「ボーッ!」
オートマタの刺青が光って手から炎が放たれた。
ヒカリが対抗するようにブレスを吐き出す。
オートマタとヒカリの炎がぶつかり合う。
「ヒカリの方が強いみたいだな!」
互いの魔法が拮抗したのは一瞬で、ヒカリのブレスの方がオートマタの炎を押し始める。
「防御が疎かになってるぞ!」
刺青がより強く光り、ヒカリのブレスを止めようとしているオートマタは隙だらけだった。
その隙にトモナリが横から迫る。
オートマタが腕を伸ばして何かをしようとしたが、ヒカリにリソースを割いているせいか何も出来ずに腕を切り落とされた。
「ボーなのだ!」
トモナリに気を取られて、オートマタの炎の勢いが弱くなった。
ヒカリは逆にブレスの勢いを強めて、オートマタの上半身が炎に包まれる。
「そんなこともできるのか」
人や普通のモンスターならば炎に包まれれば、どうしても大きなダメージを受ける。
しかしオートマタはもがくような様子もなく刺青を光らせて魔法を使う。
頭上に水を発生させて自らに被せて鎮火する。
オートマタがワタワタするとは思わないが、とても冷静な判断である。
「ただ……魔法はあまり連発できないようだな!」
炎を鎮火したオートマタにトモナリは剣を振り下ろす。
オートマタは魔法を使おうとしたのか残った左腕を前に出した。
けれども刺青が光るのは遅く、トモナリの剣がオートマタを切り裂く方が魔法が発動するよりも早かった。
原理は分からないものの刺青が魔法発動に必要なもので、魔法をすぐに連発することはできないようである。
「魔石奪取なのだー!」
トモナリが切り裂いた胴体から魔石が見える。
ビュンと飛んでいったヒカリが通り抜けざまに魔石を取り出した。
「魔法は厄介だけど、正面から戦う分には魔法使いだな」
基本的に魔法使いは接近戦に弱い。
魔法使いオートマタも普通の魔法使いと大きくは変わらないようで、距離さえ近付いてしまえば戦うことは難しくなかった。
「あっちの方も大丈夫そうだな」
剣士オートマタの方はイヌサワが倒していた。
潰れたような姿を見ればイヌサワの重力操作にやられたのだなと簡単に分かった。
「イノウエ……すまない」
油断がなかったとはいえない。
ディーニとペンターゴによって戦う敵の数が減ったことに加えて、オートマタとの戦いに慣れが出てきていた。
油断しないようにと言いながらもどこかで慢心していた可能性は否めない。
二階に来て相手に変化が生まれて、わずかな慢心が死に繋がった。
ディーニとペンターゴのおかげでオートマタの数は減ったけれど、それでも相手の数は多くフォローが間に合わなかった。
オートマタの方も攻撃を受けたイノウエを集中的に狙った。
これまでと変わりない、ただ襲いかかってくると油断しているとこうなってしまうのだとみんなが気を引き締めた。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫だ」
イノウエの死体は袋に入れてインベントリに入れておく。
インベントリに入れられるということは、死んでただのモノ扱いになってしまったということになる。
そのことに抵抗は感じるものの、それでも死体を放置していくわけにはいかないので持ち帰る。
トモナリが声をかけると、シノヅカは平気だと頷いた。
仲間の死にショックを受けないはずはない。
しかしここでいくら嘆こうとも死んだ人は帰ってこない。
早く気持ちを立て直さねばこれからの戦いにも響いてきてしまう。
ゲートの中に入るということは常に死と隣り合わせで、たとえ身近な人が人が死んでも冷静さを保たねばならないのである。
「攻略を続ける。それが犠牲になったイノウエへの手向けにもなるだろう」
一人死んだからと引き返していては進むことなどできない。
オートマタゲートの攻略を進める。
「ここはキッチンか?」
続いて隣の部屋に入る。
そこにはかまどやお皿が並べられた棚があり、鍋などの調理器具が転がっている。
「……いる」
「ここにいるのか?」
「感じます」
「ここにいるなんて……イヤミ?」
「嫌がらせのようですね」
「どういうことだ?」
「こちらの話です」
どうやらキッチンにディーニとペンターゴの仲間がいるらしい。
「ただ簡単じゃなさそうだ」
先ほどの部屋ではこれまでのオートマタよりも強い剣士オートマタや魔法を使うオートマタが現れた。
そしてキッチンではさらにまた別のオートマタがいた。
「多腕型……強そうだね」
壁際に並ぶのは普通のオートマタ。
そしてキッチンのかまどの前にさらに二体のオートマタがいた。
二体のオートマタがキッチンに入ってきたトモナリたちに気づいて武器を構えた。
左右三本ずつ、合計六本の腕を広げる。
手には包丁が持たれている。
確かに人形なので形は自由だ。
完全に人の形をしていなきゃいけないわけでもない。
腕が多い形ぐらいの多少の変則もあり得る話だとトモナリは思う。
「多腕型が私たちに任せてもらおう」
「お願いします!」
強そうな個体には強い人が当たっておくのがいい。
多腕型の二体はイガラシとイヌサワが戦う。
「油断はするなよ! もう死んだりしたら許さないからな!」
他のオートマタも相変わらず数が多い。
シノヅカは広くオートマタを見て、他に特殊な個体がいないかを警戒する。
オートマタの刺青が光って手から炎が放たれた。
ヒカリが対抗するようにブレスを吐き出す。
オートマタとヒカリの炎がぶつかり合う。
「ヒカリの方が強いみたいだな!」
互いの魔法が拮抗したのは一瞬で、ヒカリのブレスの方がオートマタの炎を押し始める。
「防御が疎かになってるぞ!」
刺青がより強く光り、ヒカリのブレスを止めようとしているオートマタは隙だらけだった。
その隙にトモナリが横から迫る。
オートマタが腕を伸ばして何かをしようとしたが、ヒカリにリソースを割いているせいか何も出来ずに腕を切り落とされた。
「ボーなのだ!」
トモナリに気を取られて、オートマタの炎の勢いが弱くなった。
ヒカリは逆にブレスの勢いを強めて、オートマタの上半身が炎に包まれる。
「そんなこともできるのか」
人や普通のモンスターならば炎に包まれれば、どうしても大きなダメージを受ける。
しかしオートマタはもがくような様子もなく刺青を光らせて魔法を使う。
頭上に水を発生させて自らに被せて鎮火する。
オートマタがワタワタするとは思わないが、とても冷静な判断である。
「ただ……魔法はあまり連発できないようだな!」
炎を鎮火したオートマタにトモナリは剣を振り下ろす。
オートマタは魔法を使おうとしたのか残った左腕を前に出した。
けれども刺青が光るのは遅く、トモナリの剣がオートマタを切り裂く方が魔法が発動するよりも早かった。
原理は分からないものの刺青が魔法発動に必要なもので、魔法をすぐに連発することはできないようである。
「魔石奪取なのだー!」
トモナリが切り裂いた胴体から魔石が見える。
ビュンと飛んでいったヒカリが通り抜けざまに魔石を取り出した。
「魔法は厄介だけど、正面から戦う分には魔法使いだな」
基本的に魔法使いは接近戦に弱い。
魔法使いオートマタも普通の魔法使いと大きくは変わらないようで、距離さえ近付いてしまえば戦うことは難しくなかった。
「あっちの方も大丈夫そうだな」
剣士オートマタの方はイヌサワが倒していた。
潰れたような姿を見ればイヌサワの重力操作にやられたのだなと簡単に分かった。
「イノウエ……すまない」
油断がなかったとはいえない。
ディーニとペンターゴによって戦う敵の数が減ったことに加えて、オートマタとの戦いに慣れが出てきていた。
油断しないようにと言いながらもどこかで慢心していた可能性は否めない。
二階に来て相手に変化が生まれて、わずかな慢心が死に繋がった。
ディーニとペンターゴのおかげでオートマタの数は減ったけれど、それでも相手の数は多くフォローが間に合わなかった。
オートマタの方も攻撃を受けたイノウエを集中的に狙った。
これまでと変わりない、ただ襲いかかってくると油断しているとこうなってしまうのだとみんなが気を引き締めた。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫だ」
イノウエの死体は袋に入れてインベントリに入れておく。
インベントリに入れられるということは、死んでただのモノ扱いになってしまったということになる。
そのことに抵抗は感じるものの、それでも死体を放置していくわけにはいかないので持ち帰る。
トモナリが声をかけると、シノヅカは平気だと頷いた。
仲間の死にショックを受けないはずはない。
しかしここでいくら嘆こうとも死んだ人は帰ってこない。
早く気持ちを立て直さねばこれからの戦いにも響いてきてしまう。
ゲートの中に入るということは常に死と隣り合わせで、たとえ身近な人が人が死んでも冷静さを保たねばならないのである。
「攻略を続ける。それが犠牲になったイノウエへの手向けにもなるだろう」
一人死んだからと引き返していては進むことなどできない。
オートマタゲートの攻略を進める。
「ここはキッチンか?」
続いて隣の部屋に入る。
そこにはかまどやお皿が並べられた棚があり、鍋などの調理器具が転がっている。
「……いる」
「ここにいるのか?」
「感じます」
「ここにいるなんて……イヤミ?」
「嫌がらせのようですね」
「どういうことだ?」
「こちらの話です」
どうやらキッチンにディーニとペンターゴの仲間がいるらしい。
「ただ簡単じゃなさそうだ」
先ほどの部屋ではこれまでのオートマタよりも強い剣士オートマタや魔法を使うオートマタが現れた。
そしてキッチンではさらにまた別のオートマタがいた。
「多腕型……強そうだね」
壁際に並ぶのは普通のオートマタ。
そしてキッチンのかまどの前にさらに二体のオートマタがいた。
二体のオートマタがキッチンに入ってきたトモナリたちに気づいて武器を構えた。
左右三本ずつ、合計六本の腕を広げる。
手には包丁が持たれている。
確かに人形なので形は自由だ。
完全に人の形をしていなきゃいけないわけでもない。
腕が多い形ぐらいの多少の変則もあり得る話だとトモナリは思う。
「多腕型が私たちに任せてもらおう」
「お願いします!」
強そうな個体には強い人が当たっておくのがいい。
多腕型の二体はイガラシとイヌサワが戦う。
「油断はするなよ! もう死んだりしたら許さないからな!」
他のオートマタも相変わらず数が多い。
シノヅカは広くオートマタを見て、他に特殊な個体がいないかを警戒する。

