将来的に人類は試練ゲートの処理が追いつかなくなる。
しかし今はまだ試練ゲートの出現は緩やかであり、攻略にも余裕があった。
試練ゲートが出現し始めてから意外と長い時が経っていて、もう現在では試練ゲートも四十番台が現れている。
いつ頃からと聞かれると難しいのだが、およそ六十番台のゲートが出現し始めた頃ぐらいから試練は加速し始めた。
余裕があるうちに力を蓄えねばならない。
ついでに今のうちに攻略できる試練ゲートは攻略しておくべきである。
試練ゲートの攻略は上手くやれば利益も多い。
学生身分なのであちこち顔を出すわけにもいかないものの、確実な利益を見込めるゲートはトモナリも手を出したかった。
試練ゲートなので攻略したいが、不人気が故に攻略されていないゲートもある。
高難度という理由もあれば、利益にならなそうという理由なことも場合によってはありうる。
北海道は札幌、その中心部に近いところに一つのゲートが現れた。
最初に現れた試練ゲートから数えて四十三番目に出現した試練ゲートであった。
場所も場所なだけに早めの攻略が目指された。
しかしもうすでに攻略は三回も失敗に終わっている。
早く攻略してほしいという市民の声とは裏腹に、四十三番目のゲート攻略に手を挙げるギルドはない。
なぜなら四十三番目のゲートは利益が薄いと見られていたからだった。
「あれが噂のオートマタゲートか」
四十三番目のゲートはオートマタゲートと呼ばれていた。
その由来は中に出てくるモンスターからである。
「中に出てくるのは人形……だったけ?」
イヌサワは自分の背丈の倍はあるゲートを見上げる。
「そうです。機械仕掛けの人形……それが四十三番目のゲートに出てくるモンスターです。だからオートマタゲート」
精巧に人の形に作られた人形がゲートにおける敵である。
だから機械仕掛けの人形を意味するオートマタが出てくるゲートだと呼ばれているのだ。
正確には機械仕掛けではなく、魔力で動いているのでちょっと違うのだけど細かいことは気にしない。
「モンスターの素材が取れないから不人気だと聞いているが?」
「その通りです」
イガラシの疑問にキズクは頷いて答える。
オートマタは普通のモンスターと違って生体ではない。
破壊されると中からパーツみたいなものが飛び散るのだけど、溶かして金属として使う以外に利用法がない。
モンスターの死体を解体して利用する素材に比べて価値が近くて高いお金で買い取ってはもらえない。
だから不人気だった。
もうすでに三回も失敗していてリスクが高いのに、名誉以外の利益が得られないのなら覚醒者の攻略する意欲は低くなる。
「あの! 今回は攻略に参加いただきありがとうございます。蝦夷ギルドの篠塚昌也(シノヅカマサヤ)です」
「いえ、試練ゲートの攻略は全人類の義務ですからね」
色白の背の高い男性がイガラシに声をかける。
イガラシが手を差し出すとシノヅカはイガラシの手を握って握手する。
トモナリは今、四十三番目のオートマタゲート攻略をするために北海道を訪れていた。
もちろん単独でゲートに挑むようなバカな真似はしない。
北海道の覚醒者協会支部ではオートマタゲートに挑む覚醒者を募集していた。
トモナリはそれに参加することにしたのだ。
ただし、それも単独ではない。
欲しいものを手に入れたいが、ゲートで入手したものを勝つまでに独占することはできない。
大義名分や活躍したなどの理由が必要なのである。
そこでトモナリは覚醒者協会を利用し、協力をお願いすることにした。
三度目の正直ならぬ、四度目の正直として今度はオートマタゲートを攻略したいと考えているところに、攻略を楽にする方法を予知したとトモナリは伝えた。
覚醒者協会はその情報に飛びついた。
これまでの実績があるので、嘘だと疑うことはない。
もちろんウソではない。
トモナリは攻略に伴うあるものが欲しかった。
だからゲート攻略に参加して利益が欲しいと要求したのだけど、すでに攻略することが決まっているギルドもいたので覚醒者協会としてもなかなか難しい要求である。
なのでトモナリが利益を受け取れ、尚且つトモナリを守るための手段として覚醒者協会で覚醒者を送り込むことにした。
白羽の矢が立ったのがイガラシギルドであった。
トモナリと交流があるし、未来予知のことも知っている。
実力もあるのでトモナリを守りつつ利益を要求できるだけの活躍も見込める。
イガラシギルドもトモナリのためならと快く引き受けてくれてくれた。
今回共にゲートに挑むのは蝦夷ギルドという北海道で活動しているギルドで、トモナリはイガラシギルドの一員として参加している。
「ゲートの確認はこれぐらいにしてウチのギルドでゲートについての情報を共有しましょう」
「助かります」
ゲート周辺は広く封鎖されているが、ゲートがあるのは町中である。
少しいけばまだ人が生活して活動している。
トモナリたちはゲートの前から蝦夷ギルドのギルドハウスに移動した。
蝦夷ギルドが使っている建物は大きなビルだった。
しかし今はまだ試練ゲートの出現は緩やかであり、攻略にも余裕があった。
試練ゲートが出現し始めてから意外と長い時が経っていて、もう現在では試練ゲートも四十番台が現れている。
いつ頃からと聞かれると難しいのだが、およそ六十番台のゲートが出現し始めた頃ぐらいから試練は加速し始めた。
余裕があるうちに力を蓄えねばならない。
ついでに今のうちに攻略できる試練ゲートは攻略しておくべきである。
試練ゲートの攻略は上手くやれば利益も多い。
学生身分なのであちこち顔を出すわけにもいかないものの、確実な利益を見込めるゲートはトモナリも手を出したかった。
試練ゲートなので攻略したいが、不人気が故に攻略されていないゲートもある。
高難度という理由もあれば、利益にならなそうという理由なことも場合によってはありうる。
北海道は札幌、その中心部に近いところに一つのゲートが現れた。
最初に現れた試練ゲートから数えて四十三番目に出現した試練ゲートであった。
場所も場所なだけに早めの攻略が目指された。
しかしもうすでに攻略は三回も失敗に終わっている。
早く攻略してほしいという市民の声とは裏腹に、四十三番目のゲート攻略に手を挙げるギルドはない。
なぜなら四十三番目のゲートは利益が薄いと見られていたからだった。
「あれが噂のオートマタゲートか」
四十三番目のゲートはオートマタゲートと呼ばれていた。
その由来は中に出てくるモンスターからである。
「中に出てくるのは人形……だったけ?」
イヌサワは自分の背丈の倍はあるゲートを見上げる。
「そうです。機械仕掛けの人形……それが四十三番目のゲートに出てくるモンスターです。だからオートマタゲート」
精巧に人の形に作られた人形がゲートにおける敵である。
だから機械仕掛けの人形を意味するオートマタが出てくるゲートだと呼ばれているのだ。
正確には機械仕掛けではなく、魔力で動いているのでちょっと違うのだけど細かいことは気にしない。
「モンスターの素材が取れないから不人気だと聞いているが?」
「その通りです」
イガラシの疑問にキズクは頷いて答える。
オートマタは普通のモンスターと違って生体ではない。
破壊されると中からパーツみたいなものが飛び散るのだけど、溶かして金属として使う以外に利用法がない。
モンスターの死体を解体して利用する素材に比べて価値が近くて高いお金で買い取ってはもらえない。
だから不人気だった。
もうすでに三回も失敗していてリスクが高いのに、名誉以外の利益が得られないのなら覚醒者の攻略する意欲は低くなる。
「あの! 今回は攻略に参加いただきありがとうございます。蝦夷ギルドの篠塚昌也(シノヅカマサヤ)です」
「いえ、試練ゲートの攻略は全人類の義務ですからね」
色白の背の高い男性がイガラシに声をかける。
イガラシが手を差し出すとシノヅカはイガラシの手を握って握手する。
トモナリは今、四十三番目のオートマタゲート攻略をするために北海道を訪れていた。
もちろん単独でゲートに挑むようなバカな真似はしない。
北海道の覚醒者協会支部ではオートマタゲートに挑む覚醒者を募集していた。
トモナリはそれに参加することにしたのだ。
ただし、それも単独ではない。
欲しいものを手に入れたいが、ゲートで入手したものを勝つまでに独占することはできない。
大義名分や活躍したなどの理由が必要なのである。
そこでトモナリは覚醒者協会を利用し、協力をお願いすることにした。
三度目の正直ならぬ、四度目の正直として今度はオートマタゲートを攻略したいと考えているところに、攻略を楽にする方法を予知したとトモナリは伝えた。
覚醒者協会はその情報に飛びついた。
これまでの実績があるので、嘘だと疑うことはない。
もちろんウソではない。
トモナリは攻略に伴うあるものが欲しかった。
だからゲート攻略に参加して利益が欲しいと要求したのだけど、すでに攻略することが決まっているギルドもいたので覚醒者協会としてもなかなか難しい要求である。
なのでトモナリが利益を受け取れ、尚且つトモナリを守るための手段として覚醒者協会で覚醒者を送り込むことにした。
白羽の矢が立ったのがイガラシギルドであった。
トモナリと交流があるし、未来予知のことも知っている。
実力もあるのでトモナリを守りつつ利益を要求できるだけの活躍も見込める。
イガラシギルドもトモナリのためならと快く引き受けてくれてくれた。
今回共にゲートに挑むのは蝦夷ギルドという北海道で活動しているギルドで、トモナリはイガラシギルドの一員として参加している。
「ゲートの確認はこれぐらいにしてウチのギルドでゲートについての情報を共有しましょう」
「助かります」
ゲート周辺は広く封鎖されているが、ゲートがあるのは町中である。
少しいけばまだ人が生活して活動している。
トモナリたちはゲートの前から蝦夷ギルドのギルドハウスに移動した。
蝦夷ギルドが使っている建物は大きなビルだった。

