「うーん……欲を言えばもうちょっとってところだな」
現在判明している鉱脈は五箇所ある。
しかし判明しているということは、どこかでもう採掘された場所であるということである。
ミスリル鉱脈もモンスターと同じく復活するという不思議なものであるが、復活は決して早くない。
復活した分でもそれなりの量は採れたと思うのだが、ミスリルなんてあるだけあればいい。
アカデミー全員の分なんてことは不可能だろう。
けれどもやはり良い装備を作ることができれば、覚醒者として命を落とす人も減るかもしれない。
ミスリルの流出量が増えれば何か助かる人が出てくる可能性もあるのだ。
「どうするかな……」
ただ余計な欲を出すことはリスクに繋がる。
ほんの少しの判断ミスが命を落とす結果になることも珍しいとは言えない。
「みんなはどう思う?」
ここは独断で決める場面ではない。
ミズキたちの意見も聞く。
トモナリとしてはもうちょっとミスリルが欲しいところではあるが、ここから先は地図にもなっていない未知の領域になる。
道がどうなっているのか分からない上に入っていない場所ということは、モンスターがいる可能性も高い。
「私は……もうちょっと進んでもいいかな」
ミズキは攻略に賛成派だった。
ここまででミスリルクラブを三回相手にした。
茹で上げ戦法であっさりと倒したので苦労がなかったということもあるのだけど、レベルを確認してみると一つ上がっていた。
Dクラスゲートのモンスターが相手なのだ。
倒すことができれば得られるものもある。
レベルも20を超えてくると上がりにくさを感じてくる。
数体相手にしただけでレベルが上がるなら効率の良さも感じてしまう。
ミスリルにはそんなに固執していないものの、ミスリルクラブの倒しやすさとレベルアップのための経験値を考えた時にもうちょっと戦ってもいいかもと考えた。
「……魔力は意外と残ってるし、進むなら別にいいかな。思ってたよりも余裕があるな? なんでだろ?」
コウは自分の体と相談する。
職業が賢者であって、魔法で戦うコウにとって魔力は大切だ。
トモナリたちは魔力がなくてもある程度戦うことは可能だが、コウは魔力がなくなればただの足手まといになるしかない。
魔力にはまだ余裕がある。
水の玉を生み出しているだけにも見えるが、水の玉を生み出してからが意外と大変である。
水の玉の維持もあるし、実はミスリルクラブが出てこないように中で水流を発生させて妨害していた。
ミスリルクラブの抵抗も激しく、結構魔力を使った自覚はあった。
ただそれにしては魔力が残っている。
「カニ食ったからだな」
「カニ? それが何か?」
「モンスター食は覚醒者にとって良い効果もあるんだよ」
モンスターは当然ながら多くの魔力を持っている。
肉体に宿る魔力は人よりも多く、食べるとモンスターの魔力を摂取することにもなる。
口にして体内に取り込んだ魔力の一部は人も自分の魔力として吸収することができる。
つまり、モンスターを食べれば少し魔力が回復するというわけなのだ。
ミスリルクラブも格上のモンスターなので、食べればそれなりの効果があるのだった。
モンスター食に頼って魔力回復しようなんて考えは危険なので、こちらもアカデミーとかで教えるような方法ではない。
「そうなんだ。ともかくまだ僕も戦えそうだ。判断は任せるよ」
戦えるなら進むことに文句はない。
コウはどちらでもいいといった感じである。
「サーシャは?」
「……もっとミスリルとれたら盾が欲しいな」
良い覚醒者は装備にばかり依存しない。
しかし良い覚醒者になればなるほど良い装備を持っていることは確かなことである。
覚醒者の力を受け止めるためにも、装備にも品質というものが求められる。
サーシャは盾を壊してしまった。
絶対に壊れないものなんてない以上、壊れてしまうことは仕方ない。
けれども良い素材で自分に合わせて作られた装備はそれだけ破損率も低く、安定した性能を発揮してくれる。
いい盾が欲しいなとサーシャは思った。
いいものがあればそれだけみんなを守れるかもしれない。
ミスリルがたくさんあればミスリルを使ったいい盾が作ってもらえる可能性もある。
「僕もいくのだ!」
ヒカリもビッと手を上げる。
「全体的な意見として……もうちょっと進んでみる、ってことでいいか?」
過ぎたる欲は身を滅ぼす。
だが欲もなく安定ばかり選んでいては成長もない。
今回は別に逃げたっていい。
慎重に挑んでいけばリスクも抑えられるだろう。
トモナリ自身もミスリル鉱脈を探すことに前向きである。
実質的に反対意見はなかったので前に進んでみることにした。
「うーん……どこに向かうのがいいかな?」
進むにしても、適当に進むということはしない。
ちゃんとどこを進むのか考えるためにインベントリから地図を出して考える。
「敵ナーシ、なのだ!」
ヒカリはそうしたことを考えるのが苦手なのでミスリルクラブが来ないか警戒してくれる。
「こっち側かな?」
地図を見る限りミスリル鉱脈まで進んで終わりということも多かったようだ。
できるなら少ない労力でミスリル鉱脈を探したい。
現在判明している鉱脈は五箇所ある。
しかし判明しているということは、どこかでもう採掘された場所であるということである。
ミスリル鉱脈もモンスターと同じく復活するという不思議なものであるが、復活は決して早くない。
復活した分でもそれなりの量は採れたと思うのだが、ミスリルなんてあるだけあればいい。
アカデミー全員の分なんてことは不可能だろう。
けれどもやはり良い装備を作ることができれば、覚醒者として命を落とす人も減るかもしれない。
ミスリルの流出量が増えれば何か助かる人が出てくる可能性もあるのだ。
「どうするかな……」
ただ余計な欲を出すことはリスクに繋がる。
ほんの少しの判断ミスが命を落とす結果になることも珍しいとは言えない。
「みんなはどう思う?」
ここは独断で決める場面ではない。
ミズキたちの意見も聞く。
トモナリとしてはもうちょっとミスリルが欲しいところではあるが、ここから先は地図にもなっていない未知の領域になる。
道がどうなっているのか分からない上に入っていない場所ということは、モンスターがいる可能性も高い。
「私は……もうちょっと進んでもいいかな」
ミズキは攻略に賛成派だった。
ここまででミスリルクラブを三回相手にした。
茹で上げ戦法であっさりと倒したので苦労がなかったということもあるのだけど、レベルを確認してみると一つ上がっていた。
Dクラスゲートのモンスターが相手なのだ。
倒すことができれば得られるものもある。
レベルも20を超えてくると上がりにくさを感じてくる。
数体相手にしただけでレベルが上がるなら効率の良さも感じてしまう。
ミスリルにはそんなに固執していないものの、ミスリルクラブの倒しやすさとレベルアップのための経験値を考えた時にもうちょっと戦ってもいいかもと考えた。
「……魔力は意外と残ってるし、進むなら別にいいかな。思ってたよりも余裕があるな? なんでだろ?」
コウは自分の体と相談する。
職業が賢者であって、魔法で戦うコウにとって魔力は大切だ。
トモナリたちは魔力がなくてもある程度戦うことは可能だが、コウは魔力がなくなればただの足手まといになるしかない。
魔力にはまだ余裕がある。
水の玉を生み出しているだけにも見えるが、水の玉を生み出してからが意外と大変である。
水の玉の維持もあるし、実はミスリルクラブが出てこないように中で水流を発生させて妨害していた。
ミスリルクラブの抵抗も激しく、結構魔力を使った自覚はあった。
ただそれにしては魔力が残っている。
「カニ食ったからだな」
「カニ? それが何か?」
「モンスター食は覚醒者にとって良い効果もあるんだよ」
モンスターは当然ながら多くの魔力を持っている。
肉体に宿る魔力は人よりも多く、食べるとモンスターの魔力を摂取することにもなる。
口にして体内に取り込んだ魔力の一部は人も自分の魔力として吸収することができる。
つまり、モンスターを食べれば少し魔力が回復するというわけなのだ。
ミスリルクラブも格上のモンスターなので、食べればそれなりの効果があるのだった。
モンスター食に頼って魔力回復しようなんて考えは危険なので、こちらもアカデミーとかで教えるような方法ではない。
「そうなんだ。ともかくまだ僕も戦えそうだ。判断は任せるよ」
戦えるなら進むことに文句はない。
コウはどちらでもいいといった感じである。
「サーシャは?」
「……もっとミスリルとれたら盾が欲しいな」
良い覚醒者は装備にばかり依存しない。
しかし良い覚醒者になればなるほど良い装備を持っていることは確かなことである。
覚醒者の力を受け止めるためにも、装備にも品質というものが求められる。
サーシャは盾を壊してしまった。
絶対に壊れないものなんてない以上、壊れてしまうことは仕方ない。
けれども良い素材で自分に合わせて作られた装備はそれだけ破損率も低く、安定した性能を発揮してくれる。
いい盾が欲しいなとサーシャは思った。
いいものがあればそれだけみんなを守れるかもしれない。
ミスリルがたくさんあればミスリルを使ったいい盾が作ってもらえる可能性もある。
「僕もいくのだ!」
ヒカリもビッと手を上げる。
「全体的な意見として……もうちょっと進んでみる、ってことでいいか?」
過ぎたる欲は身を滅ぼす。
だが欲もなく安定ばかり選んでいては成長もない。
今回は別に逃げたっていい。
慎重に挑んでいけばリスクも抑えられるだろう。
トモナリ自身もミスリル鉱脈を探すことに前向きである。
実質的に反対意見はなかったので前に進んでみることにした。
「うーん……どこに向かうのがいいかな?」
進むにしても、適当に進むということはしない。
ちゃんとどこを進むのか考えるためにインベントリから地図を出して考える。
「敵ナーシ、なのだ!」
ヒカリはそうしたことを考えるのが苦手なのでミスリルクラブが来ないか警戒してくれる。
「こっち側かな?」
地図を見る限りミスリル鉱脈まで進んで終わりということも多かったようだ。
できるなら少ない労力でミスリル鉱脈を探したい。

