「ビバ、赤点回避!」
水着姿のユウトは雲一つない空に両腕を突き上げる。
目の前には海が広がっていて、遠くを見つめると青い空と青い海で水平線を作り出していた。
「もうちょっとちゃんと勉強すれば赤点なんかにならないのに……」
ユウトの後ろでマコトが小さくため息をつく。
マコトも水着を着ているが、あまり日焼けに強くないマコトはラッシュガードを羽織っている。
「アカデミーの本分は正直勉強じゃないもんな」
「満点は難しいけど……結構簡単な問題も多いと思うんだけどな」
「頭がいいお前たちには俺の苦労が分かんないんだよ!」
水着姿のトモナリとコウもユウトに対してため息をつく。
「先輩たち、そんなことよりも海だぜ、海!」
その場にはミヤマエもいる。
こちらも例に漏れず水着着用だ。
「そーだよな! もう終わったテストのことなんか考えても仕方ないもんな!」
トモナリたちは今、海にいた。
真っ白な砂浜と澄んだ青い海、照りつける太陽とまさしく夏の光景が広がっている。
アカデミーにいて大きな事件などそうそう起きない。
気づけば夏になり、夏休みを迎えることになったトモナリたちはまた休みに会う計画を立てていた。
やっぱり海という意見もあって、トモナリも広い家に引っ越したからまたトモナリのところにという話が出ていた。
「にしても遅いっすね……」
「女性陣は準備にも時間かかるんだよ」
「お待たせ〜」
「あっ、来たみたいだぞ」
もちろん男だけ来ているのではない。
声に振り返るとミズキを始めとして課外活動部の二年生、そして一年生の女の子たちが勢揃いしていた。
「うおっ……先輩セクシー……」
「テメェ……それ以上見たら目玉くり抜くぞ……!」
加えてカエデとタケルもいた。
黒いビキニを身につけたカエデはスタイルの良さもあって、非常に大人びて見える。
鼻の下を伸ばすようにしているミヤマエに対して、タケルは怖い顔をして威嚇する。
「うむ、みんな勢揃いなのだ!」
カエデが水着がわりに用意してくれた麦わら帽子を被ったヒカリは笑顔を浮かべる。
一年生はともかく、なぜカエデとタケルがいるのか。
それは今いる海がトモナリの家の近くにある海水浴場ではないからだった。
周りにはトモナリたち以外に人はいない。
この時期なら海水浴に来る人でそこら中人で埋め尽くされていてもおかしくない。
なのに完全に貸切状態である。
人がいない理由、それはオウルグループ所有のビーチだからであった。
「改めて、ありがとうございます、先輩」
「これぐらい構わないよ。お前には世話になっているしな」
当然ながら勝手にやってきたというわけじゃない。
カエデに招待されて、トモナリたちはここに来ることになったのだった。
「にしてもここ貸切ってすごいな……」
広くて綺麗な砂浜と海を自分たちだけで使い放題というのは、さすが大企業だなと思ってしまう。
「わ、私もよかったんですか?」
「いいんじゃないか? もう来てるし今更だろ」
一年生はミヤマエ、ハルカ、ナナに加えてもう一人来ている。
柊未来(ヒイラギミライ)という女の子だ。
スレンダーで背の高いナナと小柄なハルカの間ぐらいのボーイッシュな雰囲気がある子で、今は少し不安そうな顔をしている。
いつもの三人の他に課外活動部の一年生はもう三人いた。
今回二人は辞退したが、一人は来ることになった。
それがミライである。
普段トレーニングに参加しているミヤマエたち三人と比べて、ミライはまだ親交が薄い。
楽しそうだと思ったし一年生六人のうち女の子は三人で、ハルカとナナの二人が行くならとミライも来たが、ちょっと場違いだったかなとミライは思った。
「これを機に仲良くしようぜ」
場違いなんてことはない。
せっかく来たのだから親交を深めていけばいいとトモナリは笑顔を浮かべる。
「よし! ミヤマエ、いくぞ!」
「うっす!」
「あっ、せめて準備運動ぐらい……聞いてないか」
ユウトとミヤマエは早速海に走っていく。
軽く準備運動でもした方がいいというマコトの言葉は二人に一切聞こえていなかった。
「先輩手伝いますよ」
一人男性陣とは別に女性陣と来たタケルであるが、何も着替えを一緒にしていたわけじゃない。
タケルはビーチパラソルや敷物を持ってきていた。
トモナリはビーチパラソルを立てるのを手伝う。
「悪いな」
「いえ、招待されてる身ですし。ヒカリも行っていいぞ」
「うぬ……いくのだー!」
トモナリが行くのを待ってソワソワしていたヒカリも我慢できずに海に向かう。
「先輩たちは忙しくないんですか?」
就職活動というか、卒業後の進路について忙しくしている三年生は多い。
覚醒者を諦めて大学進学や就職活動をしている人もいれば、覚醒者を募集しているギルドに面接に行ったりしているような人もいる。
「そこらへん俺たちはコネがあるからな」
タケルは笑顔を浮かべる。
タケルもカエデももう行く先は決まっている。
カエデはオウルグループのご令嬢で、タケルはそんなカエデの護衛みたいなものだ。
覚醒者となった時点でよほどのことがない限り進路は決まっていたようなものである。
二人はオウルグループの覚醒者チームに行くことになっていて、すでに研修などを行い始めているのだった。
もしかしたらカエデはその先にオウルグループの重要役職なんでこともあるのかもしれない。
水着姿のユウトは雲一つない空に両腕を突き上げる。
目の前には海が広がっていて、遠くを見つめると青い空と青い海で水平線を作り出していた。
「もうちょっとちゃんと勉強すれば赤点なんかにならないのに……」
ユウトの後ろでマコトが小さくため息をつく。
マコトも水着を着ているが、あまり日焼けに強くないマコトはラッシュガードを羽織っている。
「アカデミーの本分は正直勉強じゃないもんな」
「満点は難しいけど……結構簡単な問題も多いと思うんだけどな」
「頭がいいお前たちには俺の苦労が分かんないんだよ!」
水着姿のトモナリとコウもユウトに対してため息をつく。
「先輩たち、そんなことよりも海だぜ、海!」
その場にはミヤマエもいる。
こちらも例に漏れず水着着用だ。
「そーだよな! もう終わったテストのことなんか考えても仕方ないもんな!」
トモナリたちは今、海にいた。
真っ白な砂浜と澄んだ青い海、照りつける太陽とまさしく夏の光景が広がっている。
アカデミーにいて大きな事件などそうそう起きない。
気づけば夏になり、夏休みを迎えることになったトモナリたちはまた休みに会う計画を立てていた。
やっぱり海という意見もあって、トモナリも広い家に引っ越したからまたトモナリのところにという話が出ていた。
「にしても遅いっすね……」
「女性陣は準備にも時間かかるんだよ」
「お待たせ〜」
「あっ、来たみたいだぞ」
もちろん男だけ来ているのではない。
声に振り返るとミズキを始めとして課外活動部の二年生、そして一年生の女の子たちが勢揃いしていた。
「うおっ……先輩セクシー……」
「テメェ……それ以上見たら目玉くり抜くぞ……!」
加えてカエデとタケルもいた。
黒いビキニを身につけたカエデはスタイルの良さもあって、非常に大人びて見える。
鼻の下を伸ばすようにしているミヤマエに対して、タケルは怖い顔をして威嚇する。
「うむ、みんな勢揃いなのだ!」
カエデが水着がわりに用意してくれた麦わら帽子を被ったヒカリは笑顔を浮かべる。
一年生はともかく、なぜカエデとタケルがいるのか。
それは今いる海がトモナリの家の近くにある海水浴場ではないからだった。
周りにはトモナリたち以外に人はいない。
この時期なら海水浴に来る人でそこら中人で埋め尽くされていてもおかしくない。
なのに完全に貸切状態である。
人がいない理由、それはオウルグループ所有のビーチだからであった。
「改めて、ありがとうございます、先輩」
「これぐらい構わないよ。お前には世話になっているしな」
当然ながら勝手にやってきたというわけじゃない。
カエデに招待されて、トモナリたちはここに来ることになったのだった。
「にしてもここ貸切ってすごいな……」
広くて綺麗な砂浜と海を自分たちだけで使い放題というのは、さすが大企業だなと思ってしまう。
「わ、私もよかったんですか?」
「いいんじゃないか? もう来てるし今更だろ」
一年生はミヤマエ、ハルカ、ナナに加えてもう一人来ている。
柊未来(ヒイラギミライ)という女の子だ。
スレンダーで背の高いナナと小柄なハルカの間ぐらいのボーイッシュな雰囲気がある子で、今は少し不安そうな顔をしている。
いつもの三人の他に課外活動部の一年生はもう三人いた。
今回二人は辞退したが、一人は来ることになった。
それがミライである。
普段トレーニングに参加しているミヤマエたち三人と比べて、ミライはまだ親交が薄い。
楽しそうだと思ったし一年生六人のうち女の子は三人で、ハルカとナナの二人が行くならとミライも来たが、ちょっと場違いだったかなとミライは思った。
「これを機に仲良くしようぜ」
場違いなんてことはない。
せっかく来たのだから親交を深めていけばいいとトモナリは笑顔を浮かべる。
「よし! ミヤマエ、いくぞ!」
「うっす!」
「あっ、せめて準備運動ぐらい……聞いてないか」
ユウトとミヤマエは早速海に走っていく。
軽く準備運動でもした方がいいというマコトの言葉は二人に一切聞こえていなかった。
「先輩手伝いますよ」
一人男性陣とは別に女性陣と来たタケルであるが、何も着替えを一緒にしていたわけじゃない。
タケルはビーチパラソルや敷物を持ってきていた。
トモナリはビーチパラソルを立てるのを手伝う。
「悪いな」
「いえ、招待されてる身ですし。ヒカリも行っていいぞ」
「うぬ……いくのだー!」
トモナリが行くのを待ってソワソワしていたヒカリも我慢できずに海に向かう。
「先輩たちは忙しくないんですか?」
就職活動というか、卒業後の進路について忙しくしている三年生は多い。
覚醒者を諦めて大学進学や就職活動をしている人もいれば、覚醒者を募集しているギルドに面接に行ったりしているような人もいる。
「そこらへん俺たちはコネがあるからな」
タケルは笑顔を浮かべる。
タケルもカエデももう行く先は決まっている。
カエデはオウルグループのご令嬢で、タケルはそんなカエデの護衛みたいなものだ。
覚醒者となった時点でよほどのことがない限り進路は決まっていたようなものである。
二人はオウルグループの覚醒者チームに行くことになっていて、すでに研修などを行い始めているのだった。
もしかしたらカエデはその先にオウルグループの重要役職なんでこともあるのかもしれない。

