運が良かった。
トーナメント方式であるために、最初のくじ引きで勝ち抜いた時の対戦相手もある程度予想できてしまう。
くじ引きだったので強い国が偏っても仕方ない側面もある。
日本は非常に運が良く、強い国々とは当たらない組み分けになっていた。
準々決勝で前回優勝のカナダと前回準優勝の中国がぶつかった。
結果は中国の勝利。
カナダもかなり強かったが、メイリンの出番もなく中国の副将がカナダの大将を倒した。
トモナリの記憶にあるような覚醒者もいなかったけれどかなり善戦した。
去年に引き続きいてこれだけ戦えているのなら去年の参加者が強かったというだけでなく、覚醒者教育のシステムがしっかりしていて上手くいっているということなのだろう。
「あっちのグループじゃなくてよかったな」
さらに中国は準決勝でアメリカと当たることになった。
去年は準決勝で敗退し、3位決定戦でも日本に負けたアメリカは、今年の開催国ということもあってリベンジに燃えていた。
大将戦までもつれ込んだが、最後にはメイリンが相手を下して中国が決勝に進んだ。
対して日本は相手が弱かったということは決してないけれども、優勝候補に名前が挙がるような相手と戦うことなく勝ち上がれた。
「決勝は君が出てくれよ……」
アユムはゲンナリした顔をしている。
ここまで先鋒はトモナリとアユムが毎回じゃんけんで決めたのだけど、最初にトモナリが出てから次の二回はアユムが出ることになった。
アユムは先鋒として二回とも勝利したのだけど、アユムがステージに上がると観客席からため息のようなどよめきが起こる。
ヒカリが出てこないのか、という落胆であった。
二回もため息をつかれてはアユムの方もため息をつきたくなってしまう。
「まあ一回多く出てるしな。次は俺のヒカリの番だな」
流石に出るだけでため息つかれては可哀想である。
すでにアユムの方が二回も出ているので、トモナリも出るつもりであった。
「むふー! やるのだ!」
ヒカリはやる気を見せている。
初戦のイギリス戦では油断してしまったが、もう今度は油断しない。
「それに……気になることもあるしな」
「頑張れよ、アイゼン」
「頑張ります」
先輩たちの応援も背にトモナリはステージに上がる。
対戦相手のハオレンはすでにステージ上で待っていた。
鋭い目つきをしてトモナリのことを睨みつけている。
今は対戦相手だから睨みつけられてもしょうがないのかもしれないけれど、ハオレンは対戦する前からトモナリのことを意識したように睨みつけてくれていた。
何をそんなに敵視することがあるのか。
話したこともないのにそんなに睨みつけられてはトモナリも不愉快である。
ただ周りはトモナリとハオレンの不穏な雰囲気などつゆ知らず、ヒカリがステージに上がったことで嬉しそうな歓声を送っていた。
ヒカリもドヤ顔で手を振って答えている。
「‘よう。なんでそんなに怖い顔するんだ?’」
トモナリが声をかけるとハオレンは目を細めてより鋭く睨む。
「‘無視か? 仲良くしようっていうのが交流戦だろう? なんで俺を睨みつけるんだ?’」
そんなに怒らせるようなことをした記憶なんてない。
せめて睨みつける原因だけでも教えてほしい。
「‘……あのお方がお前を気にかけているからだ’」
「‘あのお方?’」
「‘知りたければ俺を倒してみろ’」
ハオレンは青龍偃月刀をトモナリの方に突きつけた。
どうにもトモナリが直接何かしたわけではなさそうだ。
「じゃあ教えてもらおうか」
トモナリもルビウスを抜いて構える。
嫌われることは別に構わないが、明確な敵意を向け続けられることにはもう飽きた。
「‘始め!’」
スタートと同時にトモナリとハオレンは走り出した。
ルビウスと青龍偃月刀がぶつかり合い、鍔迫り合いになる。
「‘なんだと!?’」
流石に一撃で押し切れるとは思っていなかった。
けれども押し合いになって力負けしていたのはハオレンの方だった。
『力:95
素早さ:98
体力:95
魔力:89
器用さ:96
運:68』
トモナリの能力は今や三桁も目前に迫っていた。
メガサウルスとの戦いでトモナリのレベルは一気に上がった。
さらにはイヌサワの重力操作のスキルを使い、重たくしてもらってトレーニングするなんてこともしていた。
レベルで全体的な能力が伸びた上に、トレーニングで力と素早さがより伸びた。
ハオレンは重剣士という重たい武器を扱うのに適した職業である。
特に力の能力値の伸びが良くて、ここまででの戦いも圧倒的な力で相手を倒してきた。
なのに鍔迫り合いで押されている。
トモナリの方が力が強いことにハオレンは驚きを隠すことができない。
「どりゃー!」
鍔迫り合いを演じている間に後ろに回り込んだヒカリがハオレンに襲いかかる。
残念ながらトモナリは一人ではない。
「‘くそッ!’」
ハオレンは体をねじってヒカリの攻撃をかわす。
「‘はあっ!’」
「おっと」
ハオレンはトモナリの追撃を青龍偃月刀を回転させて防ぐ。
「‘ふふ、強いね’」
ハオレンが押されている。
このことに中国側に驚きが広がっていた。
トーナメント方式であるために、最初のくじ引きで勝ち抜いた時の対戦相手もある程度予想できてしまう。
くじ引きだったので強い国が偏っても仕方ない側面もある。
日本は非常に運が良く、強い国々とは当たらない組み分けになっていた。
準々決勝で前回優勝のカナダと前回準優勝の中国がぶつかった。
結果は中国の勝利。
カナダもかなり強かったが、メイリンの出番もなく中国の副将がカナダの大将を倒した。
トモナリの記憶にあるような覚醒者もいなかったけれどかなり善戦した。
去年に引き続きいてこれだけ戦えているのなら去年の参加者が強かったというだけでなく、覚醒者教育のシステムがしっかりしていて上手くいっているということなのだろう。
「あっちのグループじゃなくてよかったな」
さらに中国は準決勝でアメリカと当たることになった。
去年は準決勝で敗退し、3位決定戦でも日本に負けたアメリカは、今年の開催国ということもあってリベンジに燃えていた。
大将戦までもつれ込んだが、最後にはメイリンが相手を下して中国が決勝に進んだ。
対して日本は相手が弱かったということは決してないけれども、優勝候補に名前が挙がるような相手と戦うことなく勝ち上がれた。
「決勝は君が出てくれよ……」
アユムはゲンナリした顔をしている。
ここまで先鋒はトモナリとアユムが毎回じゃんけんで決めたのだけど、最初にトモナリが出てから次の二回はアユムが出ることになった。
アユムは先鋒として二回とも勝利したのだけど、アユムがステージに上がると観客席からため息のようなどよめきが起こる。
ヒカリが出てこないのか、という落胆であった。
二回もため息をつかれてはアユムの方もため息をつきたくなってしまう。
「まあ一回多く出てるしな。次は俺のヒカリの番だな」
流石に出るだけでため息つかれては可哀想である。
すでにアユムの方が二回も出ているので、トモナリも出るつもりであった。
「むふー! やるのだ!」
ヒカリはやる気を見せている。
初戦のイギリス戦では油断してしまったが、もう今度は油断しない。
「それに……気になることもあるしな」
「頑張れよ、アイゼン」
「頑張ります」
先輩たちの応援も背にトモナリはステージに上がる。
対戦相手のハオレンはすでにステージ上で待っていた。
鋭い目つきをしてトモナリのことを睨みつけている。
今は対戦相手だから睨みつけられてもしょうがないのかもしれないけれど、ハオレンは対戦する前からトモナリのことを意識したように睨みつけてくれていた。
何をそんなに敵視することがあるのか。
話したこともないのにそんなに睨みつけられてはトモナリも不愉快である。
ただ周りはトモナリとハオレンの不穏な雰囲気などつゆ知らず、ヒカリがステージに上がったことで嬉しそうな歓声を送っていた。
ヒカリもドヤ顔で手を振って答えている。
「‘よう。なんでそんなに怖い顔するんだ?’」
トモナリが声をかけるとハオレンは目を細めてより鋭く睨む。
「‘無視か? 仲良くしようっていうのが交流戦だろう? なんで俺を睨みつけるんだ?’」
そんなに怒らせるようなことをした記憶なんてない。
せめて睨みつける原因だけでも教えてほしい。
「‘……あのお方がお前を気にかけているからだ’」
「‘あのお方?’」
「‘知りたければ俺を倒してみろ’」
ハオレンは青龍偃月刀をトモナリの方に突きつけた。
どうにもトモナリが直接何かしたわけではなさそうだ。
「じゃあ教えてもらおうか」
トモナリもルビウスを抜いて構える。
嫌われることは別に構わないが、明確な敵意を向け続けられることにはもう飽きた。
「‘始め!’」
スタートと同時にトモナリとハオレンは走り出した。
ルビウスと青龍偃月刀がぶつかり合い、鍔迫り合いになる。
「‘なんだと!?’」
流石に一撃で押し切れるとは思っていなかった。
けれども押し合いになって力負けしていたのはハオレンの方だった。
『力:95
素早さ:98
体力:95
魔力:89
器用さ:96
運:68』
トモナリの能力は今や三桁も目前に迫っていた。
メガサウルスとの戦いでトモナリのレベルは一気に上がった。
さらにはイヌサワの重力操作のスキルを使い、重たくしてもらってトレーニングするなんてこともしていた。
レベルで全体的な能力が伸びた上に、トレーニングで力と素早さがより伸びた。
ハオレンは重剣士という重たい武器を扱うのに適した職業である。
特に力の能力値の伸びが良くて、ここまででの戦いも圧倒的な力で相手を倒してきた。
なのに鍔迫り合いで押されている。
トモナリの方が力が強いことにハオレンは驚きを隠すことができない。
「どりゃー!」
鍔迫り合いを演じている間に後ろに回り込んだヒカリがハオレンに襲いかかる。
残念ながらトモナリは一人ではない。
「‘くそッ!’」
ハオレンは体をねじってヒカリの攻撃をかわす。
「‘はあっ!’」
「おっと」
ハオレンはトモナリの追撃を青龍偃月刀を回転させて防ぐ。
「‘ふふ、強いね’」
ハオレンが押されている。
このことに中国側に驚きが広がっていた。

