「‘そこまでだ!’」
トモナリの剣は相手の首に当たりかけたところで止まった。
アーティファクトの効果が発動し、刃を防いだのである。
バリアが割れかける直前で審判がルビウスの刃を掴んで止める。
このまま剣を振り切られると危険だという判断であった。
「‘勝者アイゼントモナリ!’」
「僕もいるぞ!」
「‘アイゼントモナリとヒカリ!’」
審判がトモナリの勝利宣言をする。
だがヒカリのことが含まれていないのでヒカリが審判に顔を近づけて詰め寄った。
少し目を細めた審判は軽く頷いて勝利宣言を言い直した。
「やったな、トモナリ!」
特に苦戦もなく二勝してしまった。
相手が弱かったということではなく、トモナリの手の内がバレていないうちに攻めきってしまうことができたから簡単に勝てたのだ。
ヒカリの能力も上がってきて普通に戦えるようになっている。
個人の戦いに加えてヒカリとの連携も練習してきた。
実際の戦いでは口で指示していられないことも多くある。
実はちょっとした裏技もあるのだけど、正攻法で戦えることも大切だ。
それぞれ好きに動きながらも、お互いの動きや一瞬のアイコンタクトで連携を取れるように頑張っている。
今回は相手が油断していたこともあって上手く連携が取れた。
「このままぜんしょーしてやろうかぁー! わっはっはっー!」
ヒカリ、調子に乗る。
トモナリも意外といけそうだなと思うのだけど、流石にあまり目立ちすぎるのもめんどくさいことになるかもなと思い始めた。
続いて中堅との戦いである。
「ふふふ……この僕が倒してやるのだ!」
中堅の相手は剣と大きめの盾を持ったタンクタイプの覚醒者であった。
力押しでは難しそうだけど、スピードで翻弄すればいけるかもしれない。
「わははー! いくのだー!」
試合が始まって動いたのは、またまたヒカリである。
「にょわー!」
真っ直ぐに体当たりをかましたヒカリであったが、盾で受けられて弾き返される。
「こんにゃろー!」
空中で姿勢を立て直したヒカリは正面から攻めることをやめ、素早く相手の周りを飛び回る。
ちょいちょい可愛いという声が聞こえる中でヒカリは相手の隙を狙う。
「ここなのだー!」
自分の速度についてこられていない。
そう思ったヒカリは相手の後ろから襲いかかった。
「みゅ? ぬぅん! にょわー!」
相手が動かないのはヒカリのスピードについてこられないのではなく、ただ冷静にどっしりと構えていただけだった。
正面から攻撃することが難しいなら後ろから来ることは予想できていた。
素早く後ろを向いた相手はヒカリに剣を振り下ろした。
対してヒカリは攻撃が読まれていたことは予想外だったようで剣をギリギリでかわす。
しかし咄嗟の回避でふらついてしまったところを盾で思い切り殴り飛ばされてしまった。
「‘悪いな!’」
吹き飛んだヒカリに相手は剣で追撃する。
バリアが割れながらヒカリは床に叩きつけられた。
「や、やられた……のだ」
ヒカリも強くなったけどやっぱり経験不足感も強い。
調子に乗っていたこともあるが、しっかりと戦う経験が足りていなくて戦いの判断がまだまだ甘い。
「‘なんだよ……’」
ヒカリが倒されて観客席の一部からブーイングが上がる。
この三戦も含めてヒカリファンが形成されつつあって、相手の子はブーイングを受けて苦々しい顔をしている。
「‘降参します’」
ヒカリが戦っていたので忘れられがちだが、実はトモナリはただ見ていただけだった。
そろそろ負けておこうかなと思っていたので、ヒカリに任せていた。
ついでにヒカリの経験にもなる。
勝てばそのままでも良かったが、負けたのでトモナリはサラッと降参してしまう。
テイマー扱いされているので、魔獣であるヒカリが倒されて降参するのもそれほど違和感がない。
「やられたのだぁ〜」
「だから油断するなって言ってるだろ」
「くっ……調子に乗ったのだ」
床に倒れるヒカリをトモナリが抱きかかえる。
ヒカリも調子に乗って分かりやすく攻めてしまったことを自覚していた。
反省ができるなら次はもっと強くなるだろう。
「でも頑張ったから褒めてほしいのだ!」
赤ちゃんのように抱きかかえられたヒカリはトモナリに甘えた顔をする。
「ほれほれほれ!」
「にょわぁ〜あ〜!」
トモナリはヒカリのお腹をわしゃわしゃ撫でながらステージを降りる。
「‘なんだかムカつくな……’」
勝者である中堅の覚醒者のことを見ている人はいない。
お腹を撫でられて恍惚としているヒカリのことを見ている人の方が多くて、中堅の覚醒者はすごく渋い顔をしていたのだった。
トモナリの剣は相手の首に当たりかけたところで止まった。
アーティファクトの効果が発動し、刃を防いだのである。
バリアが割れかける直前で審判がルビウスの刃を掴んで止める。
このまま剣を振り切られると危険だという判断であった。
「‘勝者アイゼントモナリ!’」
「僕もいるぞ!」
「‘アイゼントモナリとヒカリ!’」
審判がトモナリの勝利宣言をする。
だがヒカリのことが含まれていないのでヒカリが審判に顔を近づけて詰め寄った。
少し目を細めた審判は軽く頷いて勝利宣言を言い直した。
「やったな、トモナリ!」
特に苦戦もなく二勝してしまった。
相手が弱かったということではなく、トモナリの手の内がバレていないうちに攻めきってしまうことができたから簡単に勝てたのだ。
ヒカリの能力も上がってきて普通に戦えるようになっている。
個人の戦いに加えてヒカリとの連携も練習してきた。
実際の戦いでは口で指示していられないことも多くある。
実はちょっとした裏技もあるのだけど、正攻法で戦えることも大切だ。
それぞれ好きに動きながらも、お互いの動きや一瞬のアイコンタクトで連携を取れるように頑張っている。
今回は相手が油断していたこともあって上手く連携が取れた。
「このままぜんしょーしてやろうかぁー! わっはっはっー!」
ヒカリ、調子に乗る。
トモナリも意外といけそうだなと思うのだけど、流石にあまり目立ちすぎるのもめんどくさいことになるかもなと思い始めた。
続いて中堅との戦いである。
「ふふふ……この僕が倒してやるのだ!」
中堅の相手は剣と大きめの盾を持ったタンクタイプの覚醒者であった。
力押しでは難しそうだけど、スピードで翻弄すればいけるかもしれない。
「わははー! いくのだー!」
試合が始まって動いたのは、またまたヒカリである。
「にょわー!」
真っ直ぐに体当たりをかましたヒカリであったが、盾で受けられて弾き返される。
「こんにゃろー!」
空中で姿勢を立て直したヒカリは正面から攻めることをやめ、素早く相手の周りを飛び回る。
ちょいちょい可愛いという声が聞こえる中でヒカリは相手の隙を狙う。
「ここなのだー!」
自分の速度についてこられていない。
そう思ったヒカリは相手の後ろから襲いかかった。
「みゅ? ぬぅん! にょわー!」
相手が動かないのはヒカリのスピードについてこられないのではなく、ただ冷静にどっしりと構えていただけだった。
正面から攻撃することが難しいなら後ろから来ることは予想できていた。
素早く後ろを向いた相手はヒカリに剣を振り下ろした。
対してヒカリは攻撃が読まれていたことは予想外だったようで剣をギリギリでかわす。
しかし咄嗟の回避でふらついてしまったところを盾で思い切り殴り飛ばされてしまった。
「‘悪いな!’」
吹き飛んだヒカリに相手は剣で追撃する。
バリアが割れながらヒカリは床に叩きつけられた。
「や、やられた……のだ」
ヒカリも強くなったけどやっぱり経験不足感も強い。
調子に乗っていたこともあるが、しっかりと戦う経験が足りていなくて戦いの判断がまだまだ甘い。
「‘なんだよ……’」
ヒカリが倒されて観客席の一部からブーイングが上がる。
この三戦も含めてヒカリファンが形成されつつあって、相手の子はブーイングを受けて苦々しい顔をしている。
「‘降参します’」
ヒカリが戦っていたので忘れられがちだが、実はトモナリはただ見ていただけだった。
そろそろ負けておこうかなと思っていたので、ヒカリに任せていた。
ついでにヒカリの経験にもなる。
勝てばそのままでも良かったが、負けたのでトモナリはサラッと降参してしまう。
テイマー扱いされているので、魔獣であるヒカリが倒されて降参するのもそれほど違和感がない。
「やられたのだぁ〜」
「だから油断するなって言ってるだろ」
「くっ……調子に乗ったのだ」
床に倒れるヒカリをトモナリが抱きかかえる。
ヒカリも調子に乗って分かりやすく攻めてしまったことを自覚していた。
反省ができるなら次はもっと強くなるだろう。
「でも頑張ったから褒めてほしいのだ!」
赤ちゃんのように抱きかかえられたヒカリはトモナリに甘えた顔をする。
「ほれほれほれ!」
「にょわぁ〜あ〜!」
トモナリはヒカリのお腹をわしゃわしゃ撫でながらステージを降りる。
「‘なんだかムカつくな……’」
勝者である中堅の覚醒者のことを見ている人はいない。
お腹を撫でられて恍惚としているヒカリのことを見ている人の方が多くて、中堅の覚醒者はすごく渋い顔をしていたのだった。

