「あんな感じならアカデミーも悪くなかったかもな」
イワヤもトモナリたちの雰囲気は良いものだと感じていた。
「……みんな、できるだけ近くに!」
山に近づくほどに吹雪は強くなる。
雪と風のせいで視界が狭くなっていて、モンスターの危険もあるし遭難してしまうような危険もある。
普通の環境でも危険を感じるような荒れ具合。
ましてゲートの中なら何があってもおかしくない。
互いを見失わないように近くに寄って、吹雪の中を進んでいく。
「なんか……笑い声が聞こえてこない?」
ミズキがキョロキョロと周りのことを見る。
強い風の音に混じって笑い声が聞こえてくるような気がしたのだ。
「立ち止まって耳をすませてみよう」
気のせいだろ。
そんなことは言いはしない。
ゲートにおける小さな違和感は決して見逃してはならない。
誰かが何かを感じたのならそれを確かめる。
「聞こえる」
「うん……なんだか小さい女の子の笑い声みたいだね」
吹雪の中で足を止めて音に集中する。
するとうるさいほどの風の音に混じってクスクスと笑うような声が聞こえてきていた。
まるで小さい女の子のような声にも聞こえる。
ミニイエティの声とは違う。
「遠いのか、近いのか……それも分かんねえな」
ユウトは目を凝らして周りのことを警戒する。
声の正体が近くにいるかもしれないと思って見回すが、吹雪で視界が悪くて何も見えない。
声の感じからすれば遠くにも感じられるので見えない距離にいる可能性も十分にある。
「遊ぼうよ」
「ヒッ!」
すぐ近くで声が聞こえた。
トモナリは振り返ったが、何かの姿があることはない。
「遠ざかっていくね……」
遊ぼう。
そんな声が聞こえてから笑い声は遠くなっていって聞こえなくなった。
「うむむむ……気味が悪いのだ! 遊びたいなら堂々と来るのだぁ〜」
遊ぼうというのなら遊んでもいいとヒカリは思う。
でも姿が見えないのに遊びようもない。
「へへぇ〜、お化けみたい」
ミズキは顔をしかめる。
姿が見えずに声だけするなんて、相手の正体はお化けだろうか。
「あり得ない話じゃないからな」
「だとしたら面倒だね」
「コウが頼みになるな」
お化けとは言わないが、ゴースト系統のモンスターは存在している。
魂の存在というよりは魔力の塊のような存在であるらしいが、お化けといってイメージするような半透明なものもいるのだ。
人っぽいものもいるからお化けのようだと言っても遠い予想でもないのである。
ゴーストはやや特殊なモンスターである。
物理的な攻撃はほぼ通じない。
魔法だったり、トモナリがやるように炎をまとったりと対策が必要になる。
「まあ、本当にゴーストなら頑張るよ。でもゴーストっぽくはないよね」
そもそもゴーストも見た目は人っぽくても、中身はあまり人っぽくないことの方が多い。
声を上げるとしてもうめき声で、すぐさま襲いかかってくるようなものである。
クスクス笑った挙句に遊ぼうなどと言ってくるモンスターではない。
「それに環境も合わないしな」
モンスターにもある程度の法則性のようなものがある。
熱い環境に氷のモンスターが出てくることはまずあり得ない。
水の中に泳げないモンスターは出てこないし、明るい環境にゴーストも出現しない。
雪山にゴーストというのは少しミスマッチな感じがある。
いないとも限らないが、多くの場合が暗い環境で沈み込んだような雰囲気が周りに漂っている。
今は吹雪いていて暗いが、アンデッド系統のモンスターが出てくる暗さとはまた違う。
ゴーストではないだろうなとトモナリは思った。
「じゃあなんでしょうかね?」
「予想はあるけど……まだ確実なことは言えないな」
相手がなんなのか。
トモナリは経験の中からある程度の目星はつけてある。
しかし確実なことも言えないのに先入観を持たせる予想を口にはしない。
それでも警戒は強めて進む。
再びミニイエティに襲われたけれど、警戒を強めていた圭たちは奇襲にもしっかりと対処して危なげもなかった。
「やっぱりイエティじゃなさそうだね」
叫び声や戦いの声を聞いてもクスクスとした笑い声には聞こえない。
ミニイエティが笑い声の主じゃないことは確かである。
「雪山に差し掛かってきたな」
足元が傾斜してきていることをトモナリは感じた。
遠くに見えていた雪山はいつのまにか高い雪壁のように目の前にきている。
「笑い声がハッキリと聞こえるな」
しばらく聞こえていなかったクスクスとした声がかなり近くで聞こえている。
ミズキやユウトは周りを気にしているが、笑い声の正体は見当たらない。
「トモナリ、あっちになんかあるのだ!」
ミズキの服の中でヌクヌクとしていたヒカリが何かを見つけた。
ただ服の中から指差しているので、あっちがどっちなのかわからない。
「……何か黒いもの?」
吹雪いている状況も相変わらずで、離れたところに何か黒いものが見えていた。
トモナリたちはそちらに向かってみる。
「洞窟だ」
黒く見えていたものは洞窟の入り口であった。
ポッカリと口を広げた洞窟は入ってこいと言っているかのようである。
イワヤもトモナリたちの雰囲気は良いものだと感じていた。
「……みんな、できるだけ近くに!」
山に近づくほどに吹雪は強くなる。
雪と風のせいで視界が狭くなっていて、モンスターの危険もあるし遭難してしまうような危険もある。
普通の環境でも危険を感じるような荒れ具合。
ましてゲートの中なら何があってもおかしくない。
互いを見失わないように近くに寄って、吹雪の中を進んでいく。
「なんか……笑い声が聞こえてこない?」
ミズキがキョロキョロと周りのことを見る。
強い風の音に混じって笑い声が聞こえてくるような気がしたのだ。
「立ち止まって耳をすませてみよう」
気のせいだろ。
そんなことは言いはしない。
ゲートにおける小さな違和感は決して見逃してはならない。
誰かが何かを感じたのならそれを確かめる。
「聞こえる」
「うん……なんだか小さい女の子の笑い声みたいだね」
吹雪の中で足を止めて音に集中する。
するとうるさいほどの風の音に混じってクスクスと笑うような声が聞こえてきていた。
まるで小さい女の子のような声にも聞こえる。
ミニイエティの声とは違う。
「遠いのか、近いのか……それも分かんねえな」
ユウトは目を凝らして周りのことを警戒する。
声の正体が近くにいるかもしれないと思って見回すが、吹雪で視界が悪くて何も見えない。
声の感じからすれば遠くにも感じられるので見えない距離にいる可能性も十分にある。
「遊ぼうよ」
「ヒッ!」
すぐ近くで声が聞こえた。
トモナリは振り返ったが、何かの姿があることはない。
「遠ざかっていくね……」
遊ぼう。
そんな声が聞こえてから笑い声は遠くなっていって聞こえなくなった。
「うむむむ……気味が悪いのだ! 遊びたいなら堂々と来るのだぁ〜」
遊ぼうというのなら遊んでもいいとヒカリは思う。
でも姿が見えないのに遊びようもない。
「へへぇ〜、お化けみたい」
ミズキは顔をしかめる。
姿が見えずに声だけするなんて、相手の正体はお化けだろうか。
「あり得ない話じゃないからな」
「だとしたら面倒だね」
「コウが頼みになるな」
お化けとは言わないが、ゴースト系統のモンスターは存在している。
魂の存在というよりは魔力の塊のような存在であるらしいが、お化けといってイメージするような半透明なものもいるのだ。
人っぽいものもいるからお化けのようだと言っても遠い予想でもないのである。
ゴーストはやや特殊なモンスターである。
物理的な攻撃はほぼ通じない。
魔法だったり、トモナリがやるように炎をまとったりと対策が必要になる。
「まあ、本当にゴーストなら頑張るよ。でもゴーストっぽくはないよね」
そもそもゴーストも見た目は人っぽくても、中身はあまり人っぽくないことの方が多い。
声を上げるとしてもうめき声で、すぐさま襲いかかってくるようなものである。
クスクス笑った挙句に遊ぼうなどと言ってくるモンスターではない。
「それに環境も合わないしな」
モンスターにもある程度の法則性のようなものがある。
熱い環境に氷のモンスターが出てくることはまずあり得ない。
水の中に泳げないモンスターは出てこないし、明るい環境にゴーストも出現しない。
雪山にゴーストというのは少しミスマッチな感じがある。
いないとも限らないが、多くの場合が暗い環境で沈み込んだような雰囲気が周りに漂っている。
今は吹雪いていて暗いが、アンデッド系統のモンスターが出てくる暗さとはまた違う。
ゴーストではないだろうなとトモナリは思った。
「じゃあなんでしょうかね?」
「予想はあるけど……まだ確実なことは言えないな」
相手がなんなのか。
トモナリは経験の中からある程度の目星はつけてある。
しかし確実なことも言えないのに先入観を持たせる予想を口にはしない。
それでも警戒は強めて進む。
再びミニイエティに襲われたけれど、警戒を強めていた圭たちは奇襲にもしっかりと対処して危なげもなかった。
「やっぱりイエティじゃなさそうだね」
叫び声や戦いの声を聞いてもクスクスとした笑い声には聞こえない。
ミニイエティが笑い声の主じゃないことは確かである。
「雪山に差し掛かってきたな」
足元が傾斜してきていることをトモナリは感じた。
遠くに見えていた雪山はいつのまにか高い雪壁のように目の前にきている。
「笑い声がハッキリと聞こえるな」
しばらく聞こえていなかったクスクスとした声がかなり近くで聞こえている。
ミズキやユウトは周りを気にしているが、笑い声の正体は見当たらない。
「トモナリ、あっちになんかあるのだ!」
ミズキの服の中でヌクヌクとしていたヒカリが何かを見つけた。
ただ服の中から指差しているので、あっちがどっちなのかわからない。
「……何か黒いもの?」
吹雪いている状況も相変わらずで、離れたところに何か黒いものが見えていた。
トモナリたちはそちらに向かってみる。
「洞窟だ」
黒く見えていたものは洞窟の入り口であった。
ポッカリと口を広げた洞窟は入ってこいと言っているかのようである。

