「強かったし……色々ヒミツにしてたんだな?」
トモナリは笑ってヒカリの頭を撫でる。
「むふぅー! サプライズなのだ!」
ヒカリは渾身のドヤ顔で嬉しそうにする。
トモナリが驚いてくれたのなら大成功である。
ビームのように力を圧縮してブレスを放つことは、自分がドラゴンズコネクトでブレスを放つ時にも応用できそうだ。
加えて魔法まで使えるようになっていた。
ヒカリの攻撃の選択の幅が大幅に広がった。
魔法で遠距離攻撃ができることはかなり大きい。
「僕はトモナリのパートナーなのだ。僕がいればトモナリは大丈夫なのだ!」
「ふふ、頼もしいな」
キュリシーとの戦いも勝てるだろうと思って見ていた。
ヒカリはトモナリの予想を超えて良い動きを見せてくれた。
頼もしいパートナーがより頼もしくなったものである。
ヒカリが魔法を使えるということは周りにも警戒感を与えた。
空を飛べるヒカリは自在に動くことができる。
普通の魔法使いにはない機動力があって、魔法が意図しない方向からも飛んでくる。
魔法が来るかもしれない、ヒカリが直接攻撃してくるかもしれない。
そんな注意の分散はトモナリが戦う上でも有利に働いた。
「悔しい悔しい悔しい〜!」
個人戦は進み、トモナリとヒカリも順当に勝ち上がった。
アユムも脱落して、なんとミズキは準決勝まで勝ち残っていた。
奇しくもトモナリと準決勝で当たることになって、激しい戦いの末にミズキはトモナリに敗北したのである。
同じくテッサイに剣を習った身で、お互いのやり方は分かっている。
ミズキはトモナリをライバル視していることもあって、何度も戦ったことがある相手だ。
アルケスもキュリシー戦ではヒカリに任せていたが、ミズキ戦ではヒカリが応援に回ってミズキとトモナリで戦った。
負けたミズキは悔しそうにしている。
けれど準決勝まで進んできたこと自体驚きであった。
「ぜーったい勝ちなさいよ!」
ミズキはビシッとトモナリに指を突きつける。
準決勝でトモナリが勝った。
ということは次は決勝に上がるということである。
どうせなら優勝してくれた方が少しは気分も晴れるとトモナリに期待を背負わせる。
「まあ頑張るよ」
トモナリは笑いながらヒカリと共にステージに上がる。
「‘君と戦えるのは光栄だな’」
「‘こちらこそ’」
決勝の相手はカナダのエリオットであった。
明るい茶髪のエリオットは割と可愛い系の顔をした青年である。
持っている武器は槍。
職業は槍王で槍がエリオットにおける適性武器なことは言うまでもない。
同じ槍王の職業を持つ覚醒者の弟子であり、準決勝ではハオレンを再び倒している。
「僕が頂点に立つ時が来たのだ!」
トモナリの肩に足を乗せ、頭にしがみついたヒカリはバッと翼を広げる。
ポージングに巻き込まないでほしいな、とトモナリは観客席からの視線を感じながら思った。
「‘同世代ナンバーワンを決めようか’」
エリオットが槍を構える。
「‘ここまで来たからには勝たせてもらうぞ!’」
トモナリも剣を構えて対峙する。
なんだかんだと普通に勝ってここまで来てしまった。
やっぱり適当に負けることもできなくて、どうせなら優勝してやると静かにやる気を燃やす。
「‘決勝、アイゼントモナリとヒカリvsエリオット・クラーク! 試合始め!’」
試合開始の号令と同時にトモナリとエリオットが動く。
「‘はっ!’」
トモナリが剣。
エリオットは槍。
武器のリーチは当然槍の方が長い。
エリオットが高速で槍を突く。
一回一回の突きにしっかりと魔力が込められている。
トモナリは突きを受け流しながら前に進む。
「どりゃー!」
隙ありとヒカリがエリオットの後ろから攻撃を仕掛ける。
個人戦において数が多いことは単純に有利である。
攻撃の手数も多いし、前後左右と挟撃することもできるのだ。
「‘これぐらいじゃやられないよ!’」
「ぬおっ!」
トモナリとヒカリの挟撃にうまく対処できなかった人も多いが、エリオットは非常に冷静だった。
サッと槍を横に振ってトモナリを牽制し、槍の逆を使ってヒカリの頭を突こうとする。
エリオットの突きは素早く鋭い。
ヒカリも体を回転させて回避したけれど、頬を槍がかすめた。
「強いな……」
エリオットのレベルこそ知らないが能力値も高い。
ただレベルアップしてきただけでなく霊薬なんかも服用している可能性がある。
槍を弾き返してしまおうとしてもエリオットは柔らかく力を受け流す。
おそらく全体的な能力値的にはトモナリの方が高いのだけど、戦い方が非常に巧みなのである。
普通の戦いならもっと強引にもいくが、今回は普通の戦いとはちょっと違う。
攻撃がかすめるだけでもアーティファクトは反応してしまう。
無理をしてアーティファクトの魔力を使い切ってしまうと、能力で優っていてもトモナリの負けになる。
「なら……ヒカリ、遠距離からやるぞ!」
「分かったのだ!」
決勝ということでステージも通常の広さに戻っている。
下がって距離をとりながら戦うこともできる十分な広さがあるので、突っ込んでいくことは愚策だとトモナリは判断した。
ならば近づかねばいい。
トモナリは笑ってヒカリの頭を撫でる。
「むふぅー! サプライズなのだ!」
ヒカリは渾身のドヤ顔で嬉しそうにする。
トモナリが驚いてくれたのなら大成功である。
ビームのように力を圧縮してブレスを放つことは、自分がドラゴンズコネクトでブレスを放つ時にも応用できそうだ。
加えて魔法まで使えるようになっていた。
ヒカリの攻撃の選択の幅が大幅に広がった。
魔法で遠距離攻撃ができることはかなり大きい。
「僕はトモナリのパートナーなのだ。僕がいればトモナリは大丈夫なのだ!」
「ふふ、頼もしいな」
キュリシーとの戦いも勝てるだろうと思って見ていた。
ヒカリはトモナリの予想を超えて良い動きを見せてくれた。
頼もしいパートナーがより頼もしくなったものである。
ヒカリが魔法を使えるということは周りにも警戒感を与えた。
空を飛べるヒカリは自在に動くことができる。
普通の魔法使いにはない機動力があって、魔法が意図しない方向からも飛んでくる。
魔法が来るかもしれない、ヒカリが直接攻撃してくるかもしれない。
そんな注意の分散はトモナリが戦う上でも有利に働いた。
「悔しい悔しい悔しい〜!」
個人戦は進み、トモナリとヒカリも順当に勝ち上がった。
アユムも脱落して、なんとミズキは準決勝まで勝ち残っていた。
奇しくもトモナリと準決勝で当たることになって、激しい戦いの末にミズキはトモナリに敗北したのである。
同じくテッサイに剣を習った身で、お互いのやり方は分かっている。
ミズキはトモナリをライバル視していることもあって、何度も戦ったことがある相手だ。
アルケスもキュリシー戦ではヒカリに任せていたが、ミズキ戦ではヒカリが応援に回ってミズキとトモナリで戦った。
負けたミズキは悔しそうにしている。
けれど準決勝まで進んできたこと自体驚きであった。
「ぜーったい勝ちなさいよ!」
ミズキはビシッとトモナリに指を突きつける。
準決勝でトモナリが勝った。
ということは次は決勝に上がるということである。
どうせなら優勝してくれた方が少しは気分も晴れるとトモナリに期待を背負わせる。
「まあ頑張るよ」
トモナリは笑いながらヒカリと共にステージに上がる。
「‘君と戦えるのは光栄だな’」
「‘こちらこそ’」
決勝の相手はカナダのエリオットであった。
明るい茶髪のエリオットは割と可愛い系の顔をした青年である。
持っている武器は槍。
職業は槍王で槍がエリオットにおける適性武器なことは言うまでもない。
同じ槍王の職業を持つ覚醒者の弟子であり、準決勝ではハオレンを再び倒している。
「僕が頂点に立つ時が来たのだ!」
トモナリの肩に足を乗せ、頭にしがみついたヒカリはバッと翼を広げる。
ポージングに巻き込まないでほしいな、とトモナリは観客席からの視線を感じながら思った。
「‘同世代ナンバーワンを決めようか’」
エリオットが槍を構える。
「‘ここまで来たからには勝たせてもらうぞ!’」
トモナリも剣を構えて対峙する。
なんだかんだと普通に勝ってここまで来てしまった。
やっぱり適当に負けることもできなくて、どうせなら優勝してやると静かにやる気を燃やす。
「‘決勝、アイゼントモナリとヒカリvsエリオット・クラーク! 試合始め!’」
試合開始の号令と同時にトモナリとエリオットが動く。
「‘はっ!’」
トモナリが剣。
エリオットは槍。
武器のリーチは当然槍の方が長い。
エリオットが高速で槍を突く。
一回一回の突きにしっかりと魔力が込められている。
トモナリは突きを受け流しながら前に進む。
「どりゃー!」
隙ありとヒカリがエリオットの後ろから攻撃を仕掛ける。
個人戦において数が多いことは単純に有利である。
攻撃の手数も多いし、前後左右と挟撃することもできるのだ。
「‘これぐらいじゃやられないよ!’」
「ぬおっ!」
トモナリとヒカリの挟撃にうまく対処できなかった人も多いが、エリオットは非常に冷静だった。
サッと槍を横に振ってトモナリを牽制し、槍の逆を使ってヒカリの頭を突こうとする。
エリオットの突きは素早く鋭い。
ヒカリも体を回転させて回避したけれど、頬を槍がかすめた。
「強いな……」
エリオットのレベルこそ知らないが能力値も高い。
ただレベルアップしてきただけでなく霊薬なんかも服用している可能性がある。
槍を弾き返してしまおうとしてもエリオットは柔らかく力を受け流す。
おそらく全体的な能力値的にはトモナリの方が高いのだけど、戦い方が非常に巧みなのである。
普通の戦いならもっと強引にもいくが、今回は普通の戦いとはちょっと違う。
攻撃がかすめるだけでもアーティファクトは反応してしまう。
無理をしてアーティファクトの魔力を使い切ってしまうと、能力で優っていてもトモナリの負けになる。
「なら……ヒカリ、遠距離からやるぞ!」
「分かったのだ!」
決勝ということでステージも通常の広さに戻っている。
下がって距離をとりながら戦うこともできる十分な広さがあるので、突っ込んでいくことは愚策だとトモナリは判断した。
ならば近づかねばいい。

