交流戦が始まった。
まず行われるのは国別対抗団体戦である。
七名を選出し、その内五名が戦う。
勝ち抜き戦で、大将が敗れた方の国が負けとなる。
交流だったり普段見ないような人の実力を見たりすることが目的ではあるが、国別などといわれたら自国の国の威信を背負うことになってしまう。
個人のプライド、あるいは国としてのプライドをかけた戦いとなるのである。
「こんなものあるんだな」
団体戦のメンバーは十六歳が二人から三人、十七歳が四人から五人で選ばねばならない。
日本のチームは十七歳は二年生のアカデミーの課外活動部から四人、アカデミー以外の参加者が一人選ばれた。
さらに十六歳はアカデミー以外から一人、そしてアカデミーからはトモナリが選ばれたのだった。
一年生の中で一番レベルが高いのだからトモナリが選ばれるのは順当であり、他のみんなから文句もなかった。
団体戦参加者には腕輪が配られた。
大きくてゴツい腕輪には青い魔石がはめ込まれている。
腕輪は人工的に開発されたアーティファクトであった。
「飛行機とかに積まれている防御アーティファクトの簡易版ね」
いかに覚醒者といっても本気で戦って怪我は避けられない。
ある程度のところで止める必要がある。
そのために用いられるのが配られた腕輪のアーティファクトだ。
魔石の魔力を使って体を保護するバリアを展開してくれる。
航空機などはモンスターに襲撃されても安全に航行できるよう、防御用アーティファクトを搭載している。
そうしたアーティファクトを小さくしたもので、一定以上のダメージを受けてバリアが消えてしまうと試合終了となる。
「この形、納得いかないのだ……」
トモナリやアルケスが参加することを考慮してなのか、魔獣用のアーティファクトは用意されていた。
ただ装着場所に問題があった。
人用は腕輪になっているのだけど、ヒカリ用は首輪になってしまっている。
アーティファクトを小さくするのも簡単ではない。
腕輪以上に小さくすることは現段階で出来なくて、ヒカリは首にアーティファクトをつけるしかなかった。
「可愛いぞ」
「むぅ〜! トモナリがそういうなら……」
ヒカリはペット扱いを嫌う。
あくまでもトモナリとは対等な関係であるとヒカリは考えている。
首輪ではなんだかペットみたいだと不満なのだ。
トモナリがヒカリの不満を汲んで頭を撫でてやると仕方なく受け入れる。
アーティファクトがないからとトモナリの隣にいられないのなら、首輪ぐらい我慢する。
「初戦の相手はイギリスか」
今回集められた国は二十ヶ国に及ぶ。
団体戦はトーナメント方式で、もうくじ引きによって相手は決まっている。
日本の初戦の相手はイギリスであった。
「注目は前回の団体戦準優勝の中国、優勝のカナダ、それに今回開催国であるアメリカもやる気に燃えてるわね」
去年のデータも参考にして強敵を考える。
覚醒者の教育にはどこの国も力を入れているが、覚醒者教育の歴史はまだ浅い。
どうやって教育していくのか、それぞれのアカデミーに任されているところが大きくてバラツキは出てしまう。
国の経済状況や覚醒者の数など、その他の要因にも大きく覚醒者教育は影響される。
中国やアメリカは覚醒者教育を始めた時期も早く、覚醒者強国である。
「前回優勝って中国じゃなかったのか?」
前にテルがそんな話をしていたとユウトは首を傾げる。
確か中国が優勝したと言っていた。
「そっちは個人戦の方だな。団体戦は準優勝……それでも高順位だけどね」
カエデがユウトの疑問に答えてくれる。
テルが言っていた優勝したというのは、団体戦の後に行われる個人戦においての話だ。
個人戦ではフウカが決勝まで勝ち上がって中国の覚醒者に敗北した。
ただ中国の覚醒者は他にも勝ち上がってきていて、決勝に上がる前にフウカの体力はかなり削られた状態であったことは否めない。
だからフウカは負けたつもりはないと口にしていて、珍しく感情をあらわにするほどであった。
「そうなんですか。日本はどうだったんですか?」
「日本は三位だった」
前回の交流戦ではフウカやテルの奮闘もあって準決勝まで勝ち上がった。
しかし準決勝で立ちはだかったのが団体戦優勝国のカナダであった。
日本は準決勝で負けて、三位決定戦でアメリカに勝って三位となったのである。
「じゃあ団体戦三位で、個人戦も準優勝だったんだね」
意外とすごいじゃないかとミズキは思った。
「そうね。かなり善戦した方だと思うわ」
去年の奮闘のおかげで今年は日本もマークされている。
恥ずかしい戦いはできないとカエデは思う。
「中でも警戒すべき相手は?」
「やっぱり中国かしらね。中国のワン・メイリン。彼女は去年の時点でもベスト16に残るほどに強かったわ。あれから一年……個人戦はもちろん、団体戦も勝ち抜き戦だから辛いかもしれないわね」
カエデはため息をつく。
回帰前の世界でも名前が知られていたメイリンはもうすでに頭角を現している。
「……時々メイリンと目が合う気がするんだよな」
トモナリはそのメイリンと時折目が合うような気がしていた。
ヒカリを見ているのかなと思っていたのだが、どうにもヒカリではなく自分のことを見ているような気がしてならないのだ。
まず行われるのは国別対抗団体戦である。
七名を選出し、その内五名が戦う。
勝ち抜き戦で、大将が敗れた方の国が負けとなる。
交流だったり普段見ないような人の実力を見たりすることが目的ではあるが、国別などといわれたら自国の国の威信を背負うことになってしまう。
個人のプライド、あるいは国としてのプライドをかけた戦いとなるのである。
「こんなものあるんだな」
団体戦のメンバーは十六歳が二人から三人、十七歳が四人から五人で選ばねばならない。
日本のチームは十七歳は二年生のアカデミーの課外活動部から四人、アカデミー以外の参加者が一人選ばれた。
さらに十六歳はアカデミー以外から一人、そしてアカデミーからはトモナリが選ばれたのだった。
一年生の中で一番レベルが高いのだからトモナリが選ばれるのは順当であり、他のみんなから文句もなかった。
団体戦参加者には腕輪が配られた。
大きくてゴツい腕輪には青い魔石がはめ込まれている。
腕輪は人工的に開発されたアーティファクトであった。
「飛行機とかに積まれている防御アーティファクトの簡易版ね」
いかに覚醒者といっても本気で戦って怪我は避けられない。
ある程度のところで止める必要がある。
そのために用いられるのが配られた腕輪のアーティファクトだ。
魔石の魔力を使って体を保護するバリアを展開してくれる。
航空機などはモンスターに襲撃されても安全に航行できるよう、防御用アーティファクトを搭載している。
そうしたアーティファクトを小さくしたもので、一定以上のダメージを受けてバリアが消えてしまうと試合終了となる。
「この形、納得いかないのだ……」
トモナリやアルケスが参加することを考慮してなのか、魔獣用のアーティファクトは用意されていた。
ただ装着場所に問題があった。
人用は腕輪になっているのだけど、ヒカリ用は首輪になってしまっている。
アーティファクトを小さくするのも簡単ではない。
腕輪以上に小さくすることは現段階で出来なくて、ヒカリは首にアーティファクトをつけるしかなかった。
「可愛いぞ」
「むぅ〜! トモナリがそういうなら……」
ヒカリはペット扱いを嫌う。
あくまでもトモナリとは対等な関係であるとヒカリは考えている。
首輪ではなんだかペットみたいだと不満なのだ。
トモナリがヒカリの不満を汲んで頭を撫でてやると仕方なく受け入れる。
アーティファクトがないからとトモナリの隣にいられないのなら、首輪ぐらい我慢する。
「初戦の相手はイギリスか」
今回集められた国は二十ヶ国に及ぶ。
団体戦はトーナメント方式で、もうくじ引きによって相手は決まっている。
日本の初戦の相手はイギリスであった。
「注目は前回の団体戦準優勝の中国、優勝のカナダ、それに今回開催国であるアメリカもやる気に燃えてるわね」
去年のデータも参考にして強敵を考える。
覚醒者の教育にはどこの国も力を入れているが、覚醒者教育の歴史はまだ浅い。
どうやって教育していくのか、それぞれのアカデミーに任されているところが大きくてバラツキは出てしまう。
国の経済状況や覚醒者の数など、その他の要因にも大きく覚醒者教育は影響される。
中国やアメリカは覚醒者教育を始めた時期も早く、覚醒者強国である。
「前回優勝って中国じゃなかったのか?」
前にテルがそんな話をしていたとユウトは首を傾げる。
確か中国が優勝したと言っていた。
「そっちは個人戦の方だな。団体戦は準優勝……それでも高順位だけどね」
カエデがユウトの疑問に答えてくれる。
テルが言っていた優勝したというのは、団体戦の後に行われる個人戦においての話だ。
個人戦ではフウカが決勝まで勝ち上がって中国の覚醒者に敗北した。
ただ中国の覚醒者は他にも勝ち上がってきていて、決勝に上がる前にフウカの体力はかなり削られた状態であったことは否めない。
だからフウカは負けたつもりはないと口にしていて、珍しく感情をあらわにするほどであった。
「そうなんですか。日本はどうだったんですか?」
「日本は三位だった」
前回の交流戦ではフウカやテルの奮闘もあって準決勝まで勝ち上がった。
しかし準決勝で立ちはだかったのが団体戦優勝国のカナダであった。
日本は準決勝で負けて、三位決定戦でアメリカに勝って三位となったのである。
「じゃあ団体戦三位で、個人戦も準優勝だったんだね」
意外とすごいじゃないかとミズキは思った。
「そうね。かなり善戦した方だと思うわ」
去年の奮闘のおかげで今年は日本もマークされている。
恥ずかしい戦いはできないとカエデは思う。
「中でも警戒すべき相手は?」
「やっぱり中国かしらね。中国のワン・メイリン。彼女は去年の時点でもベスト16に残るほどに強かったわ。あれから一年……個人戦はもちろん、団体戦も勝ち抜き戦だから辛いかもしれないわね」
カエデはため息をつく。
回帰前の世界でも名前が知られていたメイリンはもうすでに頭角を現している。
「……時々メイリンと目が合う気がするんだよな」
トモナリはそのメイリンと時折目が合うような気がしていた。
ヒカリを見ているのかなと思っていたのだが、どうにもヒカリではなく自分のことを見ているような気がしてならないのだ。

