「ちょっと大人しく……おおっと?」
イヌサワが犬のオートマタを浮き上がらせた。
このまま浮かせておけば無力化できるだろうと思っていたら、犬のオートマタが急に大きくなり出した。
大型犬ほどのサイズだった犬のオートマタが車ほどのサイズまで巨大化する。
「あららぁ……どうなってるんだか……」
仕組みは気になるものの、魔力に関わることやモンスターに関わることの仕組みを考えてもしょうがない。
見た目に比例して重量も増加して、単純に浮かせておくのも厳しくなった。
「いかせないよ」
イヌサワを無視してトモナリの方を振り返った犬のオートマタの目に入ってきたのは黒い影だった。
フウカは犬のオートマタが巨大化したことを見て、立ち止まった。
トモナリを守ることが自分の仕事であり、犬のオートマタに邪魔はさせないと闇の手を伸ばしていた。
「くっ……」
四本の闇の手が屋根上に降りてきた犬のオートマタを鷲掴みにする。
「いいよ、ヤナギさん!」
犬のオートマタの力が強く、フウカの力でも抑えきれない。
全力で抑え込もうとするけれど、あっという間に振り払われそうになる。
そこにイヌサワも手を貸す。
犬のオートマタに重力をかける。
「傷つけないように止めておくのは結構骨が折れるね……」
簡単だと思ったのに、思ったよりも簡単じゃなさそう。
できれば早くしてくれないかなとイヌサワは苦笑いを浮かべた。
「シテトラ!」
檻に手をかけてディーニがオートマタの名前を呼ぶ。
しかしシテトラと呼ばれたオートマタは膝に顔をうずめたまま動かない。
「ディーニ、どいて」
檻には鍵がかかっている。
トモナリは鍵を取り出して檻の鍵穴に差し込む。
鍵の形が変化して鍵穴にフィットする。
ガチャと大きな音を立てて鍵を開けて檻を開ける。
「シテトラ! 起きなさい!」
「んあ……? ディーニ姉さん? 何で……あれ?」
シテトラが顔を上げる。
ディーニと同じく紫の瞳をしたオートマタである。
「いいから、ヘキサムを止めて!」
「トモナリ君、後ろだ!」
フウカとイヌサワの拘束を振り切って犬のオートマタはトモナリに迫っていた。
「お、お座りなのだー!」
「ヘキサム、お座り」
シテトラがゆっくりと手を伸ばした。
紫の瞳が光を放ち、犬のオートマタはトモナリにかじりつこうとしたところで動きを止めた。
「す、座った……」
犬のオートマタがペタンとお座りをした。
「良い子ね」
シテトラが檻から出て犬のオートマタの頭を撫でる。
犬のオートマタは尻尾をブンブンと振っている。
「……ギリギリだったね」
「ええ、噛みちぎられるところでしたよ」
どうやら犬のオートマタはシテトラに従っているようだ。
「この子を倒さないでいてくれたの? あなた良い人ね。私も従うわ」
「これで四体……全部揃ったな」
話に聞いていたオートマタは全て助け出した。
あとはボスを倒すだけであるとトモナリはシテトラの口付けで再び熱を持った手の甲の紋章を見ながら思ったのだった。
イヌサワが犬のオートマタを浮き上がらせた。
このまま浮かせておけば無力化できるだろうと思っていたら、犬のオートマタが急に大きくなり出した。
大型犬ほどのサイズだった犬のオートマタが車ほどのサイズまで巨大化する。
「あららぁ……どうなってるんだか……」
仕組みは気になるものの、魔力に関わることやモンスターに関わることの仕組みを考えてもしょうがない。
見た目に比例して重量も増加して、単純に浮かせておくのも厳しくなった。
「いかせないよ」
イヌサワを無視してトモナリの方を振り返った犬のオートマタの目に入ってきたのは黒い影だった。
フウカは犬のオートマタが巨大化したことを見て、立ち止まった。
トモナリを守ることが自分の仕事であり、犬のオートマタに邪魔はさせないと闇の手を伸ばしていた。
「くっ……」
四本の闇の手が屋根上に降りてきた犬のオートマタを鷲掴みにする。
「いいよ、ヤナギさん!」
犬のオートマタの力が強く、フウカの力でも抑えきれない。
全力で抑え込もうとするけれど、あっという間に振り払われそうになる。
そこにイヌサワも手を貸す。
犬のオートマタに重力をかける。
「傷つけないように止めておくのは結構骨が折れるね……」
簡単だと思ったのに、思ったよりも簡単じゃなさそう。
できれば早くしてくれないかなとイヌサワは苦笑いを浮かべた。
「シテトラ!」
檻に手をかけてディーニがオートマタの名前を呼ぶ。
しかしシテトラと呼ばれたオートマタは膝に顔をうずめたまま動かない。
「ディーニ、どいて」
檻には鍵がかかっている。
トモナリは鍵を取り出して檻の鍵穴に差し込む。
鍵の形が変化して鍵穴にフィットする。
ガチャと大きな音を立てて鍵を開けて檻を開ける。
「シテトラ! 起きなさい!」
「んあ……? ディーニ姉さん? 何で……あれ?」
シテトラが顔を上げる。
ディーニと同じく紫の瞳をしたオートマタである。
「いいから、ヘキサムを止めて!」
「トモナリ君、後ろだ!」
フウカとイヌサワの拘束を振り切って犬のオートマタはトモナリに迫っていた。
「お、お座りなのだー!」
「ヘキサム、お座り」
シテトラがゆっくりと手を伸ばした。
紫の瞳が光を放ち、犬のオートマタはトモナリにかじりつこうとしたところで動きを止めた。
「す、座った……」
犬のオートマタがペタンとお座りをした。
「良い子ね」
シテトラが檻から出て犬のオートマタの頭を撫でる。
犬のオートマタは尻尾をブンブンと振っている。
「……ギリギリだったね」
「ええ、噛みちぎられるところでしたよ」
どうやら犬のオートマタはシテトラに従っているようだ。
「この子を倒さないでいてくれたの? あなた良い人ね。私も従うわ」
「これで四体……全部揃ったな」
話に聞いていたオートマタは全て助け出した。
あとはボスを倒すだけであるとトモナリはシテトラの口付けで再び熱を持った手の甲の紋章を見ながら思ったのだった。

