「そういえば……」
なんで敵対視するのか聞いていない。
トモナリがハオレンに視線を向けると担架で運ばれるところだった。
どの道、ヒカリの一撃で気を失ってしまっているので今聞き出すことはできない。
「さてと、次ぐらいは……」
交流戦においてはアーティファクトの魔力が無くなるか、アーティファクトの耐久を超えてダメージを与えれば勝ちとなる。
つまり負けてもある程度アーティファクトの魔力を削れれば多少の貢献にはなるのだ。
トモナリにもまだ余裕はある。
ルビウス召喚やドラゴンズコネクトのスキルは万が一のために温存するつもりだが、負けても次鋒の相手のアーティファクトの魔力を削ることができれば後の人が楽になる。
「次は……えっ!?」
ここまでの戦いで中国は五人のメンバー、順番も全て固定だった。
だから次の相手はあの人だなと思っていたトモナリは次鋒の対戦相手を見て驚いた。
「‘対戦よろしくね’」
「ワン・メイリン……」
「よろしくなのだ!」
ステージに上がってきたのはメイリンであった。
カンフーの人が着ているような服に身を包んだメイリンは目を細めて笑い、軽く手を振っている。
逆にトモナリは予想外の相手に表情が引きつる。
ヒカリは能天気に手を振り返しているが、なんでメイリンが出てきたのかトモナリは不思議でならない。
「‘な、なんで……’」
「‘あなたと戦ってみたかったの’」
メイリンはニコリと笑い、観客席の何人かがボケっとそれに見惚れてしまう。
ただトモナリにとっては冗談じゃない話である。
こんなところでメイリンと戦うつもりなんてなかった。
準決勝まで大将だったメイリンの実力はかなり高いことがわかっている。
未来の傭兵女王がどうしてトモナリと戦ってみたいなんて思うのか。
「‘あなたに目をつけていたの。全力を見せて。……じゃないと殺すから’」
冗談や嘘じゃない。
穏やかな笑みを浮かべているようでトモナリに対して強く魔力を放っている。
「どうするかな……」
全力といわれるとやはりドラゴンズコネクトの使用になるだろう。
しかしそれは今のところトモナリの切り札中の切り札である。
実際負けた子の中には切り札であるスキルを隠したまま負けた子もいる。
一枚でも多くのカードを持っておくことが今後に影響を与えるかもしれないからだ。
特にトモナリはヒカリという存在もあって狙われる可能性がある。
誰が見ているのか分からない、この場所でドラゴンズコネクトを使うことはためらわれてしまう。
そしてもう一つ問題がある。
「‘ふふ、君はどうするかな?’」
メイリンが剣を抜いた。
それぞれの手に一本ずつ、つまりメイリンは双剣使いなのであった。
赤い刃と青い刃の対照的な剣は、トモナリが持っているルビウスと同じく人の目を引く。
二対一剣。
二本揃って初めて効果を発揮する特殊な剣である。
かつてありし名剣になぞらえて青紅剣と呼ばれていて、傭兵女王の代名詞でもあった。
「あの剣相手に素手は厳しいよな……」
ドラゴンズコネクトの今の所の弱点は、ルビウスが手元になくなってしまうところにある。
ドラゴンっぽい鱗が生えて、それなりに頑丈にはなる。
しかしどこまで耐えられるかなど分かったものではない。
腕で防御して叩き切られたら笑い事にもならないのである。
武器を失うというデメリットは大きい。
ついでにステージ上でスキルを使えばルビウスが無くなってしまうことも一目瞭然でバレる。
デメリットが周りに知られてしまうのだ。
今の状況でドラゴンズコネクトを使うことはデメリットしかないのである。
だがメイリンが納得するような一手は見せねばならない。
「ルビウス、頼むぞ」
「ほほほ……任せておけ」
「‘へぇ’」
メイリンを納得させる奥の手として、トモナリはルビウスを召喚した。
赤いヒカリが増えた。
周りは大きくざわついた。
「そっちが赤と青なら、こっちは赤と黒だ」
「‘始め!’」
試合が始まった。
「‘じゃあいくよ’」
始まった瞬間メイリンがトモナリに迫った。
「くっ!」
速いと思う暇もなくトモナリは青い剣を防ぐ。
「どりゃー!」
「小娘が!」
ヒカリとルビウスが左右から挟み込むようにメイリンに襲いかかる。
「にゅ!」
「ぐおっ!?」
メイリンは赤い剣でヒカリを狙い、剣を振る勢いを活かしてルビウスに蹴りを繰り出した。
ヒカリは剣をなんとかかわしたけれど、ルビウスは回避できずに蹴り飛ばされる。
「はあっ!」
ヒカリとルビウスが作ってくれた隙をついて、トモナリは炎をまとった剣で攻撃を仕掛ける。
中国は全体的な底上げよりも才能のある覚醒者を重点的に鍛える傾向がある。
去年の個人戦優勝者である中国の覚醒者も徹底して鍛え上げられていた。
メイリンも同じく集中支援を受けている。
すでにメイリンのレベルは58に達している。
これは三年生であるテルをも上回るレベルであった。
能力値も高くて全体的にトモナリよりも格上の相手である。
トモナリが攻め立てるけれど、メイリンは軽く攻撃を受け流す。
なんで敵対視するのか聞いていない。
トモナリがハオレンに視線を向けると担架で運ばれるところだった。
どの道、ヒカリの一撃で気を失ってしまっているので今聞き出すことはできない。
「さてと、次ぐらいは……」
交流戦においてはアーティファクトの魔力が無くなるか、アーティファクトの耐久を超えてダメージを与えれば勝ちとなる。
つまり負けてもある程度アーティファクトの魔力を削れれば多少の貢献にはなるのだ。
トモナリにもまだ余裕はある。
ルビウス召喚やドラゴンズコネクトのスキルは万が一のために温存するつもりだが、負けても次鋒の相手のアーティファクトの魔力を削ることができれば後の人が楽になる。
「次は……えっ!?」
ここまでの戦いで中国は五人のメンバー、順番も全て固定だった。
だから次の相手はあの人だなと思っていたトモナリは次鋒の対戦相手を見て驚いた。
「‘対戦よろしくね’」
「ワン・メイリン……」
「よろしくなのだ!」
ステージに上がってきたのはメイリンであった。
カンフーの人が着ているような服に身を包んだメイリンは目を細めて笑い、軽く手を振っている。
逆にトモナリは予想外の相手に表情が引きつる。
ヒカリは能天気に手を振り返しているが、なんでメイリンが出てきたのかトモナリは不思議でならない。
「‘な、なんで……’」
「‘あなたと戦ってみたかったの’」
メイリンはニコリと笑い、観客席の何人かがボケっとそれに見惚れてしまう。
ただトモナリにとっては冗談じゃない話である。
こんなところでメイリンと戦うつもりなんてなかった。
準決勝まで大将だったメイリンの実力はかなり高いことがわかっている。
未来の傭兵女王がどうしてトモナリと戦ってみたいなんて思うのか。
「‘あなたに目をつけていたの。全力を見せて。……じゃないと殺すから’」
冗談や嘘じゃない。
穏やかな笑みを浮かべているようでトモナリに対して強く魔力を放っている。
「どうするかな……」
全力といわれるとやはりドラゴンズコネクトの使用になるだろう。
しかしそれは今のところトモナリの切り札中の切り札である。
実際負けた子の中には切り札であるスキルを隠したまま負けた子もいる。
一枚でも多くのカードを持っておくことが今後に影響を与えるかもしれないからだ。
特にトモナリはヒカリという存在もあって狙われる可能性がある。
誰が見ているのか分からない、この場所でドラゴンズコネクトを使うことはためらわれてしまう。
そしてもう一つ問題がある。
「‘ふふ、君はどうするかな?’」
メイリンが剣を抜いた。
それぞれの手に一本ずつ、つまりメイリンは双剣使いなのであった。
赤い刃と青い刃の対照的な剣は、トモナリが持っているルビウスと同じく人の目を引く。
二対一剣。
二本揃って初めて効果を発揮する特殊な剣である。
かつてありし名剣になぞらえて青紅剣と呼ばれていて、傭兵女王の代名詞でもあった。
「あの剣相手に素手は厳しいよな……」
ドラゴンズコネクトの今の所の弱点は、ルビウスが手元になくなってしまうところにある。
ドラゴンっぽい鱗が生えて、それなりに頑丈にはなる。
しかしどこまで耐えられるかなど分かったものではない。
腕で防御して叩き切られたら笑い事にもならないのである。
武器を失うというデメリットは大きい。
ついでにステージ上でスキルを使えばルビウスが無くなってしまうことも一目瞭然でバレる。
デメリットが周りに知られてしまうのだ。
今の状況でドラゴンズコネクトを使うことはデメリットしかないのである。
だがメイリンが納得するような一手は見せねばならない。
「ルビウス、頼むぞ」
「ほほほ……任せておけ」
「‘へぇ’」
メイリンを納得させる奥の手として、トモナリはルビウスを召喚した。
赤いヒカリが増えた。
周りは大きくざわついた。
「そっちが赤と青なら、こっちは赤と黒だ」
「‘始め!’」
試合が始まった。
「‘じゃあいくよ’」
始まった瞬間メイリンがトモナリに迫った。
「くっ!」
速いと思う暇もなくトモナリは青い剣を防ぐ。
「どりゃー!」
「小娘が!」
ヒカリとルビウスが左右から挟み込むようにメイリンに襲いかかる。
「にゅ!」
「ぐおっ!?」
メイリンは赤い剣でヒカリを狙い、剣を振る勢いを活かしてルビウスに蹴りを繰り出した。
ヒカリは剣をなんとかかわしたけれど、ルビウスは回避できずに蹴り飛ばされる。
「はあっ!」
ヒカリとルビウスが作ってくれた隙をついて、トモナリは炎をまとった剣で攻撃を仕掛ける。
中国は全体的な底上げよりも才能のある覚醒者を重点的に鍛える傾向がある。
去年の個人戦優勝者である中国の覚醒者も徹底して鍛え上げられていた。
メイリンも同じく集中支援を受けている。
すでにメイリンのレベルは58に達している。
これは三年生であるテルをも上回るレベルであった。
能力値も高くて全体的にトモナリよりも格上の相手である。
トモナリが攻め立てるけれど、メイリンは軽く攻撃を受け流す。

