「入るしかないな」
周りを見た感じでは他に怪しいものはない。
吹雪の中で山をぐるりと捜索するより洞窟を捜索してみる方が早いだろう。
外は吹雪いていて薄暗い。
明かりなんかない洞窟の中は当然真っ暗である。
ライトを体につけて周りを照らす。
魔法タイプのコウには直接戦うことが少ないので、ランタン型の周りを明るく照らせるライトを持ってもらう。
「うぅ……そんなに変わらないね」
自然の洞窟は気温が一定なことが多い。
外が暑ければひんやりと感じられ、外が寒ければ暖かく感じられるものだ。
しかし洞窟の中は異常なまでに寒い。
まるで冷凍庫の中にいるように寒さが肌を刺してくる。
呼吸するたびに肺に冷たい空気が流れ込んでくる。
魔力で保護していなかったら体の中から冷えてきてしまうだろう。
雪や風がない分だけ外よりはマシかもしれない。
『クスクス……きたよ』
『あの人たちはどうだろうね』
またしても声が聞こえる。
「明確な敵意があるってわけじゃないが……」
声に敵意はない。
出ていけというような雰囲気や、攻撃してくるような雰囲気はないのである。
だがどこからか見られているような感じがする。
こんな場合はスルーする。
下手に探し出したりする方が相手の怒りに触れることになるかもしれない。
「とりあえず進んでいこう。何かあるかもしれない」
ここまできて洞窟を出るという選択肢はない。
トモナリたちは洞窟を進んでいく。
「敵は変わらず……か」
進んでいくと地面にたむろっているミニイエティの群れに遭遇した。
十体ほどの群れで、これまでに相手にしてきた中でも数は多い。
ただ相手がミニイエティなことに変わりはない。
数は多いものの、基本を守って戦う。
タンク役であるサーシャの負担はやや重めなものとなってしまうが、サーシャは上手く複数のミニイエティを引きつけてくれている。
「ボーッ!」
ヒカリが隙をついてミニイエティにブレスを浴びせる。
全身火だるまになったミニイエティが地面を転がり回る。
「雑魚でこれなら、あまり難しいことはなさそうだけどな」
ミニイエティがゲートに出てくる一般的な雑魚モンスターで間違いないだろう。
多くの場合ゲートには多く出てくる通常のモンスターと少数のボス個体がいる。
ボス個体は通常のモンスターよりも強いのが基本であるものの、通常のモンスターの能力からかけ離れた強さを持っていることは少ない。
ランク分けされている分けなので、その範囲には収まるような強さなのだ。
時には相性や環境、通常のモンスターの存在や特殊なスキルによってゲート等級以上の強さを発揮することはある。
しかし通常のモンスターを見ればボスの強さも大体分かるのが普通の考えであった。
ミニイエティの能力からボスの能力を考えてみる。
今の所ミニイエティに特殊な能力はない。
素早さも力もそこそこであるが、その程度の話だ。
ボスモンスターが通常のモンスターの強化版であることもよく見る話であり、ミニイエティの強化版がボスだとしたら今の戦力でも十分に戦える。
むしろそんなに厳しくはならないかもしれない。
「まあ油断はできないな……」
ボスの予想も外れることがある。
全く違うモンスターなこともあるので、楽だろうなんて油断はしない。
加えて、無視できない要素として、時折聞こえてくる笑い声の存在は気になる。
敵でもないが、ゲートの中で味方となる存在が現れることはまずない。
トモナリの記憶ではないとは言い切れないが、かなり希少なゲートである。
それこそ、そのようなゲートであるならば回帰前に聞いたこともある可能性が大きい。
雪山の洞窟は少し環境としては珍しい方で、味方が現れるようなゲートならば聞いているだろう。
そんな記憶はないので、笑い声の正体が味方になってくれるとは思いにくい。
敵でもなければ味方でもない存在がゲートの中にいるのもまた考えにくい。
「どこかで敵になるんだろうな」
何が出てきてもいいように警戒は怠らないようにしなければならないと気を引き締める。
「壁が凍ってますね」
寒さがより厳しくなってきた。
コウがライトを上げて壁を見る。
洞窟の内側も凍りついていて、ライトの光をキラキラと反射している。
「足元も要注意だな」
「氷で滑るかもしれないもんね」
「ツルってしたら笑えない」
壁が凍っているということは地面も凍っている可能性があるということである。
ただ凍っているだけならいいが、戦っている最中に凍っているところを踏んでしまうと滑るかもしれない。
厚着をしているので滑って転んでもそんなに痛くないだろうが、滑って転べば無防備になる。
対処が難しくないミニイエティ相手でも無防備に転べば危険である。
めんどくさい要素が増えたなとトモナリはため息をつく。
「あれ……なんだろうね?」
「推測するに、冬の結晶ってやつじゃないかな?」
洞窟の奥に行くと広い空間があった。
トモナリたちは中に入らずにまずは中を覗き込んだ。
結晶のように天井からぶら下がっている透明な氷がうっすらと光を放っていて、空間は意外と明るいという不思議な場所である。
真ん中にはまるで雪の結晶のような青い塊があった。
周りを見た感じでは他に怪しいものはない。
吹雪の中で山をぐるりと捜索するより洞窟を捜索してみる方が早いだろう。
外は吹雪いていて薄暗い。
明かりなんかない洞窟の中は当然真っ暗である。
ライトを体につけて周りを照らす。
魔法タイプのコウには直接戦うことが少ないので、ランタン型の周りを明るく照らせるライトを持ってもらう。
「うぅ……そんなに変わらないね」
自然の洞窟は気温が一定なことが多い。
外が暑ければひんやりと感じられ、外が寒ければ暖かく感じられるものだ。
しかし洞窟の中は異常なまでに寒い。
まるで冷凍庫の中にいるように寒さが肌を刺してくる。
呼吸するたびに肺に冷たい空気が流れ込んでくる。
魔力で保護していなかったら体の中から冷えてきてしまうだろう。
雪や風がない分だけ外よりはマシかもしれない。
『クスクス……きたよ』
『あの人たちはどうだろうね』
またしても声が聞こえる。
「明確な敵意があるってわけじゃないが……」
声に敵意はない。
出ていけというような雰囲気や、攻撃してくるような雰囲気はないのである。
だがどこからか見られているような感じがする。
こんな場合はスルーする。
下手に探し出したりする方が相手の怒りに触れることになるかもしれない。
「とりあえず進んでいこう。何かあるかもしれない」
ここまできて洞窟を出るという選択肢はない。
トモナリたちは洞窟を進んでいく。
「敵は変わらず……か」
進んでいくと地面にたむろっているミニイエティの群れに遭遇した。
十体ほどの群れで、これまでに相手にしてきた中でも数は多い。
ただ相手がミニイエティなことに変わりはない。
数は多いものの、基本を守って戦う。
タンク役であるサーシャの負担はやや重めなものとなってしまうが、サーシャは上手く複数のミニイエティを引きつけてくれている。
「ボーッ!」
ヒカリが隙をついてミニイエティにブレスを浴びせる。
全身火だるまになったミニイエティが地面を転がり回る。
「雑魚でこれなら、あまり難しいことはなさそうだけどな」
ミニイエティがゲートに出てくる一般的な雑魚モンスターで間違いないだろう。
多くの場合ゲートには多く出てくる通常のモンスターと少数のボス個体がいる。
ボス個体は通常のモンスターよりも強いのが基本であるものの、通常のモンスターの能力からかけ離れた強さを持っていることは少ない。
ランク分けされている分けなので、その範囲には収まるような強さなのだ。
時には相性や環境、通常のモンスターの存在や特殊なスキルによってゲート等級以上の強さを発揮することはある。
しかし通常のモンスターを見ればボスの強さも大体分かるのが普通の考えであった。
ミニイエティの能力からボスの能力を考えてみる。
今の所ミニイエティに特殊な能力はない。
素早さも力もそこそこであるが、その程度の話だ。
ボスモンスターが通常のモンスターの強化版であることもよく見る話であり、ミニイエティの強化版がボスだとしたら今の戦力でも十分に戦える。
むしろそんなに厳しくはならないかもしれない。
「まあ油断はできないな……」
ボスの予想も外れることがある。
全く違うモンスターなこともあるので、楽だろうなんて油断はしない。
加えて、無視できない要素として、時折聞こえてくる笑い声の存在は気になる。
敵でもないが、ゲートの中で味方となる存在が現れることはまずない。
トモナリの記憶ではないとは言い切れないが、かなり希少なゲートである。
それこそ、そのようなゲートであるならば回帰前に聞いたこともある可能性が大きい。
雪山の洞窟は少し環境としては珍しい方で、味方が現れるようなゲートならば聞いているだろう。
そんな記憶はないので、笑い声の正体が味方になってくれるとは思いにくい。
敵でもなければ味方でもない存在がゲートの中にいるのもまた考えにくい。
「どこかで敵になるんだろうな」
何が出てきてもいいように警戒は怠らないようにしなければならないと気を引き締める。
「壁が凍ってますね」
寒さがより厳しくなってきた。
コウがライトを上げて壁を見る。
洞窟の内側も凍りついていて、ライトの光をキラキラと反射している。
「足元も要注意だな」
「氷で滑るかもしれないもんね」
「ツルってしたら笑えない」
壁が凍っているということは地面も凍っている可能性があるということである。
ただ凍っているだけならいいが、戦っている最中に凍っているところを踏んでしまうと滑るかもしれない。
厚着をしているので滑って転んでもそんなに痛くないだろうが、滑って転べば無防備になる。
対処が難しくないミニイエティ相手でも無防備に転べば危険である。
めんどくさい要素が増えたなとトモナリはため息をつく。
「あれ……なんだろうね?」
「推測するに、冬の結晶ってやつじゃないかな?」
洞窟の奥に行くと広い空間があった。
トモナリたちは中に入らずにまずは中を覗き込んだ。
結晶のように天井からぶら下がっている透明な氷がうっすらと光を放っていて、空間は意外と明るいという不思議な場所である。
真ん中にはまるで雪の結晶のような青い塊があった。

