ドラゴンナイトという聞いたこともない職業に魂の契約や交感力という特殊なスキル、加えてレベル1ではあり得ないような高い能力値まで兼ね備えている。
 このことをどう解釈すべきなのかマサヨシですら内心困惑していた。

 聞きたいことが多すぎる。
 しかしこの面接は簡易的なものでそれほど時間もかけていられない。

(まあだいぶ成長できたしな)

 マサヨシたちが驚いたトモナリのステータスであるが驚くのも無理はない。
 覚醒した時の能力値よりもトモナリのステータスは大きく伸びていて、レベル1には見えないような高さになっていたからである。

「……最後に一つだけ聞こう」

 全ての質問をぶつけて全てを解決にはこの場はふさわしくない。
 マサヨシは頭に浮かぶ疑問を全て追いやって質問を一つに定めた。

「どうして覚醒者になりたい?」

 信念を問う質問。
 覚醒している以上はもう覚醒者なのだけどこの場合の質問の意図としてはなぜ覚醒者としての学びを得て、覚醒者として活動したいのかということを問うているのだ。

「……守りたいからです」

 しばし目を閉じて考えたトモナリはゆっくりと目を開けて答えた。

「世界を、自分を……そして俺の大切な人たちを。守れる力が欲しい。守りたいと思ったからここに来ました」

 ヒカリのおかげでやり直す機会を得られた人生であるが、今回は逃げ回ったりしないと決めた。
 守りたいと思ったものを守り、敵となるものを倒す。

 人類をできる限り正しい方向に導いて今度こそ世界を救ってみせる。

「99個のゲートを全て閉じて世界を救う。これが俺の目標です」

 トモナリは真っ直ぐにマサヨシの目を見た。
 一切迷いのない目をしていて眩しいくらいの熱意に満ち溢れているとマサヨシはトモナリのことを心の中で評していた。

「君は母子家庭でアカデミーの奨学金制度に申し込んでいるね?」

「はい」

「ならば君を特待生とする。授業料免除の上、生活費の支援も行おう」

「学長、それは……」

「特殊職業にスキル、能力値、それにモンスターと契約までしている。ここで他所に取られるわけにはいかない。なんなら私の私財から出してもいい」

 今の時代中卒でも優秀な能力があるのなら覚醒者が集まっているギルドに入るという選択肢もある。
 トモナリの能力ならば欲しいギルドは山とある。

「合格通知を待つ必要はない。俺の権限で君は合格としよう」

「…………が、学長」

 かなりの異例のことのようでムナカタは驚愕した表情でマサヨシのことを見ている。

「この後用事はあるか?」

「テストが終わったら帰るつもりでした」

「もう1日泊まっていってはくれないか?」

「えっ……」

「寮に泊まってくれて構わない。帰りの費用も俺が出そう」

「……分かりました」