「くっ、ならば!」
「あっ、ずるいのだ!」
クラシマとヒカリの相性は悪い。
そのままハンマーを振り回していてもヒカリを捉えることは難しいかもしれない。
どうにかしなきゃいけないと考えたクラシマは、トモナリに向かって走り出す。
ヒカリが苦手ならトモナリを倒してしまえばいいと考えたのだ。
「ブレイクアタック!」
クラシマはハンマーに魔力を込めて振り下ろす。
「はっ!」
ただトモナリだって簡単にやられるような相手じゃない。
ルビウスに魔力を込めて炎をまとわせてハンマーを打ち返す。
「ぐっ!」
ハンマー振り回すクラシマもかなり力重視な覚醒者である。
しかしトモナリの方が力の値が強く、スキルを使った攻撃でもクラシマが力負けをしてしまった。
「なら、震撃だ!」
クラシマがもう一つのスキルを使ってハンマーを振り下ろした。
「なっ!」
同じようにハンマーを打ち返した。
その瞬間トモナリの手に強い衝撃が走って剣がすっぽ抜けてしまう。
「何しとるのだー!」
「ぐおっ!」
無視するなとヒカリがクラシマの横から蹴りを入れる。
「くそっ……くらえ!」
ヒカリの攻撃に耐えながらクラシマがトモナリを狙う。
トモナリが剣を手放した時がチャンスで、怯んでいる暇などない。
「どっちが武器スキルだ?」
ハンマーをかわしてトモナリが距離を詰める。
剣を取りに行くでもなく、トモナリはクラシマに殴りかかった。
「うぐ……よく分かったな! 震撃が武器スキルだよ!」
普通の人はスキル枠一つにスキルが一つである。
レベル20毎にスキル枠が一つ解放される。
レベル100で最初のスキルを含めて六つのスキルを扱えることになる。
クラシマはまだレベル20に達していない。
なのにスキルが二つ使えている。
これには理由がある。
「良い武器持ってるんだな」
トモナリのように最初から二つのスキルを使える人は他にはいない。
クラシマが二つのスキルを使えるのは片方が武器スキル、あるいは装備スキルというものであるからだった。
装備品の中には魔力を込めると発動させられるスキルを持つものが稀にある。
クラシマの震撃はクラシマが持っているスキルではなく、クラシマが持っているハンマーが持っているスキルであったのだ。
スキルを持った武器はそこら辺にあるものじゃない。
かなり貴重であり、かなり高額な装備となる。
「羨ましいな!」
トモナリは素手で戦い続ける。
大きめのハンマーは懐に入られると取り回ししにくく、クラシマはトモナリとヒカリの攻撃に苦しそうな顔をしている。
「君の武器だって良いものだろ!」
横に大きく振り回されたハンマーをかわしてトモナリは飛び退いた。
「確かに。こいつは良い武器だよ」
「……しまった!」
飛び退いたトモナリの足元にはすっぽ抜けてしまったルビウスがある。
『妾を投げ飛ばすとは何事だ!』
「悪かったよ」
わざとではないしろ、投げられてしまってルビウスはお怒りである。
ルビウスと契約できて、ルビウスを召喚できる赤い剣もある種はスキル持ちの特殊な剣といっても良いだろう。
「もう限界も近いだろうな」
団体戦よりも個人戦の方がアーティファクトがダメージを吸収する量は高くなっている。
トモナリとヒカリの攻撃を細かく受けたクラシマのアーティファクトも魔力が限界に近づいていた。
「……震撃!」
クラシマは地面を蹴ってトモナリに近づく。
魔力が込められてうっすら光を放つハンマーを振り上げてトモナリを狙った。
「二度も同じ手は通じないぞ!」
震撃が相手に衝撃を与えるスキルなことはもう身をもって分かっている。
受け止めてしまうとまたルビウスを手放してしまうかもしれない。
ならば受け止めることもない。
トモナリはハンマーを回避する。
「俺だって!」
「僕もいるのだー!」
クラシマはギリギリのところで振り下ろされた剣をガードするが、横からヒカリが飛んできてきた。
「んー、ズバッ! なのだ!」
ヒカリが爪でクラシマを斬り裂いた。
アーティファクトが限界を迎えてバリアが砕け散る。
「‘そこまで! 勝者アイゼントモナリとヒカリ!’」
「ああー、やられた……」
クラシマはガックリと項垂れる。
「良い戦いだったよ」
「そりゃ君が手加減してくれたからな」
武器を取り上げた時にはいけるかもしれないと少し希望を持った。
だけどトモナリは素手での戦いも普通に強かった。
よくよく考えればルビウスも召喚していないし、トモナリはまだ本気じゃないとクラシマも分かっている。
「にしても武器スキルか……クラシマって金持ちなのか?」
「俺ってか、おじさんが覚醒者なんだ。俺の職業を知って、たまたまハンマーあるから使わないかってくれたんだよ。もらった時にはこんな良いものだとは思わなかったけどね」
スキル持ちの武器をくれるなんて羨ましい親戚がいるものだ。
「俺の分まで頑張ってくれ。できるなら優勝してくれよ」
優勝者に負けたというのなら一回戦負けでも何となく体面は保てる。
トモナリはドヤ顔で歓声を受け止めているヒカリを引っ掴んでステージを降りた。
「あっ、ずるいのだ!」
クラシマとヒカリの相性は悪い。
そのままハンマーを振り回していてもヒカリを捉えることは難しいかもしれない。
どうにかしなきゃいけないと考えたクラシマは、トモナリに向かって走り出す。
ヒカリが苦手ならトモナリを倒してしまえばいいと考えたのだ。
「ブレイクアタック!」
クラシマはハンマーに魔力を込めて振り下ろす。
「はっ!」
ただトモナリだって簡単にやられるような相手じゃない。
ルビウスに魔力を込めて炎をまとわせてハンマーを打ち返す。
「ぐっ!」
ハンマー振り回すクラシマもかなり力重視な覚醒者である。
しかしトモナリの方が力の値が強く、スキルを使った攻撃でもクラシマが力負けをしてしまった。
「なら、震撃だ!」
クラシマがもう一つのスキルを使ってハンマーを振り下ろした。
「なっ!」
同じようにハンマーを打ち返した。
その瞬間トモナリの手に強い衝撃が走って剣がすっぽ抜けてしまう。
「何しとるのだー!」
「ぐおっ!」
無視するなとヒカリがクラシマの横から蹴りを入れる。
「くそっ……くらえ!」
ヒカリの攻撃に耐えながらクラシマがトモナリを狙う。
トモナリが剣を手放した時がチャンスで、怯んでいる暇などない。
「どっちが武器スキルだ?」
ハンマーをかわしてトモナリが距離を詰める。
剣を取りに行くでもなく、トモナリはクラシマに殴りかかった。
「うぐ……よく分かったな! 震撃が武器スキルだよ!」
普通の人はスキル枠一つにスキルが一つである。
レベル20毎にスキル枠が一つ解放される。
レベル100で最初のスキルを含めて六つのスキルを扱えることになる。
クラシマはまだレベル20に達していない。
なのにスキルが二つ使えている。
これには理由がある。
「良い武器持ってるんだな」
トモナリのように最初から二つのスキルを使える人は他にはいない。
クラシマが二つのスキルを使えるのは片方が武器スキル、あるいは装備スキルというものであるからだった。
装備品の中には魔力を込めると発動させられるスキルを持つものが稀にある。
クラシマの震撃はクラシマが持っているスキルではなく、クラシマが持っているハンマーが持っているスキルであったのだ。
スキルを持った武器はそこら辺にあるものじゃない。
かなり貴重であり、かなり高額な装備となる。
「羨ましいな!」
トモナリは素手で戦い続ける。
大きめのハンマーは懐に入られると取り回ししにくく、クラシマはトモナリとヒカリの攻撃に苦しそうな顔をしている。
「君の武器だって良いものだろ!」
横に大きく振り回されたハンマーをかわしてトモナリは飛び退いた。
「確かに。こいつは良い武器だよ」
「……しまった!」
飛び退いたトモナリの足元にはすっぽ抜けてしまったルビウスがある。
『妾を投げ飛ばすとは何事だ!』
「悪かったよ」
わざとではないしろ、投げられてしまってルビウスはお怒りである。
ルビウスと契約できて、ルビウスを召喚できる赤い剣もある種はスキル持ちの特殊な剣といっても良いだろう。
「もう限界も近いだろうな」
団体戦よりも個人戦の方がアーティファクトがダメージを吸収する量は高くなっている。
トモナリとヒカリの攻撃を細かく受けたクラシマのアーティファクトも魔力が限界に近づいていた。
「……震撃!」
クラシマは地面を蹴ってトモナリに近づく。
魔力が込められてうっすら光を放つハンマーを振り上げてトモナリを狙った。
「二度も同じ手は通じないぞ!」
震撃が相手に衝撃を与えるスキルなことはもう身をもって分かっている。
受け止めてしまうとまたルビウスを手放してしまうかもしれない。
ならば受け止めることもない。
トモナリはハンマーを回避する。
「俺だって!」
「僕もいるのだー!」
クラシマはギリギリのところで振り下ろされた剣をガードするが、横からヒカリが飛んできてきた。
「んー、ズバッ! なのだ!」
ヒカリが爪でクラシマを斬り裂いた。
アーティファクトが限界を迎えてバリアが砕け散る。
「‘そこまで! 勝者アイゼントモナリとヒカリ!’」
「ああー、やられた……」
クラシマはガックリと項垂れる。
「良い戦いだったよ」
「そりゃ君が手加減してくれたからな」
武器を取り上げた時にはいけるかもしれないと少し希望を持った。
だけどトモナリは素手での戦いも普通に強かった。
よくよく考えればルビウスも召喚していないし、トモナリはまだ本気じゃないとクラシマも分かっている。
「にしても武器スキルか……クラシマって金持ちなのか?」
「俺ってか、おじさんが覚醒者なんだ。俺の職業を知って、たまたまハンマーあるから使わないかってくれたんだよ。もらった時にはこんな良いものだとは思わなかったけどね」
スキル持ちの武器をくれるなんて羨ましい親戚がいるものだ。
「俺の分まで頑張ってくれ。できるなら優勝してくれよ」
優勝者に負けたというのなら一回戦負けでも何となく体面は保てる。
トモナリはドヤ顔で歓声を受け止めているヒカリを引っ掴んでステージを降りた。

