「今年の個人戦は二つに分けることにした」
しっかりと休みをもらって体を休めて、次は交流戦の個人戦が始まることになった。
例年は十六歳組も十七歳組も関係なくトーナメント方式で戦っていくのだけど、今年は十六歳組と十七歳組を分けて個人戦を行うことになったと説明がされた。
「ギリギリまで悩んだ。けれど団体戦の戦いを見て決めたのだ」
教育プログラムが確立していくと低レベル帯における一年の差というものは大きくなっていく。
交流を目的とする、あるいは同世代のライバルを意識する上で、一年の差があるままの戦いに投じてしまうと、目的を十分に果たせない可能性が大きい。
そのために今年は二つに分けようというのだ。
これならメイリンなんかと当たる心配もない。
トモナリとしても歓迎のやり方だ。
「試合は準々決勝まではステージを二分割して二試合ずつ行っていく。まずは若い方からだ」
めんどくさいなとは思うけど、団体戦でも活躍したトモナリが出ないわけにもいかない。
まずはくじを引いてトーナメント表を確定させていく。
「お前を負かして俺が優勝してやる!」
ユウトはやる気を見せている。
団体戦では出場者が限られていたが、個人戦は各国で七人が出場する。
コウは魔法使いタイプで勝ち抜くことが難しそうということで辞退して、マコトも直接的に戦うタイプじゃないと出ないことにした。
アカデミーからはトモナリ、ユウト、ミズキ、サーシャ、クラシマが出場する。
残りの二人はアユムともう一人、女の子の覚醒者である濱田ミレアが出る。
個人戦なので、同じ国の覚醒者であってもライバルとなる。
しっかりとトモナリの戦いも見たはずなのだけど、ユウトはやる気をなくすどころかトモナリを倒してやると燃えていた。
そうしたやる気は良いことだ。
追いかけて壁を乗り越えようとしている。
めげない精神力はきっとみんな強くするとトモナリは思う。
だからと言ってトモナリもただ追いかけられるだけの存在ではない。
メイリンだってトモナリがいつか乗り越えてみせる。
回帰前や今回の人生でも会った多くの英雄たちもまた、トモナリが背中を追いかける存在である。
「みんながどれだけ強くなったか見ものだな」
特にユウトの成長には期待している。
ユウトは特別なところがない。
戦士という職業は普通であるし、特殊なスキルを持っているわけじゃない。
ただ能力値の伸びは割と良いのだ。
初期値も高めで、だから特進クラスや課外活動部にも所属している。
パッと見た時にユウトからこれから伸びそうな才能を感じることは難しい。
でもユウトは諦めずに強くなろうとしている。
トモナリに教えてもらってからトレーニングも真面目に取り組んでいるし、実は単純な剣の腕だけ見てもミズキに劣らない。
一見して平凡に見えるが故にどうなっていくのかまだ分からない。
尖らずシンプルに成長しても活躍できる場は多い。
逆に何かスキルなんかを一つ手に入れて尖ってもまた面白い。
「それに……信頼できるからな。強くなってくれると俺も嬉しいし」
ユウトは性格的にも良いやつだ。
たとえ強くとも、いつ裏切るのかわからないようでは背中を預けられない。
その点でトモナリもユウトのことを信用している。
ユウトがどうするのか知らないが、この先も一緒に戦ってほしいと思える人であった。
「ユウトに上下関係教えてやるのだ……!」
ヒカリもやる気を見せている。
ユウトもヒカリも冗談ではあるけど衝突する。
基本的にユウトがヒカリをからかって、ヒカリが負けないのだと怒るパターンが多い。
日頃から俺の方が強いもんねとユウトも口にしているので、みんなの前で本当に強いのはどちらか見せてやろうとヒカリは思っていた。
「私も負けないからね!」
ミズキもなんだかんだとトモナリをライバル視し続けている。
順当に覚醒者として成長しているので、ミズキの方はあまり心配していない。
「私は負けてもいいかな」
「サーシャもがんばるのだぁ」
「ギュってさせてくれる?」
「むっ……頑張ればな!」
「じゃあ頑張る」
一方でサーシャの闘争心は薄い。
ただ努力をしないとか強さに興味がないわけじゃなく、あまり他者と競い合うことに興味がないという感じである。
フウカは個人戦で負けたことを悔しそうにしていた。
似たような二人であるが、ちょっとした所に違いがありそうだ。
「僕はほどほどでいいかな」
アユムは小さくため息をつく。
もうすでに覚醒者として活動しているアユムは実戦的な経験がトモナリたちよりも多い。
その上でトモナリの実力は自分よりも高いと認めている。
他にも団体戦に出ていた人たちで勝てなさそうな人は何人かいる。
恥ずかしい戦いをしなければそれでいいかなという気分であった。
「ウチはやるで! 出るからには目指すは優勝や!」
関西圏から来たミレアは独特のイントネーションの言葉で話す。
気持ちのいいニカっとした笑顔を浮かべる子で、出場するからには優勝するつもりだった。
全体的にやる気は高い。
組み合わせの問題もあるが、十六歳組だけなら日本もかなりいいところにいけそうな雰囲気は感じられる。
しっかりと休みをもらって体を休めて、次は交流戦の個人戦が始まることになった。
例年は十六歳組も十七歳組も関係なくトーナメント方式で戦っていくのだけど、今年は十六歳組と十七歳組を分けて個人戦を行うことになったと説明がされた。
「ギリギリまで悩んだ。けれど団体戦の戦いを見て決めたのだ」
教育プログラムが確立していくと低レベル帯における一年の差というものは大きくなっていく。
交流を目的とする、あるいは同世代のライバルを意識する上で、一年の差があるままの戦いに投じてしまうと、目的を十分に果たせない可能性が大きい。
そのために今年は二つに分けようというのだ。
これならメイリンなんかと当たる心配もない。
トモナリとしても歓迎のやり方だ。
「試合は準々決勝まではステージを二分割して二試合ずつ行っていく。まずは若い方からだ」
めんどくさいなとは思うけど、団体戦でも活躍したトモナリが出ないわけにもいかない。
まずはくじを引いてトーナメント表を確定させていく。
「お前を負かして俺が優勝してやる!」
ユウトはやる気を見せている。
団体戦では出場者が限られていたが、個人戦は各国で七人が出場する。
コウは魔法使いタイプで勝ち抜くことが難しそうということで辞退して、マコトも直接的に戦うタイプじゃないと出ないことにした。
アカデミーからはトモナリ、ユウト、ミズキ、サーシャ、クラシマが出場する。
残りの二人はアユムともう一人、女の子の覚醒者である濱田ミレアが出る。
個人戦なので、同じ国の覚醒者であってもライバルとなる。
しっかりとトモナリの戦いも見たはずなのだけど、ユウトはやる気をなくすどころかトモナリを倒してやると燃えていた。
そうしたやる気は良いことだ。
追いかけて壁を乗り越えようとしている。
めげない精神力はきっとみんな強くするとトモナリは思う。
だからと言ってトモナリもただ追いかけられるだけの存在ではない。
メイリンだってトモナリがいつか乗り越えてみせる。
回帰前や今回の人生でも会った多くの英雄たちもまた、トモナリが背中を追いかける存在である。
「みんながどれだけ強くなったか見ものだな」
特にユウトの成長には期待している。
ユウトは特別なところがない。
戦士という職業は普通であるし、特殊なスキルを持っているわけじゃない。
ただ能力値の伸びは割と良いのだ。
初期値も高めで、だから特進クラスや課外活動部にも所属している。
パッと見た時にユウトからこれから伸びそうな才能を感じることは難しい。
でもユウトは諦めずに強くなろうとしている。
トモナリに教えてもらってからトレーニングも真面目に取り組んでいるし、実は単純な剣の腕だけ見てもミズキに劣らない。
一見して平凡に見えるが故にどうなっていくのかまだ分からない。
尖らずシンプルに成長しても活躍できる場は多い。
逆に何かスキルなんかを一つ手に入れて尖ってもまた面白い。
「それに……信頼できるからな。強くなってくれると俺も嬉しいし」
ユウトは性格的にも良いやつだ。
たとえ強くとも、いつ裏切るのかわからないようでは背中を預けられない。
その点でトモナリもユウトのことを信用している。
ユウトがどうするのか知らないが、この先も一緒に戦ってほしいと思える人であった。
「ユウトに上下関係教えてやるのだ……!」
ヒカリもやる気を見せている。
ユウトもヒカリも冗談ではあるけど衝突する。
基本的にユウトがヒカリをからかって、ヒカリが負けないのだと怒るパターンが多い。
日頃から俺の方が強いもんねとユウトも口にしているので、みんなの前で本当に強いのはどちらか見せてやろうとヒカリは思っていた。
「私も負けないからね!」
ミズキもなんだかんだとトモナリをライバル視し続けている。
順当に覚醒者として成長しているので、ミズキの方はあまり心配していない。
「私は負けてもいいかな」
「サーシャもがんばるのだぁ」
「ギュってさせてくれる?」
「むっ……頑張ればな!」
「じゃあ頑張る」
一方でサーシャの闘争心は薄い。
ただ努力をしないとか強さに興味がないわけじゃなく、あまり他者と競い合うことに興味がないという感じである。
フウカは個人戦で負けたことを悔しそうにしていた。
似たような二人であるが、ちょっとした所に違いがありそうだ。
「僕はほどほどでいいかな」
アユムは小さくため息をつく。
もうすでに覚醒者として活動しているアユムは実戦的な経験がトモナリたちよりも多い。
その上でトモナリの実力は自分よりも高いと認めている。
他にも団体戦に出ていた人たちで勝てなさそうな人は何人かいる。
恥ずかしい戦いをしなければそれでいいかなという気分であった。
「ウチはやるで! 出るからには目指すは優勝や!」
関西圏から来たミレアは独特のイントネーションの言葉で話す。
気持ちのいいニカっとした笑顔を浮かべる子で、出場するからには優勝するつもりだった。
全体的にやる気は高い。
組み合わせの問題もあるが、十六歳組だけなら日本もかなりいいところにいけそうな雰囲気は感じられる。

