「先輩! 俺に行かせてほしいっす!」
やる気満々のミヤマエが手を挙げる。
「俺はどっちでも構いません」
ササキはミヤマエのことをやや冷めた目で見ている。
交流戦には参加するが、あまり積極的な方でもなければみんなと仲良くしたいような人でもないらしい。
「んじゃミヤマエな」
「うっす! 頑張ります!」
「それで……誰が出る?」
「お前は確定で……あとはじゃんけんかな」
「俺もじゃんけんに」
「お前は出なきゃダメだろ」
ユウトはため息をつく。
仮にじゃんけんで負けてトモナリが出ないなんてことになったら、困るのは日本の方である。
ということでトモナリを抜いてみんなでじゃんけんする。
「よっしゃ!」
「負けちゃった」
「出なくてもいいんだけどな……」
「勝ちぃ〜」
結果として負けたのはサーシャだった。
これでトモナリを始めとして、ユウト、ミズキ、アユム、ミヤマエの五人で団体戦に挑むことになった。
「じゃあ……順番だけど……」
ーーーーー
「‘さて、それでは第一試合が始まります!‘」
興行らしく解説や進行役の人もいる。
アウェイクンバトルにおいてMCも務める良い声をした爽やか顔の男性が、戦いの舞台となるステージの上でマイク片手に交流戦を盛り上げる。
「‘第一試合はなんと! 前回優勝の日本とオーストラリアの戦いです! 日本の優勝は運が良かったと言う人もいますが、今年は本当に実力かどうか見せてくれることでしょう。それでは入場していただきましょう!’」
「うわぁ……緊張しちゃうね」
歓声と、少しのブーイングの中でトモナリたちは会場に入っていく。
ブーイングはおそらく去年の結果に対するものだろう。
流石に多くの人の視線を浴びるとみんなの表情も固くなる。
一度真ん中まで行って相手と握手を交わす。
オーストラリアの覚醒者は背も高くてがっしりとした人が多い。
「それじゃあ頼むぞ、ミヤマエ」
「任してください! 俺も先輩に鍛えられましたからね!」
トモナリの時に厳しい指導を思い出せば観客の視線など気にならないとミヤマエは一人、戦いの舞台に向かう。
一般的なステージの大きさどころではなく、普通の陸上競技場でいうトラック全体が戦いのステージとなっている。
なので対戦相手のオーストラリアの控えている選手はかなり遠い位置にいる。
「‘それで第一試合の最初の試合……つまり交流戦そのものの最初の試合が今始まります!’」
ミヤマエは二本の剣を抜く。
相手は槍。
「おお、こんな始まりなのか」
モニターにカウントダウンが表示され、ゼロになると同時に開始のブザーが鳴り響く。
審判もいるが、周りにも分かりやすい試合開始となっている。
「いくぜ!」
試合が始まってミヤマエは一気に突っ込む。
「おらっ!」
突き出された槍を剣で弾いて懐に入り込む。
「結構やるじゃん」
「ミヤマエも強くなったもんだな」
そこからは一方的だった。
相手は槍なので距離を開けて戦いたいが、ミヤマエはそれを許さずピッタリと距離を近づけたまま優位に戦いを進めた。
最後にはミヤマエの剣が相手の脇腹に直撃して、魔道具の限界を迎えた。
ミヤマエの完全勝利となった。
「先輩、やったっす!」
ミヤマエはステージの上で両手を上げ、歓声を浴びている。
「勝った時には気持ちよさそうだな」
観客がいると言うことは勝てば歓声がもらえるのだ。
歓声は勝利の高揚感をより高めてくれる。
そしてそのまま二回戦が始まる。
勝ち残り戦なのでミヤマエが相手の次鋒と戦うことになったのだけど、流石に一年も差があると厳しかった。
それなりに善戦はしたものの、ミヤマエは負けてしょんぼりと帰ってきた。
「それじゃあ行きますか」
「なあ……本当にお前がいくのか?」
「話し合いで決めたろ?」
「そうだけどさ……まあいいか」
「‘次にステージに上がるのは……おやっ!?’」
二番手としてステージに上がったのはなんとトモナリであった。
MCも驚く。
「‘彼は……去年の個人戦優勝者です!’」
トモナリは去年の交流戦十六歳組で優勝した。
通常なら大将を務めていてもおかしくないだろうトモナリが出てきて驚いていたのだ。
観客ではトモナリを知らない人も多いので、ヒカリが出てきて別の歓声が上がっている。
ただ一部ではトモナリのことを知っているのか、ざわついている人もいた。
相手もトモナリのことを険しい顔で見ている。
「それじゃやろうか」
トモナリはインベントリから一つの装備を取り出した。
指の部分がない黒い手袋で手の甲のところは金属になっている。
これまでこうしたものは身につけてこなかったが、今回急遽こうした装備が欲しくてサタケに連絡して作ってもらった。
「‘試合開始のブザーが鳴りました!’」
「行くぞ!」
ブザーが鳴って、トモナリは剣も抜かずに相手と距離を詰める。
相手はトモナリに合わせて剣を振り、トモナリは拳を突き出す。
グローブで覆われていない指と剣がまともに当たって、会場は一瞬ヒヤリとした空気に包まれる。
魔法で保護されているとは言っても限界はある。
下手すると指が切り飛ばされるような想像をしたのだが、予想に反して会場には金属がぶつかり合うような音が響きわたった。
やる気満々のミヤマエが手を挙げる。
「俺はどっちでも構いません」
ササキはミヤマエのことをやや冷めた目で見ている。
交流戦には参加するが、あまり積極的な方でもなければみんなと仲良くしたいような人でもないらしい。
「んじゃミヤマエな」
「うっす! 頑張ります!」
「それで……誰が出る?」
「お前は確定で……あとはじゃんけんかな」
「俺もじゃんけんに」
「お前は出なきゃダメだろ」
ユウトはため息をつく。
仮にじゃんけんで負けてトモナリが出ないなんてことになったら、困るのは日本の方である。
ということでトモナリを抜いてみんなでじゃんけんする。
「よっしゃ!」
「負けちゃった」
「出なくてもいいんだけどな……」
「勝ちぃ〜」
結果として負けたのはサーシャだった。
これでトモナリを始めとして、ユウト、ミズキ、アユム、ミヤマエの五人で団体戦に挑むことになった。
「じゃあ……順番だけど……」
ーーーーー
「‘さて、それでは第一試合が始まります!‘」
興行らしく解説や進行役の人もいる。
アウェイクンバトルにおいてMCも務める良い声をした爽やか顔の男性が、戦いの舞台となるステージの上でマイク片手に交流戦を盛り上げる。
「‘第一試合はなんと! 前回優勝の日本とオーストラリアの戦いです! 日本の優勝は運が良かったと言う人もいますが、今年は本当に実力かどうか見せてくれることでしょう。それでは入場していただきましょう!’」
「うわぁ……緊張しちゃうね」
歓声と、少しのブーイングの中でトモナリたちは会場に入っていく。
ブーイングはおそらく去年の結果に対するものだろう。
流石に多くの人の視線を浴びるとみんなの表情も固くなる。
一度真ん中まで行って相手と握手を交わす。
オーストラリアの覚醒者は背も高くてがっしりとした人が多い。
「それじゃあ頼むぞ、ミヤマエ」
「任してください! 俺も先輩に鍛えられましたからね!」
トモナリの時に厳しい指導を思い出せば観客の視線など気にならないとミヤマエは一人、戦いの舞台に向かう。
一般的なステージの大きさどころではなく、普通の陸上競技場でいうトラック全体が戦いのステージとなっている。
なので対戦相手のオーストラリアの控えている選手はかなり遠い位置にいる。
「‘それで第一試合の最初の試合……つまり交流戦そのものの最初の試合が今始まります!’」
ミヤマエは二本の剣を抜く。
相手は槍。
「おお、こんな始まりなのか」
モニターにカウントダウンが表示され、ゼロになると同時に開始のブザーが鳴り響く。
審判もいるが、周りにも分かりやすい試合開始となっている。
「いくぜ!」
試合が始まってミヤマエは一気に突っ込む。
「おらっ!」
突き出された槍を剣で弾いて懐に入り込む。
「結構やるじゃん」
「ミヤマエも強くなったもんだな」
そこからは一方的だった。
相手は槍なので距離を開けて戦いたいが、ミヤマエはそれを許さずピッタリと距離を近づけたまま優位に戦いを進めた。
最後にはミヤマエの剣が相手の脇腹に直撃して、魔道具の限界を迎えた。
ミヤマエの完全勝利となった。
「先輩、やったっす!」
ミヤマエはステージの上で両手を上げ、歓声を浴びている。
「勝った時には気持ちよさそうだな」
観客がいると言うことは勝てば歓声がもらえるのだ。
歓声は勝利の高揚感をより高めてくれる。
そしてそのまま二回戦が始まる。
勝ち残り戦なのでミヤマエが相手の次鋒と戦うことになったのだけど、流石に一年も差があると厳しかった。
それなりに善戦はしたものの、ミヤマエは負けてしょんぼりと帰ってきた。
「それじゃあ行きますか」
「なあ……本当にお前がいくのか?」
「話し合いで決めたろ?」
「そうだけどさ……まあいいか」
「‘次にステージに上がるのは……おやっ!?’」
二番手としてステージに上がったのはなんとトモナリであった。
MCも驚く。
「‘彼は……去年の個人戦優勝者です!’」
トモナリは去年の交流戦十六歳組で優勝した。
通常なら大将を務めていてもおかしくないだろうトモナリが出てきて驚いていたのだ。
観客ではトモナリを知らない人も多いので、ヒカリが出てきて別の歓声が上がっている。
ただ一部ではトモナリのことを知っているのか、ざわついている人もいた。
相手もトモナリのことを険しい顔で見ている。
「それじゃやろうか」
トモナリはインベントリから一つの装備を取り出した。
指の部分がない黒い手袋で手の甲のところは金属になっている。
これまでこうしたものは身につけてこなかったが、今回急遽こうした装備が欲しくてサタケに連絡して作ってもらった。
「‘試合開始のブザーが鳴りました!’」
「行くぞ!」
ブザーが鳴って、トモナリは剣も抜かずに相手と距離を詰める。
相手はトモナリに合わせて剣を振り、トモナリは拳を突き出す。
グローブで覆われていない指と剣がまともに当たって、会場は一瞬ヒヤリとした空気に包まれる。
魔法で保護されているとは言っても限界はある。
下手すると指が切り飛ばされるような想像をしたのだが、予想に反して会場には金属がぶつかり合うような音が響きわたった。

