「どりゃー! 新技テイルアターック!」
ヒカリが新たなる技を披露する。
空中で一回転したヒカリは太くてたくましい尻尾をオートマタの顔面に叩きつけた。
魔力の込められた尻尾の威力は意外と馬鹿にできない。
オートマタの頭はヒカリの尻尾によってバラバラに吹き飛んでしまった。
技というほどのものでもないが、確かに言われてみれば回帰前のブラックドラゴンヒカリは尻尾でも攻撃していた。
エドに言われてヒカリも自分にもう一個立派な武器があったと気づいたのだ。
ただわざわざ魔力まで込めていたことは知らなかった。
「ワハハー……にょわっ!」
「ヒカリ、頭潰したぐらいじゃ倒せてないからな!」
頭が無くなってもオートマタは動き続け、手を伸ばしてヒカリを掴もうとした。
「もういっちょー!」
オートマタの手をかわしたヒカリは縦にグルリと回転してオートマタの胴体を破壊する。
「いいぞ! ほっ!」
ヒカリが壊した胴体にチラリと魔石が見えた。
トモナリは剣を突き出して魔石の下に差し込み、クッと魔石を剣で跳ね上げた。
「ナイスなのだ〜」
飛んでいく魔石をヒカリがキャッチした。
最初の場所ということでオートマタの数も多くはない。
それぞれ協力し合いながらオートマタというのがどんなものなのか確かめるように戦って、怪我人もなく最初の戦闘を終えることができた。
「これってどうするんですか?」
「ん? ああ、回収してもあまり値段がつかないから魔石以外は放っておいてるよ」
トモナリは地面に転がったオートマタを見ている。
魔石を抜き取られたオートマタは機能を失って、無惨な姿で動かなくなっている。
利用価値があるなら回収もしていくのだけど、持って帰ったところであまり価値はない。
なので蝦夷ギルドは破壊されたオートマタを持ち帰るつもりはないようである。
「ちょっともらってもいいですか?」
「ああ、好きにして構わないよ」
トモナリは比較的綺麗なオートマタを選んでインベントリに入れていく。
「何に使うんだい?」
「そのうち何かに使うんです」
「直して飾っておくとか?」
「……飾るにはちょっとリアルすぎますかね」
イヌサワがどうしてオートマタを回収するのかとトモナリに近づいてきた。
トモナリも答えをぼかして意味深に答えておく。
かなり精巧な人形なので、綺麗にしておけば置いておきたいという人も一定数いそうな感じはある。
そんな趣味はトモナリにはないので飾っておくつもりはない。
「また隠し事かな?」
「もうちょっとしたら教えてあげますよ」
「んー、秘密主義」
何も教えないトモナリにも気を悪くした様子はなく、イヌサワはトモナリの頬を指でつついた。
「上はあるけど……階段はないな」
改めて中の様子を確認する。
パーティーでも開けそうな広いエントランスホールを見上げてみると二階がある。
しかし二階に上がれそうな場所はない。
なんとなくトモナリのイメージとして、広いホールには階段があってもおかしくないのだけど、そう簡単にはいかないということなのだろう。
「まずは一階を捜索します。過去三回の経験で分かったのは、中の構造も時間のよって少し変わるということです」
二階があるのなら二階に上がるための何かがある。
三回の失敗の中で、そんなものもを見つけられなかったのかというと見つけたこともある。
上への階段を見つけたのは一回目と三回目だ。
しかし見つけた場所は異なっていた。
二回目は一回目の情報を元に捜索したのだが、階段は見つけられなかったのである。
そこから内部の構造が変化しているということも予想されている。
「逆に一度地下への階段を見つけたこともあるようです。地下には入らなかったそうですが、下が正解だった可能性も否めませんね……」
「君はどう思う?」
イヌサワがこっそりトモナリに話しかけてくる。
二階が正解か、地下が正解かを聞きたいのだろう。
今回イガラシギルドが参加することになったのはトモナリが参加するからである。
イガラシやイヌサワはトモナリが未来予知として情報を流していることを知っていて、今回試練ゲートに関わろうとしているのもその一環なことは予想がついている。
ならば洋館の攻略についてもそれなりに知っているはずだろうと思ったのだ。
「正解は二階……ですが、攻略したいなら地下もいくべきです」
「ふぅーん。何か知ってるんだね」
「知らなきゃ来てませんよ」
「それもそうか。じゃあ地下を見つけたらいくように僕から言っておくよ」
「話が早くて助かります」
イヌサワは普段軽い態度をしているが、頭の回転が早くて周りをよく見ている人である。
トモナリのことも信頼してくれているし、良い人を味方につけられたものだなと思う。
「また強くなったね」
「はっ!」
「先輩も」
フウカは戦いながらトモナリの動きを見ていた。
強くなるだろうなと思っていたが、久々に会えばちゃんと強くなっている。
サッとトモナリの頭の後ろに隠れたヒカリもトモナリと一緒に強くなっているなとフウカは嬉しそうに目を細めた。
「一度戦いたいな」
「……まあそれは今度に」
フウカは意外と戦闘狂なところがある。
イガラシギルドでも日々みんなと戦って腕を上げているらしい。
楽しそうでなによりである。
ヒカリが新たなる技を披露する。
空中で一回転したヒカリは太くてたくましい尻尾をオートマタの顔面に叩きつけた。
魔力の込められた尻尾の威力は意外と馬鹿にできない。
オートマタの頭はヒカリの尻尾によってバラバラに吹き飛んでしまった。
技というほどのものでもないが、確かに言われてみれば回帰前のブラックドラゴンヒカリは尻尾でも攻撃していた。
エドに言われてヒカリも自分にもう一個立派な武器があったと気づいたのだ。
ただわざわざ魔力まで込めていたことは知らなかった。
「ワハハー……にょわっ!」
「ヒカリ、頭潰したぐらいじゃ倒せてないからな!」
頭が無くなってもオートマタは動き続け、手を伸ばしてヒカリを掴もうとした。
「もういっちょー!」
オートマタの手をかわしたヒカリは縦にグルリと回転してオートマタの胴体を破壊する。
「いいぞ! ほっ!」
ヒカリが壊した胴体にチラリと魔石が見えた。
トモナリは剣を突き出して魔石の下に差し込み、クッと魔石を剣で跳ね上げた。
「ナイスなのだ〜」
飛んでいく魔石をヒカリがキャッチした。
最初の場所ということでオートマタの数も多くはない。
それぞれ協力し合いながらオートマタというのがどんなものなのか確かめるように戦って、怪我人もなく最初の戦闘を終えることができた。
「これってどうするんですか?」
「ん? ああ、回収してもあまり値段がつかないから魔石以外は放っておいてるよ」
トモナリは地面に転がったオートマタを見ている。
魔石を抜き取られたオートマタは機能を失って、無惨な姿で動かなくなっている。
利用価値があるなら回収もしていくのだけど、持って帰ったところであまり価値はない。
なので蝦夷ギルドは破壊されたオートマタを持ち帰るつもりはないようである。
「ちょっともらってもいいですか?」
「ああ、好きにして構わないよ」
トモナリは比較的綺麗なオートマタを選んでインベントリに入れていく。
「何に使うんだい?」
「そのうち何かに使うんです」
「直して飾っておくとか?」
「……飾るにはちょっとリアルすぎますかね」
イヌサワがどうしてオートマタを回収するのかとトモナリに近づいてきた。
トモナリも答えをぼかして意味深に答えておく。
かなり精巧な人形なので、綺麗にしておけば置いておきたいという人も一定数いそうな感じはある。
そんな趣味はトモナリにはないので飾っておくつもりはない。
「また隠し事かな?」
「もうちょっとしたら教えてあげますよ」
「んー、秘密主義」
何も教えないトモナリにも気を悪くした様子はなく、イヌサワはトモナリの頬を指でつついた。
「上はあるけど……階段はないな」
改めて中の様子を確認する。
パーティーでも開けそうな広いエントランスホールを見上げてみると二階がある。
しかし二階に上がれそうな場所はない。
なんとなくトモナリのイメージとして、広いホールには階段があってもおかしくないのだけど、そう簡単にはいかないということなのだろう。
「まずは一階を捜索します。過去三回の経験で分かったのは、中の構造も時間のよって少し変わるということです」
二階があるのなら二階に上がるための何かがある。
三回の失敗の中で、そんなものもを見つけられなかったのかというと見つけたこともある。
上への階段を見つけたのは一回目と三回目だ。
しかし見つけた場所は異なっていた。
二回目は一回目の情報を元に捜索したのだが、階段は見つけられなかったのである。
そこから内部の構造が変化しているということも予想されている。
「逆に一度地下への階段を見つけたこともあるようです。地下には入らなかったそうですが、下が正解だった可能性も否めませんね……」
「君はどう思う?」
イヌサワがこっそりトモナリに話しかけてくる。
二階が正解か、地下が正解かを聞きたいのだろう。
今回イガラシギルドが参加することになったのはトモナリが参加するからである。
イガラシやイヌサワはトモナリが未来予知として情報を流していることを知っていて、今回試練ゲートに関わろうとしているのもその一環なことは予想がついている。
ならば洋館の攻略についてもそれなりに知っているはずだろうと思ったのだ。
「正解は二階……ですが、攻略したいなら地下もいくべきです」
「ふぅーん。何か知ってるんだね」
「知らなきゃ来てませんよ」
「それもそうか。じゃあ地下を見つけたらいくように僕から言っておくよ」
「話が早くて助かります」
イヌサワは普段軽い態度をしているが、頭の回転が早くて周りをよく見ている人である。
トモナリのことも信頼してくれているし、良い人を味方につけられたものだなと思う。
「また強くなったね」
「はっ!」
「先輩も」
フウカは戦いながらトモナリの動きを見ていた。
強くなるだろうなと思っていたが、久々に会えばちゃんと強くなっている。
サッとトモナリの頭の後ろに隠れたヒカリもトモナリと一緒に強くなっているなとフウカは嬉しそうに目を細めた。
「一度戦いたいな」
「……まあそれは今度に」
フウカは意外と戦闘狂なところがある。
イガラシギルドでも日々みんなと戦って腕を上げているらしい。
楽しそうでなによりである。

