研修のサポートから戻ってきたトモナリは勉強に励んでいた。
勉強なんて余裕だろうと思っていたのだけど、意外と忘れていることも多い。
やれば思い出せるので授業を受けてしっかりと思い出しておく。
他にも覚醒者の学校らしくモンスターやゲートの勉強もある。
成績優秀者にはご褒美もあってみんなのモチベーションも高いので、回帰というアドバンテージにあぐらをかいてもいられない。
ただ勉強だけじゃなく、いつものみんなでトレーニングもしている。
加えてトモナリは情報収集も欠かさなかった。
アカデミーにいると世の中の情報に疎くなってしまいがちなので、積極的にニュースなんかを見て世の中の動きを把握する。
ネットの匿名掲示板なども時に覗く。
そうして得た情報を元にして、思い出したゲートの事故があれば覚醒者協会に未来視と称して情報をメールで送った。
おかげでいくつかのゲートで起きたはずの覚醒者の全滅も防ぐことができた。
未来視が元になっているということは伏せられているために、残念ながら防げなかったものもあるがおおむね順調である。
回帰前の知識を元に参加したかった試練ゲートもあったけれど、アカデミーから参加する方法がなくて諦めた。
「後のことは頼んだよ、新部長」
「お任せください」
いつの間にか季節は冬になり、短い冬休みもあっという間に過ぎ去った。
冬休みに家に帰っていた三年生も冬休みを終えて、研修の報告などのためにアカデミーにも帰ってきていた。
三年生はまた他のギルドに向かう。
本格的にどこのギルドに行くのか決める時期で、またすぐにいなくなってしまう。
しかし、いなくなる前にやらねばならないことがある。
課外活動部の部長引き継ぎだ。
卒業後に覚醒者として活動する三年生はこのままギリギリまで帰ってこないので、新しい部長へ課外活動部を引き継ぐのである。
新しい部長はカエデであった。
覚醒者の能力的にも高く、人柄や部長としてやっていく能力もある。
誰の文句もない人選だとトモナリも納得だ。
「みんなもフクロウ君を補助して怪我なく課外活動部の活動を続けてくれ」
テルが部長として最後の挨拶を終え、みんなが拍手する。
「これから春休みにかけて交流戦がある」
「交流戦?」
「ああ、毎年この時期になると世界の覚醒者教育機関同士の交流を目的として交流戦というものが開催されるんだ。去年の主催国は確か……イタリアだったかな?」
覚醒者を育成する場所は日本の鬼頭アカデミーだけではない。
世界各国に同じような覚醒者教育機関が存在している。
同じ覚醒者教育機関の中だけでは視野も狭くなるし、多くの人と戦うことは良い経験になる上に刺激にもなる。
さらに優秀な覚醒者は国を越えてもほしいものである。
色々な思惑が絡み合って各国の覚醒者教育機関の学生覚醒者の交流を目的として、交流戦というものが毎年開催されているのだ。
日本では鬼頭アカデミーが交流戦に出場している。
「今年の主催国はアメリカだよ。アメリカには三つアカデミーがあるんだけど、その中で東海岸にあるルドンアカデミーが会場になるはずだ」
三年生は卒業して活動を開始するために交流戦には参加しない。
そのために交流戦は二年生と一年生が参加することになる。
「去年はどうだったんですか?」
「去年は中国が優勝したよ。ヤナギが善戦したんだけどね。連戦で疲れていたのか……そんな目で見ないでくれよ」
フウカがテルのことをじっと見ていた。
珍しく少し怒ったような感じがある。
「負けたと思ってない」
「僕にそれを言われてもね……結果としてあのおかげでヤナギもやる気を出してくれたから良かったとは思うけど……」
「何かあったんですね」
「そうなんだ。細かくはヤナギがいないところで聞いてくれ」
テルは困ったように肩をすくめた。
「ともかくこれから課外活動部は新体制になり、最初の活動が交流戦だ。良い経験になると思うから気負わずに参加してよ」
ーーーーー
「ジュース、たくさんもらっちゃったのだ」
「よかったな」
なんとか期末試験を乗り越えて、トモナリたちは飛行機でアメリカを訪れた。
ちょこんと席に座るヒカリが物珍しいのか、キャビンアテンダントのお姉さんたちが色々とヒカリの世話を焼いてくれた。
「でももうトモナリも飛べるから自分で行けばいいのだ」
「何時間もスキル維持して飛ぶのは無理だよ」
多少の距離ならドラゴンズコネクトで翼を生やして移動できる。
けれども流石に海を越えて国を移動するのは体力的にも魔力的にも持たない。
何もしなくていい飛行機の方が今のところ楽である。
「トモナリ、あっちだってよ」
「ヒカリ、いくぞ」
「ふーい」
アメリカには交流戦が目的で来ている。
課外活動部の生徒だけでなく、特進クラスでも有望そうな子が何人か来ていた。
さらに日本国内でもアカデミーには所属していないが、学生年齢でもすでに覚醒者として活動している子もいて、そうした子にも声をかけていた。
だから意外と大所帯になっている。
勉強なんて余裕だろうと思っていたのだけど、意外と忘れていることも多い。
やれば思い出せるので授業を受けてしっかりと思い出しておく。
他にも覚醒者の学校らしくモンスターやゲートの勉強もある。
成績優秀者にはご褒美もあってみんなのモチベーションも高いので、回帰というアドバンテージにあぐらをかいてもいられない。
ただ勉強だけじゃなく、いつものみんなでトレーニングもしている。
加えてトモナリは情報収集も欠かさなかった。
アカデミーにいると世の中の情報に疎くなってしまいがちなので、積極的にニュースなんかを見て世の中の動きを把握する。
ネットの匿名掲示板なども時に覗く。
そうして得た情報を元にして、思い出したゲートの事故があれば覚醒者協会に未来視と称して情報をメールで送った。
おかげでいくつかのゲートで起きたはずの覚醒者の全滅も防ぐことができた。
未来視が元になっているということは伏せられているために、残念ながら防げなかったものもあるがおおむね順調である。
回帰前の知識を元に参加したかった試練ゲートもあったけれど、アカデミーから参加する方法がなくて諦めた。
「後のことは頼んだよ、新部長」
「お任せください」
いつの間にか季節は冬になり、短い冬休みもあっという間に過ぎ去った。
冬休みに家に帰っていた三年生も冬休みを終えて、研修の報告などのためにアカデミーにも帰ってきていた。
三年生はまた他のギルドに向かう。
本格的にどこのギルドに行くのか決める時期で、またすぐにいなくなってしまう。
しかし、いなくなる前にやらねばならないことがある。
課外活動部の部長引き継ぎだ。
卒業後に覚醒者として活動する三年生はこのままギリギリまで帰ってこないので、新しい部長へ課外活動部を引き継ぐのである。
新しい部長はカエデであった。
覚醒者の能力的にも高く、人柄や部長としてやっていく能力もある。
誰の文句もない人選だとトモナリも納得だ。
「みんなもフクロウ君を補助して怪我なく課外活動部の活動を続けてくれ」
テルが部長として最後の挨拶を終え、みんなが拍手する。
「これから春休みにかけて交流戦がある」
「交流戦?」
「ああ、毎年この時期になると世界の覚醒者教育機関同士の交流を目的として交流戦というものが開催されるんだ。去年の主催国は確か……イタリアだったかな?」
覚醒者を育成する場所は日本の鬼頭アカデミーだけではない。
世界各国に同じような覚醒者教育機関が存在している。
同じ覚醒者教育機関の中だけでは視野も狭くなるし、多くの人と戦うことは良い経験になる上に刺激にもなる。
さらに優秀な覚醒者は国を越えてもほしいものである。
色々な思惑が絡み合って各国の覚醒者教育機関の学生覚醒者の交流を目的として、交流戦というものが毎年開催されているのだ。
日本では鬼頭アカデミーが交流戦に出場している。
「今年の主催国はアメリカだよ。アメリカには三つアカデミーがあるんだけど、その中で東海岸にあるルドンアカデミーが会場になるはずだ」
三年生は卒業して活動を開始するために交流戦には参加しない。
そのために交流戦は二年生と一年生が参加することになる。
「去年はどうだったんですか?」
「去年は中国が優勝したよ。ヤナギが善戦したんだけどね。連戦で疲れていたのか……そんな目で見ないでくれよ」
フウカがテルのことをじっと見ていた。
珍しく少し怒ったような感じがある。
「負けたと思ってない」
「僕にそれを言われてもね……結果としてあのおかげでヤナギもやる気を出してくれたから良かったとは思うけど……」
「何かあったんですね」
「そうなんだ。細かくはヤナギがいないところで聞いてくれ」
テルは困ったように肩をすくめた。
「ともかくこれから課外活動部は新体制になり、最初の活動が交流戦だ。良い経験になると思うから気負わずに参加してよ」
ーーーーー
「ジュース、たくさんもらっちゃったのだ」
「よかったな」
なんとか期末試験を乗り越えて、トモナリたちは飛行機でアメリカを訪れた。
ちょこんと席に座るヒカリが物珍しいのか、キャビンアテンダントのお姉さんたちが色々とヒカリの世話を焼いてくれた。
「でももうトモナリも飛べるから自分で行けばいいのだ」
「何時間もスキル維持して飛ぶのは無理だよ」
多少の距離ならドラゴンズコネクトで翼を生やして移動できる。
けれども流石に海を越えて国を移動するのは体力的にも魔力的にも持たない。
何もしなくていい飛行機の方が今のところ楽である。
「トモナリ、あっちだってよ」
「ヒカリ、いくぞ」
「ふーい」
アメリカには交流戦が目的で来ている。
課外活動部の生徒だけでなく、特進クラスでも有望そうな子が何人か来ていた。
さらに日本国内でもアカデミーには所属していないが、学生年齢でもすでに覚醒者として活動している子もいて、そうした子にも声をかけていた。
だから意外と大所帯になっている。

