「自爆だと!?」
「マズイ! 時間が……!」
『安全装置が起動します!
グェロケルクトンが自爆します!
0:00:07』
喜びも束の間、いきなり現れた自爆の表示に五十嵐ギルドの面々も動揺を隠せない。
十秒という時間は何も分からないのに、何かを判断するのには短すぎる。
「全員モンスターから離れろ!」
『安全装置が起動します!
グェロケルクトンが自爆します!
0:00:05』
イガラシが指示を出すと、さすがみんなは素早く従って飛び退くようにデカサウルスから距離を取る。
けれども離れただけで自爆から逃れられるのか、ということはみんなが思った。
「だいじょーぶ」
ふっと笑ってイヌサワが手を打ち鳴らした。
次の瞬間トモナリの目には部屋の真ん中で倒れるデカサウルスの姿が歪んで見えた。
「重力の壁」
『安全装置が起動します!
グェロケルクトンが自爆します!
0:00:03』
よく見るとデカサウルスを中心にして円を描くように地面が陥没している。
デカサウルスが歪んで見えるのはイヌサワがそれだけ強い力で重力を操作しているから。
今トモナリたちとデカサウルスの間に重力の壁が存在しているのであった。
『安全装置が起動します!
グェロケルクトンが自爆します!
0:00:00』
「ボン」
デカサウルスの体が裂けるように割れて閃光が走った。
トモナリもヒカリも思わず目を閉じて、ただ聞こえる轟音と振動に無事を祈るしかなかった。
デカサウルスが大爆発を起こして衝撃が広がったけれど、イヌサワが発動させていた重力による壁がその全てを遮断してくれた。
「んー、サングラスかけて正解」
いつの間にかサングラスをかけていたイヌサワは爆発の光景を見ていた。
重力の壁を突破しようとする爆発の威力はかなり強い。
余裕そうな表情を浮かべていたものの意外とギリギリであった。
巻き込まれていたらS級と呼ばれるイヌサワやミヤノでも危ないところだったかもしれない。
「みんな、平気かい?」
爆発が完全に収まったのを確認して重力の壁を消す。
爆発の影響でモワッとした嫌な空気が流れてくる中全員の無事を確認する。
「助かったよ、ユウ」
「一つ貸しかな?」
「ここまで何もしなかったくせに」
「じゃあ貸し借りなしか」
ミヤノもいざという時は動くつもりだった。
爆発を叩き切って被害を減らそうと考えていたがイヌサワのおかげでそんなことしなくてもよくなった。
「にしても大きな穴が……」
『囚われし太古の存在が目を覚ましました!
間も無くゲートの外に出てきます!
残り0:30:00』
『特殊攻略条件:太古の存在を倒せ
失敗:死、太古の存在が解き放たれるまでの時間延長』
「これは……!」
爆発のせいで地面に大きな穴が空いていた。
穴の中は暗くて見通せず、イヌサワが近づいた瞬間に表示が二つ現れた。
ゲート事故の発生である。
「……これが話に聞いていたやつだね」
「まさか本当に起こるとはな」
「どうしますか、ギルド長……あまり時間もありません」
「ひとまず状況を整理しよう」
こんな時こそ冷静になる必要がある。
イガラシはみんなを集める。
「ゲートは攻略された。表示があるから間違いないだろう」
『ゲートが攻略されました!
間も無くゲートの崩壊が始まります!
残り5:55』
ゲート攻略とゲート崩壊の表示は出ている。
つまりゲートそのものはデカサウルスの討伐を持って攻略となされたのだ。
「だが新たなタイムリミットと攻略条件が出現した」
『囚われし太古の存在が目を覚ましました!
間も無くゲートの外に出てきます!
残り0:24:18』
『特殊攻略条件:太古の存在を倒せ
失敗:死、太古の存在が解き放たれるまでの時間延長』
穴が空いた影響だろうか、攻略したのにも関わらず新たな攻略の条件が現れた。
「内容を読むに何かのモンスターの穴の下にいる。そしてタイムリミットを超えるとゲートの外に出てしまうようだ」
文言から推測するに何かが穴の下にいて、それがゲートの外に出てこようとしている。
「どんなものかは分からないが……これはゲート事故だ。おそらく難易度としてはCクラスを超えるだろう。B……あるいはAクラスかもしれない」
「だけどこのまま放置もできないね」
ゲート崩壊のタイムリミットの方はカウントが停止している。
一方でゲート事故のカウントは今も進んでいる。
モンスターが出てくるというゲート事故が完全に発生してしまうと分からないが、今のところゲート事故の方をなんとかしないとゲートすら消滅しないようだ。
「この感じを見ると……犠牲を出し続ければ時間は稼げるんでしょうね」
ゲート事故の攻略条件に注目する。
攻略するための条件はいい。
問題は失敗した時である。
死という重たい文言のほかに時間延長という言葉もある。
誰かが穴の中に入って犠牲になれば、それだけ攻略の準備を整える時間を作れるということだろう。
強制的に戦闘になるわけじゃないのに、どうして回帰前は犠牲者が出たのか不思議だった。
だがこうして時間がない中で攻略隊はモンスターが出ないように攻略を試みたのだ。
そして失敗。
けれどもそのおかげで時間ができて五十嵐ギルドはもう一度ゲート事故に挑んで攻略を成し遂げたのだろう。
「マズイ! 時間が……!」
『安全装置が起動します!
グェロケルクトンが自爆します!
0:00:07』
喜びも束の間、いきなり現れた自爆の表示に五十嵐ギルドの面々も動揺を隠せない。
十秒という時間は何も分からないのに、何かを判断するのには短すぎる。
「全員モンスターから離れろ!」
『安全装置が起動します!
グェロケルクトンが自爆します!
0:00:05』
イガラシが指示を出すと、さすがみんなは素早く従って飛び退くようにデカサウルスから距離を取る。
けれども離れただけで自爆から逃れられるのか、ということはみんなが思った。
「だいじょーぶ」
ふっと笑ってイヌサワが手を打ち鳴らした。
次の瞬間トモナリの目には部屋の真ん中で倒れるデカサウルスの姿が歪んで見えた。
「重力の壁」
『安全装置が起動します!
グェロケルクトンが自爆します!
0:00:03』
よく見るとデカサウルスを中心にして円を描くように地面が陥没している。
デカサウルスが歪んで見えるのはイヌサワがそれだけ強い力で重力を操作しているから。
今トモナリたちとデカサウルスの間に重力の壁が存在しているのであった。
『安全装置が起動します!
グェロケルクトンが自爆します!
0:00:00』
「ボン」
デカサウルスの体が裂けるように割れて閃光が走った。
トモナリもヒカリも思わず目を閉じて、ただ聞こえる轟音と振動に無事を祈るしかなかった。
デカサウルスが大爆発を起こして衝撃が広がったけれど、イヌサワが発動させていた重力による壁がその全てを遮断してくれた。
「んー、サングラスかけて正解」
いつの間にかサングラスをかけていたイヌサワは爆発の光景を見ていた。
重力の壁を突破しようとする爆発の威力はかなり強い。
余裕そうな表情を浮かべていたものの意外とギリギリであった。
巻き込まれていたらS級と呼ばれるイヌサワやミヤノでも危ないところだったかもしれない。
「みんな、平気かい?」
爆発が完全に収まったのを確認して重力の壁を消す。
爆発の影響でモワッとした嫌な空気が流れてくる中全員の無事を確認する。
「助かったよ、ユウ」
「一つ貸しかな?」
「ここまで何もしなかったくせに」
「じゃあ貸し借りなしか」
ミヤノもいざという時は動くつもりだった。
爆発を叩き切って被害を減らそうと考えていたがイヌサワのおかげでそんなことしなくてもよくなった。
「にしても大きな穴が……」
『囚われし太古の存在が目を覚ましました!
間も無くゲートの外に出てきます!
残り0:30:00』
『特殊攻略条件:太古の存在を倒せ
失敗:死、太古の存在が解き放たれるまでの時間延長』
「これは……!」
爆発のせいで地面に大きな穴が空いていた。
穴の中は暗くて見通せず、イヌサワが近づいた瞬間に表示が二つ現れた。
ゲート事故の発生である。
「……これが話に聞いていたやつだね」
「まさか本当に起こるとはな」
「どうしますか、ギルド長……あまり時間もありません」
「ひとまず状況を整理しよう」
こんな時こそ冷静になる必要がある。
イガラシはみんなを集める。
「ゲートは攻略された。表示があるから間違いないだろう」
『ゲートが攻略されました!
間も無くゲートの崩壊が始まります!
残り5:55』
ゲート攻略とゲート崩壊の表示は出ている。
つまりゲートそのものはデカサウルスの討伐を持って攻略となされたのだ。
「だが新たなタイムリミットと攻略条件が出現した」
『囚われし太古の存在が目を覚ましました!
間も無くゲートの外に出てきます!
残り0:24:18』
『特殊攻略条件:太古の存在を倒せ
失敗:死、太古の存在が解き放たれるまでの時間延長』
穴が空いた影響だろうか、攻略したのにも関わらず新たな攻略の条件が現れた。
「内容を読むに何かのモンスターの穴の下にいる。そしてタイムリミットを超えるとゲートの外に出てしまうようだ」
文言から推測するに何かが穴の下にいて、それがゲートの外に出てこようとしている。
「どんなものかは分からないが……これはゲート事故だ。おそらく難易度としてはCクラスを超えるだろう。B……あるいはAクラスかもしれない」
「だけどこのまま放置もできないね」
ゲート崩壊のタイムリミットの方はカウントが停止している。
一方でゲート事故のカウントは今も進んでいる。
モンスターが出てくるというゲート事故が完全に発生してしまうと分からないが、今のところゲート事故の方をなんとかしないとゲートすら消滅しないようだ。
「この感じを見ると……犠牲を出し続ければ時間は稼げるんでしょうね」
ゲート事故の攻略条件に注目する。
攻略するための条件はいい。
問題は失敗した時である。
死という重たい文言のほかに時間延長という言葉もある。
誰かが穴の中に入って犠牲になれば、それだけ攻略の準備を整える時間を作れるということだろう。
強制的に戦闘になるわけじゃないのに、どうして回帰前は犠牲者が出たのか不思議だった。
だがこうして時間がない中で攻略隊はモンスターが出ないように攻略を試みたのだ。
そして失敗。
けれどもそのおかげで時間ができて五十嵐ギルドはもう一度ゲート事故に挑んで攻略を成し遂げたのだろう。

