「これは一体……」
「大きいね。さっき戦ったのが子供みたいだ」
二人ともメガサウルスを見て驚いている。
「我が名はアドシュタイト・ジャルヌン・エドマイデルン!お主の名を聞かせてほしい!」
「俺は……トモナリ。アイゼントモナリ」
「トモナリか……」
「……君は何と話してるんだい?」
「えっ?」
メガサウルスを見上げながら名前をつぶやいたトモナリのことを、ミヤノが不思議そうな顔で見ていた。
「えっ、だって……」
「まさかあのモンスターの声が?」
普通に言葉と聞こえている。
だから普通に答えていた。
しかしイヌサワとミヤノにはメガサウルスがけたたましく咆哮しているようにしか聞こえていなかったのである。
「僕はヒカリなのだ!」
「ヒカリ……か。我が名はもはや誰も覚えていない。お主らが覚えておいてほしい」
メガサウルスの声が聞こえていることにトモナリが動揺している間にも、メガサウルスを拘束している鎖はちぎれていく。
「そうか……あんたの声は…………俺にしか、届いてないんだ」
「三人とも無事か!」
イガラシを始めとしたイガラシギルドのメンバーもようやく駆けつけた。
「もはや名誉の死など求めない! だが我が求めるのは自由! 頼むぞ、トモナリ、ヒカリ!」
最後の鎖が引きちぎれ、その言葉を最後にメガサウルスの声はただの咆哮になった。
「来るぞ!」
戦いが始まった。
「広がれ! あのデカさだ、防御より回避で対応しろ!」
「トモナリ君、君は……」
「やらなきゃいけないことがあるんです」
「……そうか」
イヌサワはトモナリに撤退を促そうとしたが、トモナリにはやるべきことがある。
真剣な目をする男には何かがあるとイヌサワは小さく頷く。
「何をするつもりだい?」
「向こうに……」
「おっと! 大丈夫?」
巨大な岩が飛んできてイヌサワが剣で切り裂いた。
メガサウルスは自身の体だけでなく魔法も使って戦っていた。
大きな岩の塊がいくつもメガサウルスの周りに浮かんでいてイガラシたちに飛んでいっている。
そのうちの一つがトモナリたちの方に飛んできたようだ。
「向こう側に行きたいんだね?」
「は、はい!」
イヌサワは素早く周りを見て状況を把握する。
「みんな! トモナリ君に何か考えがあるようだ! 少しモンスターを引きつけてくれ!」
「そろそろ様子見は終わりだな。こちらからも攻撃だ!」
イガラシたちはちょうど相手の出方をうかがっているところだった。
攻撃パターンに魔法が増えてはいるが、デカサウルスと基本的な攻撃パターンは変わらない。
魔法への備えをしながらイガラシたちも攻撃し始めた。
「真ん中を突っ切るのは難しいから回り込んでいこうか」
部屋の真ん中にはメガサウルスがいる。
向こう側に行きたいのなら真ん中を突っ切るのが早い。
しかしメガサウルスの近くを通ることはリスクが大きい。
やはり大きく迂回していくのが安全だ。
イガラシたちがトモナリの状況を見てメガサウルスに攻撃を加えて気を引きつける。
トモナリとイヌサワは引きつけるのとは逆側から回り込んでいく。
「イヌサワ、そっちに向いたぞ!」
メガサウルスは壁際を走るトモナリのことを全く気にしていない。
そう思っていたのに急に振り返って岩をトモナリに放った。
「そうはさせないよ」
岩が軌道を軌道を変えてまっすぐ地面に落ちる。
「君のことは僕が守るよ」
岩はイヌサワの重力操作によって叩き落とされたのだ。
メガサウルスは体をねじって尻尾を大きく振りかぶった。
まるでトラックのような太さもある尻尾が迫ってきてトモナリは流石にヤバいと感じた。
「そう心配しなくても大丈夫だよ」
イヌサワはニヤリと笑って撫で上げるように手を動かす。
するとメガサウルスの尻尾の振り下ろされる速度は目に見えて落ちた。
イヌサワの目の前に落ちてくる頃には、イヌサワの人差し指で止められるほどのスピードしか残されていなかったのである。
「うーん、トモナリ君のことを狙ってるのかな?」
無数の岩が空中に浮き上がってイヌサワは目を細めた。
今こちら側にいるのは二人しかいないのに、殺意が高いなと感じる。
「だけど……こっちばっかり見てると痛い目見るよ?」
「僕を無視するとは良い度胸だね」
メガサウルスがトモナリとイヌサワの方を向いているということは、他のみんなはフリーであるということだ。
ミヤノが高く飛び上がって横からメガサウルスの頭に迫る。
ミヤノの黄金色に輝く魔力がほとばしり、メガサウルスの頭を横から剣で突いた。
剣から魔力が放たれて、メガサウルスの巨体がミヤノの攻撃で横に弾き飛ばされる。
「すごい力なのだ……」
ヒカリはミヤノの力に驚いてしまう。
ヒカリがトモナリと協力してもメガサウルスを弾き飛ばすことは難しい。
流石は剣聖と呼ばれる覚醒者の力である。
「くっ……!」
けれどもミヤノとしては納得のいかない一撃だった。
頭を吹き飛ばすぐらいのつもりで放ったのに剣先すら突き刺さることがなかった。
「硬いな……」
倒せなくともダメージぐらいはあるだろう。
そう思ったのにメガサウルスには傷一つない。
メガサウルスは一瞬ミヤノのことを睨みつけたが、岩はそのままトモナリに向かって撃ち出した。
「大きいね。さっき戦ったのが子供みたいだ」
二人ともメガサウルスを見て驚いている。
「我が名はアドシュタイト・ジャルヌン・エドマイデルン!お主の名を聞かせてほしい!」
「俺は……トモナリ。アイゼントモナリ」
「トモナリか……」
「……君は何と話してるんだい?」
「えっ?」
メガサウルスを見上げながら名前をつぶやいたトモナリのことを、ミヤノが不思議そうな顔で見ていた。
「えっ、だって……」
「まさかあのモンスターの声が?」
普通に言葉と聞こえている。
だから普通に答えていた。
しかしイヌサワとミヤノにはメガサウルスがけたたましく咆哮しているようにしか聞こえていなかったのである。
「僕はヒカリなのだ!」
「ヒカリ……か。我が名はもはや誰も覚えていない。お主らが覚えておいてほしい」
メガサウルスの声が聞こえていることにトモナリが動揺している間にも、メガサウルスを拘束している鎖はちぎれていく。
「そうか……あんたの声は…………俺にしか、届いてないんだ」
「三人とも無事か!」
イガラシを始めとしたイガラシギルドのメンバーもようやく駆けつけた。
「もはや名誉の死など求めない! だが我が求めるのは自由! 頼むぞ、トモナリ、ヒカリ!」
最後の鎖が引きちぎれ、その言葉を最後にメガサウルスの声はただの咆哮になった。
「来るぞ!」
戦いが始まった。
「広がれ! あのデカさだ、防御より回避で対応しろ!」
「トモナリ君、君は……」
「やらなきゃいけないことがあるんです」
「……そうか」
イヌサワはトモナリに撤退を促そうとしたが、トモナリにはやるべきことがある。
真剣な目をする男には何かがあるとイヌサワは小さく頷く。
「何をするつもりだい?」
「向こうに……」
「おっと! 大丈夫?」
巨大な岩が飛んできてイヌサワが剣で切り裂いた。
メガサウルスは自身の体だけでなく魔法も使って戦っていた。
大きな岩の塊がいくつもメガサウルスの周りに浮かんでいてイガラシたちに飛んでいっている。
そのうちの一つがトモナリたちの方に飛んできたようだ。
「向こう側に行きたいんだね?」
「は、はい!」
イヌサワは素早く周りを見て状況を把握する。
「みんな! トモナリ君に何か考えがあるようだ! 少しモンスターを引きつけてくれ!」
「そろそろ様子見は終わりだな。こちらからも攻撃だ!」
イガラシたちはちょうど相手の出方をうかがっているところだった。
攻撃パターンに魔法が増えてはいるが、デカサウルスと基本的な攻撃パターンは変わらない。
魔法への備えをしながらイガラシたちも攻撃し始めた。
「真ん中を突っ切るのは難しいから回り込んでいこうか」
部屋の真ん中にはメガサウルスがいる。
向こう側に行きたいのなら真ん中を突っ切るのが早い。
しかしメガサウルスの近くを通ることはリスクが大きい。
やはり大きく迂回していくのが安全だ。
イガラシたちがトモナリの状況を見てメガサウルスに攻撃を加えて気を引きつける。
トモナリとイヌサワは引きつけるのとは逆側から回り込んでいく。
「イヌサワ、そっちに向いたぞ!」
メガサウルスは壁際を走るトモナリのことを全く気にしていない。
そう思っていたのに急に振り返って岩をトモナリに放った。
「そうはさせないよ」
岩が軌道を軌道を変えてまっすぐ地面に落ちる。
「君のことは僕が守るよ」
岩はイヌサワの重力操作によって叩き落とされたのだ。
メガサウルスは体をねじって尻尾を大きく振りかぶった。
まるでトラックのような太さもある尻尾が迫ってきてトモナリは流石にヤバいと感じた。
「そう心配しなくても大丈夫だよ」
イヌサワはニヤリと笑って撫で上げるように手を動かす。
するとメガサウルスの尻尾の振り下ろされる速度は目に見えて落ちた。
イヌサワの目の前に落ちてくる頃には、イヌサワの人差し指で止められるほどのスピードしか残されていなかったのである。
「うーん、トモナリ君のことを狙ってるのかな?」
無数の岩が空中に浮き上がってイヌサワは目を細めた。
今こちら側にいるのは二人しかいないのに、殺意が高いなと感じる。
「だけど……こっちばっかり見てると痛い目見るよ?」
「僕を無視するとは良い度胸だね」
メガサウルスがトモナリとイヌサワの方を向いているということは、他のみんなはフリーであるということだ。
ミヤノが高く飛び上がって横からメガサウルスの頭に迫る。
ミヤノの黄金色に輝く魔力がほとばしり、メガサウルスの頭を横から剣で突いた。
剣から魔力が放たれて、メガサウルスの巨体がミヤノの攻撃で横に弾き飛ばされる。
「すごい力なのだ……」
ヒカリはミヤノの力に驚いてしまう。
ヒカリがトモナリと協力してもメガサウルスを弾き飛ばすことは難しい。
流石は剣聖と呼ばれる覚醒者の力である。
「くっ……!」
けれどもミヤノとしては納得のいかない一撃だった。
頭を吹き飛ばすぐらいのつもりで放ったのに剣先すら突き刺さることがなかった。
「硬いな……」
倒せなくともダメージぐらいはあるだろう。
そう思ったのにメガサウルスには傷一つない。
メガサウルスは一瞬ミヤノのことを睨みつけたが、岩はそのままトモナリに向かって撃ち出した。

