「到着しました」
「ありがとうございます」
ニューキタサカホテルというホテルの前でタクシーが止まった。
トモナリとヒカリ、それにディーニとサントリはタクシーから降りる。
「飛ぶ鉄の塊、走る鉄の塊となかなか奇妙ですね」
「確かにすごいもんだな。かなりの距離を楽に移動できた。もうちょい快適なら……嬉しいんだけどな」
サントリは体を伸ばす。
どうせなら寝っ転がって乗れればいいのにと思った。
「少し大人しくしているだけで移動できるのですからいいでしょう」
「まあ……わがままは言えないよな」
ディーニとサントリがいた世界はいわゆる異世界というやつである。
馬車というやつはあるが、現代あるような車はない。
当然ながら飛行機なんてものもない。
ディーニは冷静そうに見えるが、サントリに席をかわらせて窓からずっと外を眺めていた。
二人にとっても初めてで楽しい経験ではあったのだ。
「いくよ」
「いくのだ、二人とも! 僕についてくるのだ!」
「はい、ご主人様、ヒカリ様」
「はいよ、トモナリ、ヒカリ」
トモナリたちはホテルの中に入っていく。
「えーと……」
ホテルに入ってキョロキョロと周りを見回す。
「どなたかお探しでしょうか?」
「人が待ってるはずなんです」
トモナリが何かを探しているのに気づいてホテルの人が声をかけてきた。
ホテルに用があるのは違いないが、探しているのは人だった。
「トモナリー!」
「あっ、いたようです」
エレベーターが開いて、探していた人が降りてきた。
ユウトが手を振りながらトモナリに近づいてくる。
「ヒカリも元気そうだな」
「ユウトもな!」
「おう、俺も元気……だけど、さ」
元気よくヒカリと挨拶を交わしたユウトの視線はトモナリの後ろに向けられていた。
「その綺麗なお姉さん方、誰だよ?」
最初は知らない他人がたまたま近くにいるのだと思った。
しかし明らかにトモナリのそばに立っている。
「後で説明するよ」
「ええっ!? てか、やっぱりお前の知り合い? えぇ……」
一人一人に説明していては面倒だ。
ユウトには悪いけど説明は後回しにさせてもらう。
やっぱりトモナリが連れているのかと安心した反面、なんで知らない人を連れてきたのかとても疑問である。
「綺麗だってさ」
「私のことでしょうね」
「お姉さん方って言ったろ?」
「……そうですね」
綺麗だと言われてサントリは機嫌が良さそうに笑う。
ディーニは相変わらず無表情である。
「みんなは?」
「あ、ああもう部屋にいるよ」
「案内してくれよ」
「分かった……」
「ちゃんと説明するから」
ディーニとサントリが誰なのか気になる。
よく見ると紫の瞳と赤い瞳という不思議な容姿をした人でもあって、チラチラとみながらもユウトはエレベーターに向かった。
ディーニは紫の瞳に灰色の髪、サントリは赤い瞳に赤い髪という普通の人とは違う容姿をしている。
髪色に関しては魔力の影響で変色してしまう人もいるので、一概におかしいとも言い切れない。
「十三階全部貸し切ってるらしい」
「へぇ」
「今はお前が来るっていうんで、奥の部屋にみんな集まってるよ」
縦移動する箱があるのか、とサントリはまたしても感心していた。
目的の階について奥の部屋に入る。
「おっ、やっときたな」
「遅いよ!」
「久しぶりだね、ヒカリちゃん」
「ちょ……誰だよそれ!」
部屋に入ると一年生から三年生までの課外活動部が勢揃いしていた。
四人泊まれる大きめの部屋だが、ホテルの一室ではやや狭い。
まずはトモナリとヒカリを歓迎してくれたのだけど、すぐにディーニとサントリに興味は移った。
知らない女性が入ってくればしょうがない話である。
「アイゼン、それが例の?」
「はい、そうです。事前にお話ししたように二人だけ連れてくることになりました」
マサヨシがトモナリに声をかける。
当然ながらマサヨシにはディーニとサントリのことは伝えてある。
一応覚醒者協会もディーニたちの存在は認めた形である。
トモナリがいいのならマサヨシもディーニたちを受け入れることにした。
「この人たちはモンスターだ」
「えっ!?」
「モンスター!?」
「ホムンクルスというものになるんだけど、ゲートの報酬として仲間になったんだ」
トモナリはざっくりとディーニもサントリのことを説明する。
オートマタのゲートで現れたものだけど、存在的にはホムンクルスに近くて、とかそんな説明は不要である。
「モンスターが……仲間に……」
ディーニとサントリの表情は固い。
この世界の話ではないが、ディーニたち五姉妹は周りに拒絶された経験がある。
死体を利用したホムンクルスとなって、周りはディーニたちのことを拒絶したのである。
深く傷ついたディーニたちを守るために、長女であるモーノは四人を封印し、一人で戦って、そして狂ってしまった。
救う手立てがなかったのかと考えることはあるが、倒してやることが最善の方法だったと今は思うしかない。
ともかく、そのような過去があるものだから周りに受け入れてもらえるのか不安がつきまとう。
今はもう拒絶されても塞ぎ込むことはないが、それでもショックは受けてしまうだろう。
「ありがとうございます」
ニューキタサカホテルというホテルの前でタクシーが止まった。
トモナリとヒカリ、それにディーニとサントリはタクシーから降りる。
「飛ぶ鉄の塊、走る鉄の塊となかなか奇妙ですね」
「確かにすごいもんだな。かなりの距離を楽に移動できた。もうちょい快適なら……嬉しいんだけどな」
サントリは体を伸ばす。
どうせなら寝っ転がって乗れればいいのにと思った。
「少し大人しくしているだけで移動できるのですからいいでしょう」
「まあ……わがままは言えないよな」
ディーニとサントリがいた世界はいわゆる異世界というやつである。
馬車というやつはあるが、現代あるような車はない。
当然ながら飛行機なんてものもない。
ディーニは冷静そうに見えるが、サントリに席をかわらせて窓からずっと外を眺めていた。
二人にとっても初めてで楽しい経験ではあったのだ。
「いくよ」
「いくのだ、二人とも! 僕についてくるのだ!」
「はい、ご主人様、ヒカリ様」
「はいよ、トモナリ、ヒカリ」
トモナリたちはホテルの中に入っていく。
「えーと……」
ホテルに入ってキョロキョロと周りを見回す。
「どなたかお探しでしょうか?」
「人が待ってるはずなんです」
トモナリが何かを探しているのに気づいてホテルの人が声をかけてきた。
ホテルに用があるのは違いないが、探しているのは人だった。
「トモナリー!」
「あっ、いたようです」
エレベーターが開いて、探していた人が降りてきた。
ユウトが手を振りながらトモナリに近づいてくる。
「ヒカリも元気そうだな」
「ユウトもな!」
「おう、俺も元気……だけど、さ」
元気よくヒカリと挨拶を交わしたユウトの視線はトモナリの後ろに向けられていた。
「その綺麗なお姉さん方、誰だよ?」
最初は知らない他人がたまたま近くにいるのだと思った。
しかし明らかにトモナリのそばに立っている。
「後で説明するよ」
「ええっ!? てか、やっぱりお前の知り合い? えぇ……」
一人一人に説明していては面倒だ。
ユウトには悪いけど説明は後回しにさせてもらう。
やっぱりトモナリが連れているのかと安心した反面、なんで知らない人を連れてきたのかとても疑問である。
「綺麗だってさ」
「私のことでしょうね」
「お姉さん方って言ったろ?」
「……そうですね」
綺麗だと言われてサントリは機嫌が良さそうに笑う。
ディーニは相変わらず無表情である。
「みんなは?」
「あ、ああもう部屋にいるよ」
「案内してくれよ」
「分かった……」
「ちゃんと説明するから」
ディーニとサントリが誰なのか気になる。
よく見ると紫の瞳と赤い瞳という不思議な容姿をした人でもあって、チラチラとみながらもユウトはエレベーターに向かった。
ディーニは紫の瞳に灰色の髪、サントリは赤い瞳に赤い髪という普通の人とは違う容姿をしている。
髪色に関しては魔力の影響で変色してしまう人もいるので、一概におかしいとも言い切れない。
「十三階全部貸し切ってるらしい」
「へぇ」
「今はお前が来るっていうんで、奥の部屋にみんな集まってるよ」
縦移動する箱があるのか、とサントリはまたしても感心していた。
目的の階について奥の部屋に入る。
「おっ、やっときたな」
「遅いよ!」
「久しぶりだね、ヒカリちゃん」
「ちょ……誰だよそれ!」
部屋に入ると一年生から三年生までの課外活動部が勢揃いしていた。
四人泊まれる大きめの部屋だが、ホテルの一室ではやや狭い。
まずはトモナリとヒカリを歓迎してくれたのだけど、すぐにディーニとサントリに興味は移った。
知らない女性が入ってくればしょうがない話である。
「アイゼン、それが例の?」
「はい、そうです。事前にお話ししたように二人だけ連れてくることになりました」
マサヨシがトモナリに声をかける。
当然ながらマサヨシにはディーニとサントリのことは伝えてある。
一応覚醒者協会もディーニたちの存在は認めた形である。
トモナリがいいのならマサヨシもディーニたちを受け入れることにした。
「この人たちはモンスターだ」
「えっ!?」
「モンスター!?」
「ホムンクルスというものになるんだけど、ゲートの報酬として仲間になったんだ」
トモナリはざっくりとディーニもサントリのことを説明する。
オートマタのゲートで現れたものだけど、存在的にはホムンクルスに近くて、とかそんな説明は不要である。
「モンスターが……仲間に……」
ディーニとサントリの表情は固い。
この世界の話ではないが、ディーニたち五姉妹は周りに拒絶された経験がある。
死体を利用したホムンクルスとなって、周りはディーニたちのことを拒絶したのである。
深く傷ついたディーニたちを守るために、長女であるモーノは四人を封印し、一人で戦って、そして狂ってしまった。
救う手立てがなかったのかと考えることはあるが、倒してやることが最善の方法だったと今は思うしかない。
ともかく、そのような過去があるものだから周りに受け入れてもらえるのか不安がつきまとう。
今はもう拒絶されても塞ぎ込むことはないが、それでもショックは受けてしまうだろう。

