春を喜ぶ精霊たちに導かれてゲートを出た。
消えゆくゲートから一枚の花びらがトモナリたちと飛び出して、風に吹かれてどこかに飛んでいった。
まるで春が自由になったかのようである。
「感謝するよ、若者たちよ」
ゲートから出てきたトモナリたちはタイショウのヴィラに案内された。
出迎えてくれたタイショウはバスローブ姿でなく、キッチリとしたスーツ姿だった。
「君たちのおかげで頭の痛い問題が片付いた」
エネルギッシュな若さを感じる人だが、キッチリした姿になるとより若く見える。
それでいながら白髪を染めたりもしないのもよく似合っていた。
「報酬は十分に払わせてもらう。ゲート中で得たものも君たちで分配するといい。望むならウチで買い取って報酬と合わせて支払うことできるぞ」
「ああ、じゃあそれでお願いします」
世界樹のタネを除くボスイエティやミニイエティの死体は、どの道買い取ってもらってお金にして分け合うつもりだった。
オウルグループの方で買い取ってくれるというのは手間も省けていい。
「ならばそうしよう。君たちを労うために今ちょっとした食事を用意させるつもりだ。ぜひ食べていってほしい」
みんながチラリとトモナリのことを見る。
どうするかはトモナリに任せるということなのだ。
「ではご招待にあずかります」
断る理由はない。
ゲート攻略で疲れている体は食事も求めている。
寒かったので余計にエネルギーを使った。
良い食事はいいエネルギー補給になる。
「まだ少し時間がかかる。ヒーラーを用意したからゆっくりと休んでくれ」
世の中にはヒールマッサージというものがある。
それはマッサージでヒール効果があるというものではなく、ヒーラーが体にヒールをかけながらマッサージしてくれるものである。
ヒーラーはかなり貴重な存在である。
普通の魔法と違ってヒールは才能がないと使えないためにヒーラーは数が少ない。
ヒールマッサージなんてことをやっているのも戦いに出たくないような人がやっているのみで、数が少なくて儲かるヒーラーは基本的にそうしたことはしない。
オウルグループでは何人かヒーラーを抱えている。
今回はヒーラーがヒールしながらマッサージするものではなくて、ヒーラーとマッサージ師を分けてヒールマッサージをしてくれるものだった。
怪我もしていないのにヒールしてもらえる。
さらにはマッサージまでしてもらえる。
食事の時が来るまで至福の時を過ごした。
「ヤッベェ……俺なんもしてねぇのに……」
マッサージを受けていると時間があっという間に飛んでいく。
気づくと食事の時間になって、タイショウの泊まるヴィラで食事となった。
カエデが用意してくれていた料理は高いものだなと分かるものだったが、タイショウが用意してくれたものはすごい高そうな肉であった。
どデカいステーキという男子憧れの料理が目の前に出された。
ミヤマエはステーキを食べながら、こんなもの自分が食べてもいいのかという気分に少しなっていた。
「いいから喜んで食っとけって」
「……そっすね!」
「こんな美味いもん食わなきゃ損なのだ!」
「ふっ、こうしたものも出すつもりでな」
コース料理のような落ち着いたものも用意する予定だが、リゾートにはもっと気兼ねなく食べられるようなステーキハウスのようなものを作るつもりだとタイショウは笑った。
どこかの南国の島のようなワイルドなステーキは高級感がありつつ、高級レストランのようなハードルもない。
「君たちの進路は決まっているのか? そろそろ本格的に覚醒者になるかどうか決める時期だろう?」
夏休みを過ぎて後期授業が始まると、もう道を決めることになる。
覚醒者が合わないという生徒は勉強を重視して受験に備え始め、覚醒者になると決めた生徒も覚醒者としての道を考え始める。
覚醒者でも大学を目指す人はいる。
レベルや経験が重要なので高卒で覚醒者として活動を始める人が多いものの、単に覚醒者としての道を歩むだけではない。
「ここにいる全員覚醒者を目指すと思います。でもその先はまだ……決まってないです」
タイショウがこんな話題を出した理由はわかっている。
勧誘したいのだろうと思う。
だからトモナリは先手を打って答えておく。
「そうか。よければオウルグループも候補に入れておいてくれ。君たちならば歓迎しよう」
「ありがとうございます。考えておきます」
「ふむ、君は大人の対応が上手いな」
「そんなことはありませんよ」
「今回君には借りができてしまったな。何かあったらウチにいつでもウチに連絡を。できることは手助けしよう」
オウルグループに一つ貸しを作ることに成功した。
ついでに世界樹のタネという貴重品まで手に入れることができた。
みんなの総意でトモナリが世界樹のタネはトモナリが持つことになった。
「まあ本格的に将来のこと考えなきゃいけないな」
暑い夏が終わる。
アカデミーを卒業した後のこともそろそろ本気で考える時が迫っていた。
消えゆくゲートから一枚の花びらがトモナリたちと飛び出して、風に吹かれてどこかに飛んでいった。
まるで春が自由になったかのようである。
「感謝するよ、若者たちよ」
ゲートから出てきたトモナリたちはタイショウのヴィラに案内された。
出迎えてくれたタイショウはバスローブ姿でなく、キッチリとしたスーツ姿だった。
「君たちのおかげで頭の痛い問題が片付いた」
エネルギッシュな若さを感じる人だが、キッチリした姿になるとより若く見える。
それでいながら白髪を染めたりもしないのもよく似合っていた。
「報酬は十分に払わせてもらう。ゲート中で得たものも君たちで分配するといい。望むならウチで買い取って報酬と合わせて支払うことできるぞ」
「ああ、じゃあそれでお願いします」
世界樹のタネを除くボスイエティやミニイエティの死体は、どの道買い取ってもらってお金にして分け合うつもりだった。
オウルグループの方で買い取ってくれるというのは手間も省けていい。
「ならばそうしよう。君たちを労うために今ちょっとした食事を用意させるつもりだ。ぜひ食べていってほしい」
みんながチラリとトモナリのことを見る。
どうするかはトモナリに任せるということなのだ。
「ではご招待にあずかります」
断る理由はない。
ゲート攻略で疲れている体は食事も求めている。
寒かったので余計にエネルギーを使った。
良い食事はいいエネルギー補給になる。
「まだ少し時間がかかる。ヒーラーを用意したからゆっくりと休んでくれ」
世の中にはヒールマッサージというものがある。
それはマッサージでヒール効果があるというものではなく、ヒーラーが体にヒールをかけながらマッサージしてくれるものである。
ヒーラーはかなり貴重な存在である。
普通の魔法と違ってヒールは才能がないと使えないためにヒーラーは数が少ない。
ヒールマッサージなんてことをやっているのも戦いに出たくないような人がやっているのみで、数が少なくて儲かるヒーラーは基本的にそうしたことはしない。
オウルグループでは何人かヒーラーを抱えている。
今回はヒーラーがヒールしながらマッサージするものではなくて、ヒーラーとマッサージ師を分けてヒールマッサージをしてくれるものだった。
怪我もしていないのにヒールしてもらえる。
さらにはマッサージまでしてもらえる。
食事の時が来るまで至福の時を過ごした。
「ヤッベェ……俺なんもしてねぇのに……」
マッサージを受けていると時間があっという間に飛んでいく。
気づくと食事の時間になって、タイショウの泊まるヴィラで食事となった。
カエデが用意してくれていた料理は高いものだなと分かるものだったが、タイショウが用意してくれたものはすごい高そうな肉であった。
どデカいステーキという男子憧れの料理が目の前に出された。
ミヤマエはステーキを食べながら、こんなもの自分が食べてもいいのかという気分に少しなっていた。
「いいから喜んで食っとけって」
「……そっすね!」
「こんな美味いもん食わなきゃ損なのだ!」
「ふっ、こうしたものも出すつもりでな」
コース料理のような落ち着いたものも用意する予定だが、リゾートにはもっと気兼ねなく食べられるようなステーキハウスのようなものを作るつもりだとタイショウは笑った。
どこかの南国の島のようなワイルドなステーキは高級感がありつつ、高級レストランのようなハードルもない。
「君たちの進路は決まっているのか? そろそろ本格的に覚醒者になるかどうか決める時期だろう?」
夏休みを過ぎて後期授業が始まると、もう道を決めることになる。
覚醒者が合わないという生徒は勉強を重視して受験に備え始め、覚醒者になると決めた生徒も覚醒者としての道を考え始める。
覚醒者でも大学を目指す人はいる。
レベルや経験が重要なので高卒で覚醒者として活動を始める人が多いものの、単に覚醒者としての道を歩むだけではない。
「ここにいる全員覚醒者を目指すと思います。でもその先はまだ……決まってないです」
タイショウがこんな話題を出した理由はわかっている。
勧誘したいのだろうと思う。
だからトモナリは先手を打って答えておく。
「そうか。よければオウルグループも候補に入れておいてくれ。君たちならば歓迎しよう」
「ありがとうございます。考えておきます」
「ふむ、君は大人の対応が上手いな」
「そんなことはありませんよ」
「今回君には借りができてしまったな。何かあったらウチにいつでもウチに連絡を。できることは手助けしよう」
オウルグループに一つ貸しを作ることに成功した。
ついでに世界樹のタネという貴重品まで手に入れることができた。
みんなの総意でトモナリが世界樹のタネはトモナリが持つことになった。
「まあ本格的に将来のこと考えなきゃいけないな」
暑い夏が終わる。
アカデミーを卒業した後のこともそろそろ本気で考える時が迫っていた。

