「ドラゴンの力が強化される……それなら」
トモナリはチラリと手に持ったルビウスを見た。
ヒカリと魂で繋がっているトモナリにも恩恵があるのだ。
もし自分の身がよりドラゴンに近くなったら、と思った。
「ルビウス、いくぞ」
『ふっふっふっふっ……アレをするのだな? お主と一つになれるのは悪くない』
「むむ!」
ルビウスの声が聞こえているヒカリはちょっとだけ険しい顔をする。
「ドラゴンズコネクト」
トモナリはスキルであるドラゴンズコネクトを発動させた。
ルビウスが赤い光の塊に変わっていく。
トモナリの手を離れて、一度フワリと浮き上がって胸に吸い込まれる。
「あっ……」
全身が燃えるような熱さを感じ始めた。
失敗したとトモナリが思ったけれど、時すでに遅し。
背中にむず痒さを感じ、翼が生えてきて服を突き破る。
こうなることが分かっていたのだから服を脱いでおけばよかったと反省する。
「くっ……うぅ!」
ウロコやツノが生え、髪はうっすら赤くなり、瞳はヒカリと同じく黄金色に染まったトモナリを見てヒカリが悶絶する。
「どうしてみんなが僕を見るのか分かったのだ……」
「ほんとこの姿、好きだよな」
「普段のトモナリも好きだけど、その姿は芸術なのだぁ」
ヒカリはうっとりとした顔をしている。
ドラゴンに近い姿になったからだろうか、ヒカリはドラゴンズコネクト・ルビウスバージョンの見た目がかなりお気に入りである。
「こりゃすごいな……」
ドラゴンズコネクトで得られる力は強い。
本当に竜になったような気分にもなるのだが、今はそんなもの比較にならないぐらいに力が溢れている。
「敵性指名対象種族が少ないからか?」
メガサウルスのスキルはイマイチ分からないようなところもある。
しかしデバフをかける敵が多いほど効果が弱くなるという内容にも読める。
逆に言えば敵が少ないほどに効果は高くなるとも読み取れるだろう。
トモナリからしてみれば敵性と呼べる相手はメガサウルスしかいない。
バフの効果が最大限に発揮されているのだ。
『非常に気分が良いのう。これは竜種に伝わる真言の結界術の応用じゃな』
トモナリと一つになったルビウスもご機嫌だった。
ドラゴンズコネクトを使うと、ちんまい竜の姿ではなく人の体を得られたような気分になる。
今は力も溢れてくるのだからより気分が良い。
「今ならいける……!」
これだけ力が溢れているのなら戦える。
「ん? おっと?」
跳び上がろうとしたトモナリは足が地面から離れなくて転びかける。
「なんだこれ?」
『大地の束縛とかいうやつのせいだろうな』
一つになっているのでトモナリの視界はルビウスも共有している。
トモナリの目で見えている表示はルビウスにも見えていた。
『アドシュタイトが大地の束縛を発動させました!
行動を制限します。』
「これか」
ドラゴンズコネクトで得られた力に気を取られてもう一個の表示をつい忘れていた。
「行動の制限か……」
今何かの行動が制限されたことはトモナリにも分かった。
「歩ける……」
こういう時は冷静に状況を確かめるに限る。
幸いなことに、小部屋の入り口にいるトモナリはメガサウルスの意識から外れている。
何に制限がかけられているのか確かめる余裕はあった。
行動制限がかけられているけれど、歩いて移動はできる。
戦っているみんなを見ても移動そのものを制限されている様子はない。
ならば何を制限されているのか。
「……飛び上がれないな」
回帰前にもこうしたデバフの経験はある。
軽く跳び上がろうとしたトモナリは地面から足が離れなくなることに気づいた。
『跳躍制限か。いかにもアースドラゴンらしいな』
頭の中でルビウスがため息をつく声が聞こえてくる。
「でもヒカリは飛んでいられるんだな」
バフはヒカリにも影響を与えている。
それなら大地の束縛というスキルもヒカリに影響を与えていてもおかしくない。
なのにヒカリは普通に飛び回っている。
「……飛行は含まれないのか?」
どうだ! と言わんばかりにヒカリがトモナリの周りを飛び回る。
トモナリは跳ぶのではなく飛ぶことならできるのではないかと考えた。
歩く走るができるなら足が地面から離れることは制限されていない。
一定の高さ以上になりそうな跳躍を封じているのなら、飛行のように少しずつ地面から足が離れる行為は制限されない可能性がある。
「やってみるか」
トモナリは飛び上がらないように気をつけながら翼を動かす。
ドラゴンズコネクトでの体の変化については少しずつ練習していた。
翼があるなら飛べるだろうと思っていたので、翼を使った飛行の練習もしていたのである。
「……これは大丈夫だな」
足が地面から離れる。
そして小部屋の入り口と同じ高さまで飛ぶことができた。
「よし! やるぞ、ヒカリ!」
「うむ! 任せるのだ!」
本当は壁を蹴って勢いをつけたいが、それも跳躍と見なされる面倒だ。
トモナリは翼を動かして天井近くまで上がる。
「ゴー!」
「ゴー、なのだ!」
トモナリとヒカリは一気にメガサウルスに向かっていく。
トモナリはチラリと手に持ったルビウスを見た。
ヒカリと魂で繋がっているトモナリにも恩恵があるのだ。
もし自分の身がよりドラゴンに近くなったら、と思った。
「ルビウス、いくぞ」
『ふっふっふっふっ……アレをするのだな? お主と一つになれるのは悪くない』
「むむ!」
ルビウスの声が聞こえているヒカリはちょっとだけ険しい顔をする。
「ドラゴンズコネクト」
トモナリはスキルであるドラゴンズコネクトを発動させた。
ルビウスが赤い光の塊に変わっていく。
トモナリの手を離れて、一度フワリと浮き上がって胸に吸い込まれる。
「あっ……」
全身が燃えるような熱さを感じ始めた。
失敗したとトモナリが思ったけれど、時すでに遅し。
背中にむず痒さを感じ、翼が生えてきて服を突き破る。
こうなることが分かっていたのだから服を脱いでおけばよかったと反省する。
「くっ……うぅ!」
ウロコやツノが生え、髪はうっすら赤くなり、瞳はヒカリと同じく黄金色に染まったトモナリを見てヒカリが悶絶する。
「どうしてみんなが僕を見るのか分かったのだ……」
「ほんとこの姿、好きだよな」
「普段のトモナリも好きだけど、その姿は芸術なのだぁ」
ヒカリはうっとりとした顔をしている。
ドラゴンに近い姿になったからだろうか、ヒカリはドラゴンズコネクト・ルビウスバージョンの見た目がかなりお気に入りである。
「こりゃすごいな……」
ドラゴンズコネクトで得られる力は強い。
本当に竜になったような気分にもなるのだが、今はそんなもの比較にならないぐらいに力が溢れている。
「敵性指名対象種族が少ないからか?」
メガサウルスのスキルはイマイチ分からないようなところもある。
しかしデバフをかける敵が多いほど効果が弱くなるという内容にも読める。
逆に言えば敵が少ないほどに効果は高くなるとも読み取れるだろう。
トモナリからしてみれば敵性と呼べる相手はメガサウルスしかいない。
バフの効果が最大限に発揮されているのだ。
『非常に気分が良いのう。これは竜種に伝わる真言の結界術の応用じゃな』
トモナリと一つになったルビウスもご機嫌だった。
ドラゴンズコネクトを使うと、ちんまい竜の姿ではなく人の体を得られたような気分になる。
今は力も溢れてくるのだからより気分が良い。
「今ならいける……!」
これだけ力が溢れているのなら戦える。
「ん? おっと?」
跳び上がろうとしたトモナリは足が地面から離れなくて転びかける。
「なんだこれ?」
『大地の束縛とかいうやつのせいだろうな』
一つになっているのでトモナリの視界はルビウスも共有している。
トモナリの目で見えている表示はルビウスにも見えていた。
『アドシュタイトが大地の束縛を発動させました!
行動を制限します。』
「これか」
ドラゴンズコネクトで得られた力に気を取られてもう一個の表示をつい忘れていた。
「行動の制限か……」
今何かの行動が制限されたことはトモナリにも分かった。
「歩ける……」
こういう時は冷静に状況を確かめるに限る。
幸いなことに、小部屋の入り口にいるトモナリはメガサウルスの意識から外れている。
何に制限がかけられているのか確かめる余裕はあった。
行動制限がかけられているけれど、歩いて移動はできる。
戦っているみんなを見ても移動そのものを制限されている様子はない。
ならば何を制限されているのか。
「……飛び上がれないな」
回帰前にもこうしたデバフの経験はある。
軽く跳び上がろうとしたトモナリは地面から足が離れなくなることに気づいた。
『跳躍制限か。いかにもアースドラゴンらしいな』
頭の中でルビウスがため息をつく声が聞こえてくる。
「でもヒカリは飛んでいられるんだな」
バフはヒカリにも影響を与えている。
それなら大地の束縛というスキルもヒカリに影響を与えていてもおかしくない。
なのにヒカリは普通に飛び回っている。
「……飛行は含まれないのか?」
どうだ! と言わんばかりにヒカリがトモナリの周りを飛び回る。
トモナリは跳ぶのではなく飛ぶことならできるのではないかと考えた。
歩く走るができるなら足が地面から離れることは制限されていない。
一定の高さ以上になりそうな跳躍を封じているのなら、飛行のように少しずつ地面から足が離れる行為は制限されない可能性がある。
「やってみるか」
トモナリは飛び上がらないように気をつけながら翼を動かす。
ドラゴンズコネクトでの体の変化については少しずつ練習していた。
翼があるなら飛べるだろうと思っていたので、翼を使った飛行の練習もしていたのである。
「……これは大丈夫だな」
足が地面から離れる。
そして小部屋の入り口と同じ高さまで飛ぶことができた。
「よし! やるぞ、ヒカリ!」
「うむ! 任せるのだ!」
本当は壁を蹴って勢いをつけたいが、それも跳躍と見なされる面倒だ。
トモナリは翼を動かして天井近くまで上がる。
「ゴー!」
「ゴー、なのだ!」
トモナリとヒカリは一気にメガサウルスに向かっていく。

