「‘来てくれてありがとう’」
「‘約束だからな’」
団体戦は日本が優勝した。
メイリンとの戦いで消耗したトモナリは中国との中堅との戦いで棄権した。
残りは四対三となったが、その内訳で見ると先鋒のトモナリが相手の先鋒と大将を倒したのと同じである。
中国側も奮戦したけれど、カエデはあくまでも冷静に戦いを進めた。
急遽中国側の大将となった子を副将のカエデが削り、王職ということで大将となったタケルがしっかりと倒した。
トモナリとメイリンの怪しい戦いによるちょっとした怪しい優勝ではあった。
中国も強敵との連戦で消耗していたこともあるだろう。
だが運も実力のうちであり、日本の優勝は変わらない。
団体戦が終わって、すぐさま個人戦とはいかず休息日が設けられた。
そして約束通りトモナリはメイリンに会いに来た。
正確にはホテル横付けでリムジンがやってきたので来るしかなかったのである。
「‘コーヒー? 紅茶?’」
「‘じゃあ紅茶で’」
「ジュースなのだ!」
「‘紅茶とジュースね’」
中国は高級ホテルを丸々一つ貸し切っていた。
トモナリたちも良いホテルには泊まっているがそれよりもさらにグレートが高く、さらには丸々貸切なんてこともしていない。
メイリンは最上階の最高級の部屋に泊まっていて、リムジンで連れられてきたトモナリを笑顔で迎えた。
戦いの時は中国らしく武道服であったが、今はちょっと緩めの服を着ている。
流石に普段からあのような格好ではないのだなとトモナリも思った。
フカフカのソファーに座ったトモナリの膝の上に抱えられたヒカリは、険しい顔でメイリンを見ている。
「チッスは許さないのだ……」
「もうチッスなんてされないだろうからそう警戒するなよ」
何でキスをチッスなんて不思議な言い方するのだと思うが、面白いから触れずにスルーする。
「‘はい、紅茶とリンゴジュースとオレンジジュースとコーラとサイダー’」
「‘多くないか?’」
「‘何が良いか分からないから’」
聞けばいいのにメイリンはあるだけジュースを持ってきた。
ヒカリの今の気分はオレンジジュースらしくて、サッとコップを手に取るとすぐにトモナリの膝に戻る。
「‘それで話はなんだ?’」
紅茶も氷が入ったアイスティーだった。
トモナリは一口アイスティーを飲んで口を湿らせると本題に入る。
「‘せっかちね。まあいいわ。あなた、恋人は?’」
「‘恋人?’」
変なことを聞くものだとトモナリは驚いた顔をする。
「‘いないが……’」
今のところ特定の誰かと付き合うつもりはない。
将来的には幸せな家庭を築きたいとは考えているが、そのためにも試練ゲートをクリアして世界を救わねばならないのだ。
「‘私は強い男が好き。でも今となっては私と同じくらいで、私よりも強い男を見つける方が難しいぐらい’」
メイリンはヒカリが手に取らなかったリンゴジュースを手に取って飲んだ。
「‘でも今強くなくてもいいとは思うの。そのうちに私よりも強くなりそうなら’」
「‘そう……なのか’」
うっすらと話の先が見えてきた気もするが、早合点するのもよくない。
トモナリは警戒しつつもメリインの話を聞く。
「‘あなた、私の夫にならない?’」
「‘…………本気で言ってるのか?’」
「なななな、何を言ってるのだ!」
急な結論にトモナリもヒカリも驚いてしまう。
もうちょっとマイルドだったり、もうちょっと手前のところから攻めてきたりするのかと思ったけれど、まさか色々すっ飛ばしたストレートな誘いだった。
「‘まだそんなにレベル高くないんでしょう? それであの強さ……あなたには戦いのセンスもある’」
やたらメイリンの視線を感じる気がしていたのは、そういうことだったのかと納得する。
「‘あなたなら私のパートナーになれる。国も高待遇を約束してくれるはずよ’」
ざっくりと言ってしまえば一種のスカウト話であった。
「‘どうかしら…………あら?’」
「ヒカリ?」
「ダメなのだー! トモナリは僕のパートナーなのだ!」
ヒカリはトモナリを盗られまいとトモナリの顔面にしがみついた。
ヒカリの言うパートナーとメイリンの言うパートナーは若干意味合いが違う気もするが、ともかくメイリンなどにトモナリは渡せないと必死である。
「‘可愛いのね。あなたももちろんこちらに来るといいわよ’」
「行かないのだ。だからトモナリも行かないのだ」
ヒカリは頬を膨らませてトモナリの頭に自分のアゴを乗せている。
「‘あら? じゃあトモナリが来るって言ったら?’」
「そうはならないのだ!」
「‘俺抜きで話を進めるな’」
トモナリはヒカリを掴んで引き剥がそうとするけれども、ヒカリもしがみついて抵抗する。
「ぬー!」
「痛いぞ! こらっ!」
トモナリは何とかヒカリを引き剥がす。
「‘ふぅ……悪いな。返事はノーだ’」
答えを間違えるとトモナリとヒカリは行方不明なんて笑えない結末になるかもしれない。
しかしそれでもトモナリは正面から断った。
確かに中国の国力や資源を集中的に投下してくれる姿勢は今後の攻略にも役立つだろう。
仮にメイリンをパートナーとして迎えられるのなら大きな戦力ともなる。
「‘どうして断るのか聞かせてもらってもいいかしら?’」
メイリンは特に怒った様子もなく、ただ微笑んだ。
「‘約束だからな’」
団体戦は日本が優勝した。
メイリンとの戦いで消耗したトモナリは中国との中堅との戦いで棄権した。
残りは四対三となったが、その内訳で見ると先鋒のトモナリが相手の先鋒と大将を倒したのと同じである。
中国側も奮戦したけれど、カエデはあくまでも冷静に戦いを進めた。
急遽中国側の大将となった子を副将のカエデが削り、王職ということで大将となったタケルがしっかりと倒した。
トモナリとメイリンの怪しい戦いによるちょっとした怪しい優勝ではあった。
中国も強敵との連戦で消耗していたこともあるだろう。
だが運も実力のうちであり、日本の優勝は変わらない。
団体戦が終わって、すぐさま個人戦とはいかず休息日が設けられた。
そして約束通りトモナリはメイリンに会いに来た。
正確にはホテル横付けでリムジンがやってきたので来るしかなかったのである。
「‘コーヒー? 紅茶?’」
「‘じゃあ紅茶で’」
「ジュースなのだ!」
「‘紅茶とジュースね’」
中国は高級ホテルを丸々一つ貸し切っていた。
トモナリたちも良いホテルには泊まっているがそれよりもさらにグレートが高く、さらには丸々貸切なんてこともしていない。
メイリンは最上階の最高級の部屋に泊まっていて、リムジンで連れられてきたトモナリを笑顔で迎えた。
戦いの時は中国らしく武道服であったが、今はちょっと緩めの服を着ている。
流石に普段からあのような格好ではないのだなとトモナリも思った。
フカフカのソファーに座ったトモナリの膝の上に抱えられたヒカリは、険しい顔でメイリンを見ている。
「チッスは許さないのだ……」
「もうチッスなんてされないだろうからそう警戒するなよ」
何でキスをチッスなんて不思議な言い方するのだと思うが、面白いから触れずにスルーする。
「‘はい、紅茶とリンゴジュースとオレンジジュースとコーラとサイダー’」
「‘多くないか?’」
「‘何が良いか分からないから’」
聞けばいいのにメイリンはあるだけジュースを持ってきた。
ヒカリの今の気分はオレンジジュースらしくて、サッとコップを手に取るとすぐにトモナリの膝に戻る。
「‘それで話はなんだ?’」
紅茶も氷が入ったアイスティーだった。
トモナリは一口アイスティーを飲んで口を湿らせると本題に入る。
「‘せっかちね。まあいいわ。あなた、恋人は?’」
「‘恋人?’」
変なことを聞くものだとトモナリは驚いた顔をする。
「‘いないが……’」
今のところ特定の誰かと付き合うつもりはない。
将来的には幸せな家庭を築きたいとは考えているが、そのためにも試練ゲートをクリアして世界を救わねばならないのだ。
「‘私は強い男が好き。でも今となっては私と同じくらいで、私よりも強い男を見つける方が難しいぐらい’」
メイリンはヒカリが手に取らなかったリンゴジュースを手に取って飲んだ。
「‘でも今強くなくてもいいとは思うの。そのうちに私よりも強くなりそうなら’」
「‘そう……なのか’」
うっすらと話の先が見えてきた気もするが、早合点するのもよくない。
トモナリは警戒しつつもメリインの話を聞く。
「‘あなた、私の夫にならない?’」
「‘…………本気で言ってるのか?’」
「なななな、何を言ってるのだ!」
急な結論にトモナリもヒカリも驚いてしまう。
もうちょっとマイルドだったり、もうちょっと手前のところから攻めてきたりするのかと思ったけれど、まさか色々すっ飛ばしたストレートな誘いだった。
「‘まだそんなにレベル高くないんでしょう? それであの強さ……あなたには戦いのセンスもある’」
やたらメイリンの視線を感じる気がしていたのは、そういうことだったのかと納得する。
「‘あなたなら私のパートナーになれる。国も高待遇を約束してくれるはずよ’」
ざっくりと言ってしまえば一種のスカウト話であった。
「‘どうかしら…………あら?’」
「ヒカリ?」
「ダメなのだー! トモナリは僕のパートナーなのだ!」
ヒカリはトモナリを盗られまいとトモナリの顔面にしがみついた。
ヒカリの言うパートナーとメイリンの言うパートナーは若干意味合いが違う気もするが、ともかくメイリンなどにトモナリは渡せないと必死である。
「‘可愛いのね。あなたももちろんこちらに来るといいわよ’」
「行かないのだ。だからトモナリも行かないのだ」
ヒカリは頬を膨らませてトモナリの頭に自分のアゴを乗せている。
「‘あら? じゃあトモナリが来るって言ったら?’」
「そうはならないのだ!」
「‘俺抜きで話を進めるな’」
トモナリはヒカリを掴んで引き剥がそうとするけれども、ヒカリもしがみついて抵抗する。
「ぬー!」
「痛いぞ! こらっ!」
トモナリは何とかヒカリを引き剥がす。
「‘ふぅ……悪いな。返事はノーだ’」
答えを間違えるとトモナリとヒカリは行方不明なんて笑えない結末になるかもしれない。
しかしそれでもトモナリは正面から断った。
確かに中国の国力や資源を集中的に投下してくれる姿勢は今後の攻略にも役立つだろう。
仮にメイリンをパートナーとして迎えられるのなら大きな戦力ともなる。
「‘どうして断るのか聞かせてもらってもいいかしら?’」
メイリンは特に怒った様子もなく、ただ微笑んだ。

