「‘おめでとう、トモナリ君’」
「‘ありがとう、アルケス’」
交流戦という以上、交流もまた一つの重要な要素である。
去年の事件があったために、いくつかの国でゲートを攻略することは取りやめとなった。
なので交流のために交流戦期間中には食事会が開かれている。
今回は団体戦終わりということで、ほんのちょっとしたお祝いがてらに料理も豪華である。
悔しさからか睨みつけるように見ている国や人もいれば、笑顔で称賛してくれる国もあった。
準優勝となったドイツはやや複雑そうだが、大将として戦ったアルケスが笑顔でトモナリに話しかけるから悔しさもありつつ避ける感じではなかった。
「‘改めて、強かったよ。去年の雪辱を晴らすつもりだったんだけどな’」
「‘そっちも強かったよ’」
アルケスもかなり優秀なスキルを揃えている。
このまま成長していけば世界でもトップクラスの覚醒者となれるだろう。
人柄もいいし、正直欲しい人材だなと思うぐらいだった。
ヒカリはキュリシーにまたがって、共にバイキング形式の料理を色々と食べ漁っている。
「‘でもほんとうのところは少しホッとしてる’」
「‘ホッとしてる?’」
「‘まだ君が前にいてくれるんだってことに。キュリシーと一緒に追いかける背中がある……そのことが嬉しいんだ’」
同世代のトップを走る者としての重圧がある。
期待され、みんなの先を行き続けることの息苦しさというものをアルケスは感じることがあったのだ。
でも前を見るとトモナリがいる。
ひたすらに前を見て、重圧になんか負けずに進んでいく戦友がいるのである。
追いかけられるばかりじゃない。
追いかけて、共に戦う人がいることにアルケスは安心感を抱いていた。
同じく魔獣を連れていたりと共通点もある。
「‘君がいてくれるから僕も走れる’」
個人戦がまだ始まっていないので誰がトップになるかは分からない。
しかしトモナリを置いて他に自分の前にいる人はいないとアルケスは思っていた。
前に誰かいたとしても、それは走っているラインが違う。
「‘だけど次は個人戦だね’」
団体戦も何があるか分からない。
一人だけ強くとも五連勝するのはなかなか厳しかったりする。
魔道具の魔法の耐久の範囲内という制限があるので、一人一人が少しずつでも削れば相手を倒せる。
そう言った点で逆転も起こりうるのだ。
一方で個人戦は個人同士の戦いである。
試合ごとに魔道具の耐久もリセットされる。
だが意外な番狂せも起こることがあった。
その理由は個人戦の早さにある。
団体戦は五人同士、勝ち抜き戦となる。
一試合で最低でも五戦。
一年生が五勝するなんてまずあり得ないので六戦以上、ほとんどの場合がもっと多くなる。
連戦する人もいれば、全く戦わない人も出てきてしまう。
個人戦は一戦ずつとなり、試合のペースが早い。
すぐにまた自分の番が回ってくることになる。
魔道具はリセットされるが、自分の体力や魔力は魔道具のようにリセットできない。
前の試合で激しく戦って消耗した結果、次の試合であっさり負けちゃう。
そんなこともあり得ない話じゃないのである。
「‘彼らは君の敵対視してるしね’」
アルケスは食事会の一角にチラリと視線を向けた。
そこにはトモナリのことを睨みつけるようにしている中国の連中がいた。
中国を下したドイツよりもトモナリの方が憎いらしい目をしている。
「‘まあ、当たったら倒すだけさ’」
「‘ふふっ、君らしいね。でも気をつけてね。君は今一番狙われてる存在だから’」
「‘ああ、忠告ありがとう’」
トモナリはニヤリと笑う。
くるなら来やがれとトモナリは思う。
まだ切り札は隠してあるのだ。
「‘ありがとう、アルケス’」
交流戦という以上、交流もまた一つの重要な要素である。
去年の事件があったために、いくつかの国でゲートを攻略することは取りやめとなった。
なので交流のために交流戦期間中には食事会が開かれている。
今回は団体戦終わりということで、ほんのちょっとしたお祝いがてらに料理も豪華である。
悔しさからか睨みつけるように見ている国や人もいれば、笑顔で称賛してくれる国もあった。
準優勝となったドイツはやや複雑そうだが、大将として戦ったアルケスが笑顔でトモナリに話しかけるから悔しさもありつつ避ける感じではなかった。
「‘改めて、強かったよ。去年の雪辱を晴らすつもりだったんだけどな’」
「‘そっちも強かったよ’」
アルケスもかなり優秀なスキルを揃えている。
このまま成長していけば世界でもトップクラスの覚醒者となれるだろう。
人柄もいいし、正直欲しい人材だなと思うぐらいだった。
ヒカリはキュリシーにまたがって、共にバイキング形式の料理を色々と食べ漁っている。
「‘でもほんとうのところは少しホッとしてる’」
「‘ホッとしてる?’」
「‘まだ君が前にいてくれるんだってことに。キュリシーと一緒に追いかける背中がある……そのことが嬉しいんだ’」
同世代のトップを走る者としての重圧がある。
期待され、みんなの先を行き続けることの息苦しさというものをアルケスは感じることがあったのだ。
でも前を見るとトモナリがいる。
ひたすらに前を見て、重圧になんか負けずに進んでいく戦友がいるのである。
追いかけられるばかりじゃない。
追いかけて、共に戦う人がいることにアルケスは安心感を抱いていた。
同じく魔獣を連れていたりと共通点もある。
「‘君がいてくれるから僕も走れる’」
個人戦がまだ始まっていないので誰がトップになるかは分からない。
しかしトモナリを置いて他に自分の前にいる人はいないとアルケスは思っていた。
前に誰かいたとしても、それは走っているラインが違う。
「‘だけど次は個人戦だね’」
団体戦も何があるか分からない。
一人だけ強くとも五連勝するのはなかなか厳しかったりする。
魔道具の魔法の耐久の範囲内という制限があるので、一人一人が少しずつでも削れば相手を倒せる。
そう言った点で逆転も起こりうるのだ。
一方で個人戦は個人同士の戦いである。
試合ごとに魔道具の耐久もリセットされる。
だが意外な番狂せも起こることがあった。
その理由は個人戦の早さにある。
団体戦は五人同士、勝ち抜き戦となる。
一試合で最低でも五戦。
一年生が五勝するなんてまずあり得ないので六戦以上、ほとんどの場合がもっと多くなる。
連戦する人もいれば、全く戦わない人も出てきてしまう。
個人戦は一戦ずつとなり、試合のペースが早い。
すぐにまた自分の番が回ってくることになる。
魔道具はリセットされるが、自分の体力や魔力は魔道具のようにリセットできない。
前の試合で激しく戦って消耗した結果、次の試合であっさり負けちゃう。
そんなこともあり得ない話じゃないのである。
「‘彼らは君の敵対視してるしね’」
アルケスは食事会の一角にチラリと視線を向けた。
そこにはトモナリのことを睨みつけるようにしている中国の連中がいた。
中国を下したドイツよりもトモナリの方が憎いらしい目をしている。
「‘まあ、当たったら倒すだけさ’」
「‘ふふっ、君らしいね。でも気をつけてね。君は今一番狙われてる存在だから’」
「‘ああ、忠告ありがとう’」
トモナリはニヤリと笑う。
くるなら来やがれとトモナリは思う。
まだ切り札は隠してあるのだ。

