ゲートが現れるなんて事故はあったものの、トモナリたちにおいては特に問題もなかった。
トモナリたちの判断は正しかったとマサヨシも言ってくれ、怒られることもなかった。
マサヨシに良いステーキハウスになんかに連れていってもらって、少しはアメリカを楽しんだ。
「なんか……アメリカの大学って感じだな」
そしてトモナリたちは交流戦の舞台となるルドンアカデミーにやってきた。
比較的町に近いところにあるルドンアカデミーはかなり近代的である。
鬼頭アカデミーはあくまでも学校、高校という雰囲気があるのに対して、ルドンアカデミーは広いキャンパスにオシャレな建物と開放的な作りになっている。
「すっげぇ……」
「おっしゃれぇ……」
鬼頭アカデミーとの違いにみんな驚いている。
学生寮もあるが町に近いので通うこともでき、歩いている学生もなんだか進んでいるように見えてしまう。
「隣の芝は青いってか」
トモナリもルドンアカデミーの作りはすごいなと思う。
けれどもかなり広い土地の中にアカデミーは作られているので移動とか少し大変だ。
鬼頭アカデミーも狭くはないがルドンアカデミーと比べると差はある。
だがその分鬼頭アカデミーの方が移動なんかも楽である。
何が良いかは人それぞれであるが、トモナリは利用のしやすさもあって鬼頭アカデミーの方が好きだった。
「お待ちしておりました。私、日本の皆様を案内させていただきます、サランへと申します」
「よろしくお願いします」
ルドンアカデミー側の案内人が来た。
茶髪の可愛らしい女性だが、腰に剣を差していることから覚醒者だろうと分かる。
「とても日本語がお上手ですね」
サラリと流暢な日本語を話したことに驚きつつもカエデが対応する。
「私は日本が好きなので。日本の方の担当ができて嬉しいです」
サランへはニコリと笑顔を浮かべる。
「行きましょう。他の国の方も集まってます」
サランへの案内でルドンアカデミーの敷地を移動する。
着いたのは広い講堂であった。
講堂にはもうすでに他の国の人たちが集まっている。
「こないだの奴らなのだ」
色々な国の人がいる。
その中で先日町中で現れたゲートを攻略した中国人の覚醒者たちもいた。
早めにホテルは出たのだが、渋滞に巻き込まれて時間としてはギリギリになってしまった。
そのためトモナリたちの到着は後の方になっている。
「席はあちらの方です」
トモナリたちは講堂の右後ろの方に固まって座る。
ちょうど前の方に中国の覚醒者がいる席であった。
「もう始まりますね。私は失礼します」
壇上に男性が一人、上がってきた。
顔に複数の傷がある白髪の男性で、離れていてもトモナリは威圧感を感じていた。
「あれがトーマス・ルドン……」
壇上に上がった男性がルドンアカデミーの創設者であるトーマス・ルドンであった。
世界的にも有名な覚醒者で、アカデミーを作った今でも覚醒者としての活動を続けている。
年齢的には高めなので世界が崩壊する時にはもうトーマスは第一線にはいなかった。
けれど今はまだまだ戦えそうだと、パツパツになったシャツを見ながらトモナリは思った。
「‘今日は集まってくれて感謝する’」
落ち着いているがしっかりとした渋みのある声がスピーカーから聞こえてくる。
「‘他国の覚醒者と交流し、見聞を広めることで経験に繋げてほしい。そして……今誰が一番強いか、それを決めようではないか’」
覚醒者として力を手に入れれば誰しもが一度は思うことがある。
誰が一番強いのか。
あるいは自分が一番強いのではないか、なんて思うのだ。
交流戦は交流も目的であるが、同じ年代の人で誰が一番強いのかという覚醒者の疑問にも答える場であった。
「‘交流戦のスケジュールを説明する’」
トーマスの後ろにパッと映像が映し出される。
交流戦は国別の団体戦と国も何も関係ない個人戦がある。
団体戦のルールなどが映し出された映像を元にして説明されていく。
「トモナリ」
「なんだ?」
真面目に聞いていたトモナリの頬をヒカリがつついた。
ヒカリはトモナリに抱えられて大人しくしていたが、そろそろ暇になってきたかなとトモナリはヒカリを見る。
「あいつずっと見てくるのだ」
「あいつ?」
ヒカリが指差す方を見る。
前の方の席には中国の覚醒者が座っていて、その中でメイリンがトモナリのことを見ていた。
普通に目があってしまった。
「……なんだ?」
目が合うとメイリンは軽く微笑みを浮かべて手を振る。
ヒカリも手を振り替えていたのだけど、メイリンの隣の子がちゃんと話を聞いていないことに気づいてメイリンを前に向かせる。
ヒカリを見ていたのだろうか、とトモナリは思った。
講堂にいる覚醒者の中にはヒカリのことをチラチラと見ている人が多い。
好意的な視線もあるけれど、モンスターを見る目でヒカリのことを見ている人もいる。
女の子だしヒカリの可愛さに惹かれてもしょうがないとはトモナリは思う。
しかしトモナリが目を向けた時、メイリンはトモナリのことを見ていたような気がした。
トモナリたちの判断は正しかったとマサヨシも言ってくれ、怒られることもなかった。
マサヨシに良いステーキハウスになんかに連れていってもらって、少しはアメリカを楽しんだ。
「なんか……アメリカの大学って感じだな」
そしてトモナリたちは交流戦の舞台となるルドンアカデミーにやってきた。
比較的町に近いところにあるルドンアカデミーはかなり近代的である。
鬼頭アカデミーはあくまでも学校、高校という雰囲気があるのに対して、ルドンアカデミーは広いキャンパスにオシャレな建物と開放的な作りになっている。
「すっげぇ……」
「おっしゃれぇ……」
鬼頭アカデミーとの違いにみんな驚いている。
学生寮もあるが町に近いので通うこともでき、歩いている学生もなんだか進んでいるように見えてしまう。
「隣の芝は青いってか」
トモナリもルドンアカデミーの作りはすごいなと思う。
けれどもかなり広い土地の中にアカデミーは作られているので移動とか少し大変だ。
鬼頭アカデミーも狭くはないがルドンアカデミーと比べると差はある。
だがその分鬼頭アカデミーの方が移動なんかも楽である。
何が良いかは人それぞれであるが、トモナリは利用のしやすさもあって鬼頭アカデミーの方が好きだった。
「お待ちしておりました。私、日本の皆様を案内させていただきます、サランへと申します」
「よろしくお願いします」
ルドンアカデミー側の案内人が来た。
茶髪の可愛らしい女性だが、腰に剣を差していることから覚醒者だろうと分かる。
「とても日本語がお上手ですね」
サラリと流暢な日本語を話したことに驚きつつもカエデが対応する。
「私は日本が好きなので。日本の方の担当ができて嬉しいです」
サランへはニコリと笑顔を浮かべる。
「行きましょう。他の国の方も集まってます」
サランへの案内でルドンアカデミーの敷地を移動する。
着いたのは広い講堂であった。
講堂にはもうすでに他の国の人たちが集まっている。
「こないだの奴らなのだ」
色々な国の人がいる。
その中で先日町中で現れたゲートを攻略した中国人の覚醒者たちもいた。
早めにホテルは出たのだが、渋滞に巻き込まれて時間としてはギリギリになってしまった。
そのためトモナリたちの到着は後の方になっている。
「席はあちらの方です」
トモナリたちは講堂の右後ろの方に固まって座る。
ちょうど前の方に中国の覚醒者がいる席であった。
「もう始まりますね。私は失礼します」
壇上に男性が一人、上がってきた。
顔に複数の傷がある白髪の男性で、離れていてもトモナリは威圧感を感じていた。
「あれがトーマス・ルドン……」
壇上に上がった男性がルドンアカデミーの創設者であるトーマス・ルドンであった。
世界的にも有名な覚醒者で、アカデミーを作った今でも覚醒者としての活動を続けている。
年齢的には高めなので世界が崩壊する時にはもうトーマスは第一線にはいなかった。
けれど今はまだまだ戦えそうだと、パツパツになったシャツを見ながらトモナリは思った。
「‘今日は集まってくれて感謝する’」
落ち着いているがしっかりとした渋みのある声がスピーカーから聞こえてくる。
「‘他国の覚醒者と交流し、見聞を広めることで経験に繋げてほしい。そして……今誰が一番強いか、それを決めようではないか’」
覚醒者として力を手に入れれば誰しもが一度は思うことがある。
誰が一番強いのか。
あるいは自分が一番強いのではないか、なんて思うのだ。
交流戦は交流も目的であるが、同じ年代の人で誰が一番強いのかという覚醒者の疑問にも答える場であった。
「‘交流戦のスケジュールを説明する’」
トーマスの後ろにパッと映像が映し出される。
交流戦は国別の団体戦と国も何も関係ない個人戦がある。
団体戦のルールなどが映し出された映像を元にして説明されていく。
「トモナリ」
「なんだ?」
真面目に聞いていたトモナリの頬をヒカリがつついた。
ヒカリはトモナリに抱えられて大人しくしていたが、そろそろ暇になってきたかなとトモナリはヒカリを見る。
「あいつずっと見てくるのだ」
「あいつ?」
ヒカリが指差す方を見る。
前の方の席には中国の覚醒者が座っていて、その中でメイリンがトモナリのことを見ていた。
普通に目があってしまった。
「……なんだ?」
目が合うとメイリンは軽く微笑みを浮かべて手を振る。
ヒカリも手を振り替えていたのだけど、メイリンの隣の子がちゃんと話を聞いていないことに気づいてメイリンを前に向かせる。
ヒカリを見ていたのだろうか、とトモナリは思った。
講堂にいる覚醒者の中にはヒカリのことをチラチラと見ている人が多い。
好意的な視線もあるけれど、モンスターを見る目でヒカリのことを見ている人もいる。
女の子だしヒカリの可愛さに惹かれてもしょうがないとはトモナリは思う。
しかしトモナリが目を向けた時、メイリンはトモナリのことを見ていたような気がした。

