「なっ……!」
リーダーの男の首が浅く切れた。
ヒリつく命の取り合いは久しく忘れていた感覚を呼び覚ます。
勝負と違って命の取り合いではどんな手段であれ生き残った方が勝ちである。
トモナリはエドの防御力に任せ、体で剣を受けて止めて反撃した。
下手すれば大怪我もののやり方。
まさかそんなやり方をしてくるなんて思わずリーダーの男も驚いてしまう。
トモナリだって素人じゃない。
回帰前は生き残るために必死になって足掻いてきた。
命を繋ぐためなら多少の怪我だって受け入れる覚悟がある。
『トモナリ、あまり無茶をするでないぞ』
『主君を守るつもりだ。だが過信は禁物だ。……友を失いたくはない』
「……分かってるよ」
ほんの一瞬、回帰前の自分に思考が引っ張られかけた。
相手の大きな一撃を誘い、相打ち覚悟で倒してしまえばいいと考えていてしまった。
けれどそんなことをしては悲しむ人、あるいは悲しむドラゴンがいる。
「チッ!」
流石に相打ちを狙うことはしない。
しかしリーダーの頭には、もうトモナリが捨て身の反撃をしてくるという可能性が刻まれていた。
攻撃の勢いが明らかに弱くなっていた。
下手に攻撃して捨て身の反撃をされたら、たまったものではない。
どうしてもトモナリの反撃を警戒してしまっているのだ。
「どぉりゃー!」
「この……邪魔をするな!」
ヒカリも最大速度で飛び回ってリーダーの男を翻弄する。
速度と回避を重視しながら目の前を飛び回られると中々ウザい。
ヒカリを狙おうにもトモナリが邪魔をし、トモナリを狙おうとするとヒカリが飛んでくる。
戦いのリズムが完全にトモナリたちの方に傾いた。
「クソが!」
不利ではないにしろ、有利でもない。
格下の相手に粘られている状況にリーダーの男は苛立ちを隠せない。
「スキル重撃!」
リーダーの男が剣を振り下ろす。
危険を感じたトモナリは防御ではなく、飛び退いて剣をかわした。
剣が触れていないのに地面が大きく陥没する。
スキルによって強力な一撃が放たれたのだ。
能力にしては地味にスキル。
やはり派手な効果を持つスキルはなさそうだとトモナリは思った。
しかし地味なスキルではあるが、今のトモナリにとって致命的な威力を持つ攻撃になることは間違いない。
「さっさと死ね!」
リーダーの男の動きが早くなった。
スキルによる一撃も連発してくるし、他のスキルも発動させているようだ。
「ほら……もう逃げ道はないぞ!」
トモナリの背中に何かが当たった。
チラリと後ろを確認すると、いつの間にかバリアまでトモナリは後退させられていた。
かわせばバリアが破壊されてしまう。
「エド……力を貸してくれ」
『……大地は主君の味方だ。信じろ。私が主君を守ろう』
リーダーの男が剣を振り上げ、トモナリは体の中の魔力を最大限に引き上げる。
「大地の守り!」
トモナリは手を伸ばす。
足元の地面が盛り上がって壁になる。
「そんなものぶっ壊してやるよ!」
リーダーの男は剣に魔力を込めて振り下ろす。
岩の壁の上側が砕け散ってトモナリの額に剣が迫る。
「ぐっ……」
けれどもリーダーの男の剣はトモナリの額ギリギリで止まった。
「ふははははっ! 残念なのだー!」
「ゔあっ!?」
完全に勢いが止まってしまった。
岩の壁に剣がめり込んで動かなくなったところにヒカリが襲いかかる。
剣を諦める、という判断が遅くて回避が一瞬遅れた。
「がああああっ!」
魔力が込められたヒカリの爪はリーダーの男の右目を縦に切り裂いた。
目を焼かれたような激しい痛みにリーダーの男は叫び声を上げる。
「アイゼン君、よくやりましたね」
ミズキたちや教員の尽力で男たちの数もだいぶ減っていた。
トモナリの助けにイオリが駆けつけてくれた。
「ああああああっ!」
イオリの武器は蛇腹剣。
複数の短い刃がワイヤーで繋がれ、剣の形から伸ばして使うこともできる武器である。
扱いが難しい武器であるが、イオリは魔力でワイヤーや刃をコントロールしてまるで手足のように蛇腹剣を操る。
伸ばされた蛇腹剣が目を押さえてふらつくリーダーの男の腕を斬り飛ばした。
腕から血が噴き出し、リーダーの男は再び叫ぶ。
「キツイ役割を押し付けてごめんなさいね。あとは任せて」
「じゃあお願いします」
正直ドラゴンズコネクトの継続時間も残り少ない。
手負いの獣ほど危険なものはなく、このまま戦っていても勝てたとは考えにくかった。
トモナリはイオリにリーダーの男を任せてトモナリはミズキたちの方に向かう。
「みんな、大丈夫か!」
「トモナリ君こそ!」
「へっ、こっちは平気だよ!」
流石に無事とはいかず、みんな少し傷を負っている。
けれども命に関わるような大きな怪我をしている人はいない。
ほっと一安心しながらトモナリもミズキたちと一緒に戦う。
「先輩たち……強えな」
「うん……憧れちゃうね」
強いということは分かっていた。
けれどもその刃は人を相手にしても鈍らない。
何を守るためにひたむきに戦う姿はハルカやミヤマエの中にも確かに何かの影響を与えていた。
「ぐっ……はっ……」
「うちの生徒を襲って無事ではいさせませんよ。だからといってタダで殺しても差し上げません」
リーダーの男はもう一本の腕も切り落とされ、足をへし折られて地面に転がっていた。
「何が目的で、誰がこんなことをさせたのか全て吐いていただきます」
イオリが剣を振ると伸びた蛇腹剣が縮んで一本の剣になる。
周りを見ると、もう残っている連中も倒されていた。
リーダーの男の首が浅く切れた。
ヒリつく命の取り合いは久しく忘れていた感覚を呼び覚ます。
勝負と違って命の取り合いではどんな手段であれ生き残った方が勝ちである。
トモナリはエドの防御力に任せ、体で剣を受けて止めて反撃した。
下手すれば大怪我もののやり方。
まさかそんなやり方をしてくるなんて思わずリーダーの男も驚いてしまう。
トモナリだって素人じゃない。
回帰前は生き残るために必死になって足掻いてきた。
命を繋ぐためなら多少の怪我だって受け入れる覚悟がある。
『トモナリ、あまり無茶をするでないぞ』
『主君を守るつもりだ。だが過信は禁物だ。……友を失いたくはない』
「……分かってるよ」
ほんの一瞬、回帰前の自分に思考が引っ張られかけた。
相手の大きな一撃を誘い、相打ち覚悟で倒してしまえばいいと考えていてしまった。
けれどそんなことをしては悲しむ人、あるいは悲しむドラゴンがいる。
「チッ!」
流石に相打ちを狙うことはしない。
しかしリーダーの頭には、もうトモナリが捨て身の反撃をしてくるという可能性が刻まれていた。
攻撃の勢いが明らかに弱くなっていた。
下手に攻撃して捨て身の反撃をされたら、たまったものではない。
どうしてもトモナリの反撃を警戒してしまっているのだ。
「どぉりゃー!」
「この……邪魔をするな!」
ヒカリも最大速度で飛び回ってリーダーの男を翻弄する。
速度と回避を重視しながら目の前を飛び回られると中々ウザい。
ヒカリを狙おうにもトモナリが邪魔をし、トモナリを狙おうとするとヒカリが飛んでくる。
戦いのリズムが完全にトモナリたちの方に傾いた。
「クソが!」
不利ではないにしろ、有利でもない。
格下の相手に粘られている状況にリーダーの男は苛立ちを隠せない。
「スキル重撃!」
リーダーの男が剣を振り下ろす。
危険を感じたトモナリは防御ではなく、飛び退いて剣をかわした。
剣が触れていないのに地面が大きく陥没する。
スキルによって強力な一撃が放たれたのだ。
能力にしては地味にスキル。
やはり派手な効果を持つスキルはなさそうだとトモナリは思った。
しかし地味なスキルではあるが、今のトモナリにとって致命的な威力を持つ攻撃になることは間違いない。
「さっさと死ね!」
リーダーの男の動きが早くなった。
スキルによる一撃も連発してくるし、他のスキルも発動させているようだ。
「ほら……もう逃げ道はないぞ!」
トモナリの背中に何かが当たった。
チラリと後ろを確認すると、いつの間にかバリアまでトモナリは後退させられていた。
かわせばバリアが破壊されてしまう。
「エド……力を貸してくれ」
『……大地は主君の味方だ。信じろ。私が主君を守ろう』
リーダーの男が剣を振り上げ、トモナリは体の中の魔力を最大限に引き上げる。
「大地の守り!」
トモナリは手を伸ばす。
足元の地面が盛り上がって壁になる。
「そんなものぶっ壊してやるよ!」
リーダーの男は剣に魔力を込めて振り下ろす。
岩の壁の上側が砕け散ってトモナリの額に剣が迫る。
「ぐっ……」
けれどもリーダーの男の剣はトモナリの額ギリギリで止まった。
「ふははははっ! 残念なのだー!」
「ゔあっ!?」
完全に勢いが止まってしまった。
岩の壁に剣がめり込んで動かなくなったところにヒカリが襲いかかる。
剣を諦める、という判断が遅くて回避が一瞬遅れた。
「がああああっ!」
魔力が込められたヒカリの爪はリーダーの男の右目を縦に切り裂いた。
目を焼かれたような激しい痛みにリーダーの男は叫び声を上げる。
「アイゼン君、よくやりましたね」
ミズキたちや教員の尽力で男たちの数もだいぶ減っていた。
トモナリの助けにイオリが駆けつけてくれた。
「ああああああっ!」
イオリの武器は蛇腹剣。
複数の短い刃がワイヤーで繋がれ、剣の形から伸ばして使うこともできる武器である。
扱いが難しい武器であるが、イオリは魔力でワイヤーや刃をコントロールしてまるで手足のように蛇腹剣を操る。
伸ばされた蛇腹剣が目を押さえてふらつくリーダーの男の腕を斬り飛ばした。
腕から血が噴き出し、リーダーの男は再び叫ぶ。
「キツイ役割を押し付けてごめんなさいね。あとは任せて」
「じゃあお願いします」
正直ドラゴンズコネクトの継続時間も残り少ない。
手負いの獣ほど危険なものはなく、このまま戦っていても勝てたとは考えにくかった。
トモナリはイオリにリーダーの男を任せてトモナリはミズキたちの方に向かう。
「みんな、大丈夫か!」
「トモナリ君こそ!」
「へっ、こっちは平気だよ!」
流石に無事とはいかず、みんな少し傷を負っている。
けれども命に関わるような大きな怪我をしている人はいない。
ほっと一安心しながらトモナリもミズキたちと一緒に戦う。
「先輩たち……強えな」
「うん……憧れちゃうね」
強いということは分かっていた。
けれどもその刃は人を相手にしても鈍らない。
何を守るためにひたむきに戦う姿はハルカやミヤマエの中にも確かに何かの影響を与えていた。
「ぐっ……はっ……」
「うちの生徒を襲って無事ではいさせませんよ。だからといってタダで殺しても差し上げません」
リーダーの男はもう一本の腕も切り落とされ、足をへし折られて地面に転がっていた。
「何が目的で、誰がこんなことをさせたのか全て吐いていただきます」
イオリが剣を振ると伸びた蛇腹剣が縮んで一本の剣になる。
周りを見ると、もう残っている連中も倒されていた。

