ディーニたちがトモナリ預かりであることに蝦夷ギルドもイガラシギルドも文句はなかった。
しかしそれとディーニたちをどうするべきかという問題はまた別であった。
ディーニたちが人の心を持っていたとしても、多くの人にとってディーニたちはモンスターである。
危険性が低いと訴えたところで全員が手放しで信じてくれるわけもない。
どんな存在で、本当に安全なのか、トモナリがコントロールできるのかなど他の人たちにとって大切なことは多く、調査する必要があった。
トモナリも含めてディーニたちは覚醒者協会の監視下に置かれた。
身体検査、能力検査、聞き取りなどを行い、偉い人たちが色々と話し合ってディーニたちの処遇を検討していたのである。
もちろんトモナリも色々と聞かれた。
モーノにも約束したし、ディーニたちを処分させるとかそんな選択にはならないようトモナリも必死だった。
幸い他に話を聞かれたイガラシやシノヅカなんかも、ゲートの中で活躍して敵対する危険なことはなかったと証言してくれた。
ヒカリならトモナリがスキルで契約した相手であるという最低限の保証がある。
ディーニたちも契約っぽいものは交わしているものの、トモナリの手の甲に光る紋章が浮かび上がるだけで、その契約がどんなものなのか目には見えない。
どうやらトモナリに忠誠を誓っていて、命令には逆らえないなんて契約らしい。
トモナリもそんな絶対的な契約だなんてことは知らなかった。
「はぁー! やっと自由か!」
「私はあれも悪くなかった」
「僕はちょっと窮屈だったかな」
「することがなくて暇でしたね」
「うむ、久々なのだ!」
紆余曲折はあったものの、ディーニたちはトモナリの監視下で活動することが許された。
一応その存在は公表されるが、あまり積極的に周知するものではなく、四十三番目の試練ゲートの攻略に伴う攻略情報の端に小さく載せられる程度になった。
ディーニたち自身があまり周りに騒がれたくないことや戦力なる力を持っていること、覚醒者協会も非難の声が上がることを避けたかったなど思惑が絡み合っての結果である。
ゲートから出てきた時のドレスのような服装ではなく、現代の女性の服装をしている。
顔が美形なせいかどんな格好をしていても、みんな決まっていて似合うのだから少しずるい。
「そんでトモナリ様、どこに行くんだ?」
「……名前に様つけるなら呼び捨てでいいよ」
「オッケ、トモナリ」
サントリはニヤッと笑う。
ゲート中ではスルーしたが、流石に名前に様付けはトモナリも慣れない。
「行くところがあるんだ」
そうこうしている間に時間も経ってしまったが、まだ夏休み期間である。
ーーーーー
「ここは……」
「俺の家だよ」
ディーニたちを引き連れてトモナリがやってきたのは家だった。
アカデミーの寮のことではなく、実家の方の家である。
「お兄様のお家」
「ああ、俺は今はアカデミーってところにいるけど、ここが俺の帰るべき家なんだ」
下の階にギルドが入った高級マンションの一室が今のトモナリの実家である。
トモナリはともかく、赤と紫の瞳をした美人四人組にビルの警備を担当している覚醒者もドギマギしていた。
「おかえり、トモナリ」
「ただいま、母さん」
鍵を開けて家の中に入ると母親であるゆかりが出迎えてくれた。
今日帰ることは伝えていた。
仕事があるのでいないかもしれないと思っていたけれど、休みをとってくれていたようだ。
「ゆかり、ただいまなのだ!」
「ヒカリちゃんもおかえり。元気そうね」
「元気なのだ!」
ヒカリはゆかりの胸に飛び込む。
他の人に触られることはあまり好きでないが、ゆかりはまた違うらしい。
「ええと……そちらの方たちは?」
トモナリとヒカリが元気に帰ってきてくれたことはいいとして、その後ろに並ぶ四人の美人がゆかりは気になった。
「ディーニと申します、お母様」
「私はサントリ。よろしく……お願いします」
「僕はシテトラ。お兄さんのお母様、よろしくお願いします!」
「ペンターゴ、よろしくね」
「あ、ああ……えっ?」
四人がそれぞれ頭を頭を下げる。
ゆかりは困惑したような顔でトモナリのことを見る。
「彼女たちについてはちゃんと説明するよ」
来客があるとは言ったが、ディーニたちのことを細かく説明してはいない。
ゆかりが困惑するのも当然だ。
「ディーニさんたちは……人じゃない……」
とりあえず家に上がって、テーブルを囲んでディーニたちのことを説明する。
ディーニたちは人でなくモンスターで、トモナリと契約してトモナリに従うことになった。
ただ中身はほぼ人であり、トモナリがそのまま引き取ることになったのだと言うとゆかりはまじまじとディーニの顔を見る。
宝石のような紫の瞳は確かに人じゃあり得ないかもしれない。
しかし顔を見ていても人じゃないなんて信じられないぐらいである。
トモナリもパッと見てディーニたちを人形だとは思えない。
体も実際ほぼ人である。
ディーニは右腕の関節が人形のようになっているが、それだって服を着ていればほぼ分からない。
なぜなのか左腕や足の方の関節は人と変わりなく見える。
さらに不思議なことにサントリは腕は人と変わりない代わりに右足の関節が人形っぽく、シテトラは左腕が、ペンターゴが左足が人形のような関節をしているのだ。
しかしそれとディーニたちをどうするべきかという問題はまた別であった。
ディーニたちが人の心を持っていたとしても、多くの人にとってディーニたちはモンスターである。
危険性が低いと訴えたところで全員が手放しで信じてくれるわけもない。
どんな存在で、本当に安全なのか、トモナリがコントロールできるのかなど他の人たちにとって大切なことは多く、調査する必要があった。
トモナリも含めてディーニたちは覚醒者協会の監視下に置かれた。
身体検査、能力検査、聞き取りなどを行い、偉い人たちが色々と話し合ってディーニたちの処遇を検討していたのである。
もちろんトモナリも色々と聞かれた。
モーノにも約束したし、ディーニたちを処分させるとかそんな選択にはならないようトモナリも必死だった。
幸い他に話を聞かれたイガラシやシノヅカなんかも、ゲートの中で活躍して敵対する危険なことはなかったと証言してくれた。
ヒカリならトモナリがスキルで契約した相手であるという最低限の保証がある。
ディーニたちも契約っぽいものは交わしているものの、トモナリの手の甲に光る紋章が浮かび上がるだけで、その契約がどんなものなのか目には見えない。
どうやらトモナリに忠誠を誓っていて、命令には逆らえないなんて契約らしい。
トモナリもそんな絶対的な契約だなんてことは知らなかった。
「はぁー! やっと自由か!」
「私はあれも悪くなかった」
「僕はちょっと窮屈だったかな」
「することがなくて暇でしたね」
「うむ、久々なのだ!」
紆余曲折はあったものの、ディーニたちはトモナリの監視下で活動することが許された。
一応その存在は公表されるが、あまり積極的に周知するものではなく、四十三番目の試練ゲートの攻略に伴う攻略情報の端に小さく載せられる程度になった。
ディーニたち自身があまり周りに騒がれたくないことや戦力なる力を持っていること、覚醒者協会も非難の声が上がることを避けたかったなど思惑が絡み合っての結果である。
ゲートから出てきた時のドレスのような服装ではなく、現代の女性の服装をしている。
顔が美形なせいかどんな格好をしていても、みんな決まっていて似合うのだから少しずるい。
「そんでトモナリ様、どこに行くんだ?」
「……名前に様つけるなら呼び捨てでいいよ」
「オッケ、トモナリ」
サントリはニヤッと笑う。
ゲート中ではスルーしたが、流石に名前に様付けはトモナリも慣れない。
「行くところがあるんだ」
そうこうしている間に時間も経ってしまったが、まだ夏休み期間である。
ーーーーー
「ここは……」
「俺の家だよ」
ディーニたちを引き連れてトモナリがやってきたのは家だった。
アカデミーの寮のことではなく、実家の方の家である。
「お兄様のお家」
「ああ、俺は今はアカデミーってところにいるけど、ここが俺の帰るべき家なんだ」
下の階にギルドが入った高級マンションの一室が今のトモナリの実家である。
トモナリはともかく、赤と紫の瞳をした美人四人組にビルの警備を担当している覚醒者もドギマギしていた。
「おかえり、トモナリ」
「ただいま、母さん」
鍵を開けて家の中に入ると母親であるゆかりが出迎えてくれた。
今日帰ることは伝えていた。
仕事があるのでいないかもしれないと思っていたけれど、休みをとってくれていたようだ。
「ゆかり、ただいまなのだ!」
「ヒカリちゃんもおかえり。元気そうね」
「元気なのだ!」
ヒカリはゆかりの胸に飛び込む。
他の人に触られることはあまり好きでないが、ゆかりはまた違うらしい。
「ええと……そちらの方たちは?」
トモナリとヒカリが元気に帰ってきてくれたことはいいとして、その後ろに並ぶ四人の美人がゆかりは気になった。
「ディーニと申します、お母様」
「私はサントリ。よろしく……お願いします」
「僕はシテトラ。お兄さんのお母様、よろしくお願いします!」
「ペンターゴ、よろしくね」
「あ、ああ……えっ?」
四人がそれぞれ頭を頭を下げる。
ゆかりは困惑したような顔でトモナリのことを見る。
「彼女たちについてはちゃんと説明するよ」
来客があるとは言ったが、ディーニたちのことを細かく説明してはいない。
ゆかりが困惑するのも当然だ。
「ディーニさんたちは……人じゃない……」
とりあえず家に上がって、テーブルを囲んでディーニたちのことを説明する。
ディーニたちは人でなくモンスターで、トモナリと契約してトモナリに従うことになった。
ただ中身はほぼ人であり、トモナリがそのまま引き取ることになったのだと言うとゆかりはまじまじとディーニの顔を見る。
宝石のような紫の瞳は確かに人じゃあり得ないかもしれない。
しかし顔を見ていても人じゃないなんて信じられないぐらいである。
トモナリもパッと見てディーニたちを人形だとは思えない。
体も実際ほぼ人である。
ディーニは右腕の関節が人形のようになっているが、それだって服を着ていればほぼ分からない。
なぜなのか左腕や足の方の関節は人と変わりなく見える。
さらに不思議なことにサントリは腕は人と変わりない代わりに右足の関節が人形っぽく、シテトラは左腕が、ペンターゴが左足が人形のような関節をしているのだ。

