ミヤマエはそれなりに強いのだけど、連戦向きではなかったのである。
言ってしまえばガス欠になったのだ。
魔力が足りずに負けてしまったのだった。
「ここら辺は経験とレベルアップが解決してくれるさ」
もっと魔力を抑えて戦ったり、相手に合わせる技術は経験していくしかない。
ミヤマエの職業的に魔力も伸びてくるはずだ。
現段階でミヤマエの能力は一気に相手を倒すような短期決戦型になる。
連続して何度も戦っていく方式が合わないことも仕方ない話である。
ベスト16まで残れたのなら結構好成績といっていい。
「今年は中国優勝か」
十六歳組での優勝は中国であった。
相変わらず覚醒者の層が厚い国である。
「先輩頑張ってください!」
「まあ、やるだけやってみるよ」
他の国にマークされていると聞いている。
団体戦ではないものの、一定程度国としての戦略があることは否めない。
勝つことを諦めて、相手の魔力や体力を奪うことに終始する人がいてもおかしくないのだ。
団体戦はくじ引きでトーナメントが決められたが、個人戦は人が多くてトーナメント表を作ることですら大変である。
対戦は電子ルーレットによって決められてモニターに表示される。
恣意的な対戦が組まれることもあり得るのかもしれないが、個人戦で全員がくじ引きしていたら日が暮れてしまうのでしょうがないところはある。
「‘それでは次の試合の出場者を決めましょう’」
同時に行われる四つの試合のうち、三つの試合の対戦相手が決定した。
残るは一試合。
「‘一人目はタン・ハオレン! 中国のエース! 個人戦優勝候補の一人です’」
パパパッといくつもの名前に切り替わっていき、最後に一人の名前で止まった。
中国のハオレンであった。
去年トモナリに対して因縁をつけてきた相手で、今年も食事会の時なんかは睨みつけるようにトモナリのことを見ていた。
態度は悪いが覚醒者としては強い。
「‘なんと!’」
ハオレンの対戦相手が決まり、会場におおっというざわめきが広まる。
「‘ここで優勝候補同士がぶつかることになりました! タン・ハオレンの相手は日本のアイゼントモナリだ!’」
「……マジか」
体力魔力共に元気だろう初戦では、できれば当たりたくない相手であると思っていた。
「…………しょうがないか」
決まってしまった以上対戦を回避する方法はない。
最初から手の抜けない戦いが始まるなとトモナリは軽くため息をついてしまう。
「んじゃ、行ってくるよ」
「頑張れよ!」
「先輩、やっちゃってください!」
対戦が決まったら素早く会場にいかねばならない。
トモナリは控え室を出てステージがある会場に向かった。
「熱気を感じるな」
トモナリが会場に入ると歓声が上がる。
関係者ばかりが集まった去年の観客は比較的静かに試合を見ていたが、ことは完全に試合を楽しみに来た人たちが多くて熱があるように感じられる。
ステージに上がると、先に試合が決まっていたハオレンがもうすでに待ち構えていた。
手には偃月刀を持っている。
見た目でいけば破壊力の高そうな武器である。
「‘逃げずに来たか’」
「‘お前こそな’」
安い挑発をするものだからトモナリも返してやる。
ハオレンは簡単に挑発されて、顔をしかめるように不愉快そうな顔をする。
「‘去年はお前に負けたが……今年はそうはいかない! あの人も見てくれてるんだ’」
ハオレンとは去年の団体戦で戦った。
個人戦では戦うことがなく、ハオレンとしてはそこも納得いかなかったところなのかもしれない。
あの人とはメイリンのことだろうとトモナリは思った。
ということは会場のどこかで見ているのだろう。
メイリンの実力は高いが、トモナリにとってあまり会いたい相手ではない。
「‘今年はお前を倒して俺が優勝する。お前のようなやつではなく俺の方が相応しいのだと証明してみせる’」
ハオレンは偃月刀の先をトモナリに向けて構える。
まずは十六歳組からのスタートとなる。
個人戦となると数も多いので広いステージを四分割して四試合同時に行われる。
日本の中で期待の出場者はミヤマエである。
希少な職業を持ち、元々の能力も高い。
トモナリたちとトレーニングに邁進しているし、やる気も気力も共に高い。
アカデミー勢ではないが、ササキも期待されていた。
「問題はやる気だったな」
ササキの能力も高いのだけど、あまり交流戦においてモチベーションが高くない。
本気でやれば勝てそうな相手だったのに、ササキはそのまま負けてしまった。
「ミヤマエの方は……」
「加減を覚えたり、あとはまだ魔力が不足しているな」
「すんません、先輩……」
「しょうがないさ」
日本の一年生たちも頑張ったのだけど、ミヤマエのベスト16進出が最高順位で敗退することとなった。
ミヤマエも実力的にはもうちょっといけそうだった。
しかしミヤマエには大きな弱点があったのだ。
それは燃費が非常に悪いことである。
技一つにしても魔力の消費が大きい。
魔力の制御が甘くて、ただ戦うにしても意外と魔力を使ってしまう。
ミヤマエはそれなりに強いのだけど、連戦向きではなかったのである。
言ってしまえばガス欠になったのだ。
魔力が足りずに負けてしまったのだった。
「ここら辺は経験とレベルアップが解決してくれるさ」
もっと魔力を抑えて戦ったり、相手に合わせる技術は経験していくしかない。
ミヤマエの職業的に魔力も伸びてくるはずだ。
現段階でミヤマエの能力は一気に相手を倒すような短期決戦型になる。
連続して何度も戦っていく方式が合わないことも仕方ない話である。
ベスト16まで残れたのなら結構好成績といっていい。
「今年は中国優勝か」
十六歳組での優勝は中国であった。
相変わらず覚醒者の層が厚い国である。
「先輩頑張ってください!」
「まあ、やるだけやってみるよ」
他の国にマークされていると聞いている。
団体戦ではないものの、一定程度国としての戦略があることは否めない。
勝つことを諦めて、相手の魔力や体力を奪うことに終始する人がいてもおかしくないのだ。
団体戦はくじ引きでトーナメントが決められたが、個人戦は人が多くてトーナメント表を作ることですら大変である。
対戦は電子ルーレットによって決められてモニターに表示される。
恣意的な対戦が組まれることもあり得るのかもしれないが、個人戦で全員がくじ引きしていたら日が暮れてしまうのでしょうがないところはある。
「‘それでは次の試合の出場者を決めましょう’」
同時に行われる四つの試合のうち、三つの試合の対戦相手が決定した。
残るは一試合。
「‘一人目はタン・ハオレン! 中国のエース! 個人戦優勝候補の一人です’」
パパパッといくつもの名前に切り替わっていき、最後に一人の名前で止まった。
中国のハオレンであった。
去年トモナリに対して因縁をつけてきた相手で、今年も食事会の時なんかは睨みつけるようにトモナリのことを見ていた。
態度は悪いが覚醒者としては強い。
「‘なんと!’」
ハオレンの対戦相手が決まり、会場におおっというざわめきが広まる。
「‘ここで優勝候補同士がぶつかることになりました! タン・ハオレンの相手は日本のアイゼントモナリだ!’」
「……マジか」
体力魔力共に元気だろう初戦では、できれば当たりたくない相手であると思っていた。
「…………しょうがないか」
決まってしまった以上対戦を回避する方法はない。
最初から手の抜けない戦いが始まるなとトモナリは軽くため息をついてしまう。
「んじゃ、行ってくるよ」
「頑張れよ!」
「先輩、やっちゃってください!」
対戦が決まったら素早く会場にいかねばならない。
トモナリは控え室を出てステージがある会場に向かった。
「熱気を感じるな」
トモナリが会場に入ると歓声が上がる。
関係者ばかりが集まった去年の観客は比較的静かに試合を見ていたが、ことは完全に試合を楽しみに来た人たちが多くて熱があるように感じられる。
ステージに上がると、先に試合が決まっていたハオレンがもうすでに待ち構えていた。
手には偃月刀を持っている。
見た目でいけば破壊力の高そうな武器である。
「‘逃げずに来たか’」
「‘お前こそな’」
安い挑発をするものだからトモナリも返してやる。
ハオレンは簡単に挑発されて、顔をしかめるように不愉快そうな顔をする。
「‘去年はお前に負けたが……今年はそうはいかない! あの人も見てくれてるんだ’」
ハオレンとは去年の団体戦で戦った。
個人戦では戦うことがなく、ハオレンとしてはそこも納得いかなかったところなのかもしれない。
あの人とはメイリンのことだろうとトモナリは思った。
ということは会場のどこかで見ているのだろう。
メイリンの実力は高いが、トモナリにとってあまり会いたい相手ではない。
「‘今年はお前を倒して俺が優勝する。お前のようなやつではなく俺の方が相応しいのだと証明してみせる’」
ハオレンは偃月刀の先をトモナリに向けて構える。

