「……すごいじゃん!」
「えっ?」
「なんだか分かんないけどさ、トモナリが連れてきたなら危ない存在じゃないだろうし、きっと役に立ってくれるんだろ?」
ユウトは屈託なく笑う。
こういう時に素直に受け入れられるのは、ユウトのいいところである。
「それによ! 美人のお姉さんがいるとテンション上がるだろ! ……おい、なんだよ! みんなして!」
ユウトはサントリのことを見てデレッとした表情をする。
しかしそんなユウトに対して周りは冷たい目を向けている。
「まあでも確かにアイゼンが連れてきたなら……ってところはあるな」
カエデがディーニのことを見つめる。
ただその目に敵意などの感情はなく、単純に観察しているような感じだった。
「二人とも良い人なのだ!」
「ヒカリちゃんもそう言うんだしね」
ヒカリが胸を張る。
ディーニとサントリの存在はヒカリにとって後輩的なポジションになるらしい。
「……意外だったな」
「……そうですね」
思いの外あっさりとディーニとサントリは受け入れられた。
二人も多少の反発はあるかもしれないと思っていたのに、何もなくて驚いてしまっている。
「本当にこれでいいのか?」
「何かまずいか?」
「いや別にまずかないけど……」
ふと思い出される記憶がある。
オートマタ、あるいはホムンクルスとして復活を成したサントリに待ち受けていたのは冷たい反応だった。
嘘をつきたくないから本当のことを告げたが、周りは恐ろしいほどに冷酷にサントリから離れていった。
体は確かに人ではなくなったのかもしれない。
でも心は人だ。
ぽっかりと穴が空いたような気分になった。
そんなことも覚悟していたのに、いいんじゃないなんて軽く受け入れてもらえることに動揺してしまう。
「先にヒカリがいたからかもな」
「確かにそれはあるかもしれませんね」
ディーニはヒカリのことを見る。
いつの間にかヒカリはみんなからお菓子をもらっている。
どう見ても周りに馴染んで、可愛がられている。
異質度合いでいけば、完全にモンスターな見た目をしているヒカリの方が上かもしれない。
そんなヒカリも受け入れているのだから、ディーニとサントリを受け入れることもわけないと言われれば、納得できなくもない。
「もしかしたら俺のスキルもあるのかもな」
トモナリには交感力というスキルがある。
モンスターと仲良くなりやすくなるというスキルなのだけど、ヒカリがみんなと仲良くなるというところでも力が発揮されているのかもしれないと最近思う。
トモナリと契約を交わしたディーニたちにも交感力の効果が及んでいてもおかしな話ではない。
交換力の効果によって、ディーニとサントリに対して好印象を抱きやすい可能性があった。
「なんにしても、二人が恐れているようなことはなかっただろ? 他の人がどうかは分かんないけど、ここにいるみんなはちょっとやそっとじゃ動揺しないよ」
「……素敵なお仲間ですね」
「ああ、これからはディーニとサントリも仲間だ」
「……うーん、今更だけど、いいご主人様に仕えたもんだな」
サントリは腕を組んで頷く。
ディーニとペンターゴが契約したからと契約したけど、二人の目は間違っていなかった。
「あとは力を見せて、みんなに認められてくれ」
「ああ、そこは任せとけ!」
「お任せください」
「心配するようなことはなさそうだな」
マサヨシもほっと胸を撫で下ろす。
ディーニとサントリを受け入れられないとなったらどうしようかと考えていたが、若者の柔軟性は非常に素晴らしいものである。
「二人も食べるといいぞ!」
「ありがとうございます、ヒカリ様」
「おっ、じゃあこれもらうかな」
どっさりとお菓子をもらったヒカリがディーニとサントリにもお菓子を分ける。
「ただまあ……なんにしても悪くない……な」
「そうですね」
珍しくディーニも微笑みを浮かべている。
これならシテトラとペンターゴも来ればよかったのにとサントリは思う。
ゆかりも歓迎してくれたが、共に戦う仲間として認めてもらえる雰囲気はまた違っている。
「それじゃあこれからの話をしようか」
マサヨシが手をパンと打ち鳴らして注目を集める。
ホテルに集まったのはディーニとサントリの紹介のためではない。
課外活動部としてゲートを攻略してレベル上げ、経験を積むためであった。
「ここだと狭いからホテルの会議室を借りてある。移動してミーティングを行うぞ」
ーーーーー
「改めて確認する」
移動のバスの中でマサヨシが立ち上がる。
「今回我々が攻略するのは廃村となった場所に発生したゲートだ。ちゃんと管理された場所ではなく、村の関係者がたまたま訪れた際に見つかったものだ」
今時モンスターやゲートを恐れて小規模の村を放棄する事例は少なくない。
トモナリたちが向かっている場所も元々限界集落だったようなところで、少し前に仕方なく大きな町に住人が移住して廃村となったところだった。
大きな町から近ければ覚醒者が見回って、ゲートが発生していないかを確かめたり管理されていることもある。
一方で全くそうしたことが行われないままに放置されてしまっている場所も存在しているのだ。
「えっ?」
「なんだか分かんないけどさ、トモナリが連れてきたなら危ない存在じゃないだろうし、きっと役に立ってくれるんだろ?」
ユウトは屈託なく笑う。
こういう時に素直に受け入れられるのは、ユウトのいいところである。
「それによ! 美人のお姉さんがいるとテンション上がるだろ! ……おい、なんだよ! みんなして!」
ユウトはサントリのことを見てデレッとした表情をする。
しかしそんなユウトに対して周りは冷たい目を向けている。
「まあでも確かにアイゼンが連れてきたなら……ってところはあるな」
カエデがディーニのことを見つめる。
ただその目に敵意などの感情はなく、単純に観察しているような感じだった。
「二人とも良い人なのだ!」
「ヒカリちゃんもそう言うんだしね」
ヒカリが胸を張る。
ディーニとサントリの存在はヒカリにとって後輩的なポジションになるらしい。
「……意外だったな」
「……そうですね」
思いの外あっさりとディーニとサントリは受け入れられた。
二人も多少の反発はあるかもしれないと思っていたのに、何もなくて驚いてしまっている。
「本当にこれでいいのか?」
「何かまずいか?」
「いや別にまずかないけど……」
ふと思い出される記憶がある。
オートマタ、あるいはホムンクルスとして復活を成したサントリに待ち受けていたのは冷たい反応だった。
嘘をつきたくないから本当のことを告げたが、周りは恐ろしいほどに冷酷にサントリから離れていった。
体は確かに人ではなくなったのかもしれない。
でも心は人だ。
ぽっかりと穴が空いたような気分になった。
そんなことも覚悟していたのに、いいんじゃないなんて軽く受け入れてもらえることに動揺してしまう。
「先にヒカリがいたからかもな」
「確かにそれはあるかもしれませんね」
ディーニはヒカリのことを見る。
いつの間にかヒカリはみんなからお菓子をもらっている。
どう見ても周りに馴染んで、可愛がられている。
異質度合いでいけば、完全にモンスターな見た目をしているヒカリの方が上かもしれない。
そんなヒカリも受け入れているのだから、ディーニとサントリを受け入れることもわけないと言われれば、納得できなくもない。
「もしかしたら俺のスキルもあるのかもな」
トモナリには交感力というスキルがある。
モンスターと仲良くなりやすくなるというスキルなのだけど、ヒカリがみんなと仲良くなるというところでも力が発揮されているのかもしれないと最近思う。
トモナリと契約を交わしたディーニたちにも交感力の効果が及んでいてもおかしな話ではない。
交換力の効果によって、ディーニとサントリに対して好印象を抱きやすい可能性があった。
「なんにしても、二人が恐れているようなことはなかっただろ? 他の人がどうかは分かんないけど、ここにいるみんなはちょっとやそっとじゃ動揺しないよ」
「……素敵なお仲間ですね」
「ああ、これからはディーニとサントリも仲間だ」
「……うーん、今更だけど、いいご主人様に仕えたもんだな」
サントリは腕を組んで頷く。
ディーニとペンターゴが契約したからと契約したけど、二人の目は間違っていなかった。
「あとは力を見せて、みんなに認められてくれ」
「ああ、そこは任せとけ!」
「お任せください」
「心配するようなことはなさそうだな」
マサヨシもほっと胸を撫で下ろす。
ディーニとサントリを受け入れられないとなったらどうしようかと考えていたが、若者の柔軟性は非常に素晴らしいものである。
「二人も食べるといいぞ!」
「ありがとうございます、ヒカリ様」
「おっ、じゃあこれもらうかな」
どっさりとお菓子をもらったヒカリがディーニとサントリにもお菓子を分ける。
「ただまあ……なんにしても悪くない……な」
「そうですね」
珍しくディーニも微笑みを浮かべている。
これならシテトラとペンターゴも来ればよかったのにとサントリは思う。
ゆかりも歓迎してくれたが、共に戦う仲間として認めてもらえる雰囲気はまた違っている。
「それじゃあこれからの話をしようか」
マサヨシが手をパンと打ち鳴らして注目を集める。
ホテルに集まったのはディーニとサントリの紹介のためではない。
課外活動部としてゲートを攻略してレベル上げ、経験を積むためであった。
「ここだと狭いからホテルの会議室を借りてある。移動してミーティングを行うぞ」
ーーーーー
「改めて確認する」
移動のバスの中でマサヨシが立ち上がる。
「今回我々が攻略するのは廃村となった場所に発生したゲートだ。ちゃんと管理された場所ではなく、村の関係者がたまたま訪れた際に見つかったものだ」
今時モンスターやゲートを恐れて小規模の村を放棄する事例は少なくない。
トモナリたちが向かっている場所も元々限界集落だったようなところで、少し前に仕方なく大きな町に住人が移住して廃村となったところだった。
大きな町から近ければ覚醒者が見回って、ゲートが発生していないかを確かめたり管理されていることもある。
一方で全くそうしたことが行われないままに放置されてしまっている場所も存在しているのだ。

