「今回僕のツテでね、来てもらったんだ」
「やたら大人しいと思ったらやっぱりお前も今回のこと知ってたんだな」
シノハラはイヌサワが大人しいと感じていた。
いつもなら軽い感じで口を挟んでもおかしくないのに余裕の態度で状況を見守っていことをいぶかしんでいた。
ゲート攻略について黙っていてもギリギリ理解はできるが、イヌサワが受け取っている研修生まで連れていくと聞いて黙っているはずがない。
知っていたから黙っていたのだなとシノハラは納得する。
「わぁ……ミヤノさんだ……!」
アサミは感動した目でミヤノのことを見ている。
ミヤノにしてもイヌサワにしても覚醒者としての能力の高さもあるけれど、顔も良いことで有名であった。
アサミにはややミーハー気質なところがあるとトモナリは思っていた。
「ともかく今回の攻略ではミヤノさんに力を貸してもらうことになった」
下手な覚醒者を集めるより強い覚醒者一人の方がよほど頼もしい。
五十嵐ギルドの全力に加えてミヤノまで来てくれれば研修生のリスクを補っても余りあるぐらいだ。
「準備を整えて二日後に攻略を開始する」
ミヤノまで呼ぶなんてトモナリも予想外のことであった。
ここまでするということはイガラシは本気でトモナリの話を受け止めてくれているようである。
もしかしたら覚醒者協会にトモナリの力について問い合わせたのかもしれない。
「久しぶりだね、アイゼン君」
「どうも、お久しぶりです」
攻略に向かうメンバーが発表されて、ミーティングは終わった。
ミヤノはトモナリに声をかけてきた。
覚えていてくれたのかという驚きがある。
「あの時よりも成長したようだね」
「もう少しだけ、強くなりました」
「有望な若者の成長は見ていて面白いよ」
ミヤノは笑顔を浮かべる。
回帰前の中でトモナリが接したS級の覚醒者はとっつきにくい人が多かった。
プライドが高い人もいれば性格的に問題がある人もいた。
イヌサワもミヤノもS級認定されている覚醒者である。
それなのに二人とも近寄りにくさはない。
イヌサワは少し変わり者な雰囲気はあるけれどおかしな人ってわけでもない。
「まさかここに来ているなんてね。大和ギルドに来てくれたらよかったのに」
「五十嵐ギルドに来る先輩が俺をサポーターとして指名してくれたので」
実際リストの中には大和ギルドの名前もあった。
しかしよく知らない先輩からの指名だったので行くつもりはなかったのである。
「よかったら君の研修はうちに来ないかい? 歓迎するよ」
「おい、ユウスケ! ここで勧誘するなよ!」
「ちょっと挨拶しただけだよ」
前にも誘われた。
興味を持たれていることはトモナリもはっきりと感じていた。
「トモナリ君はうちに来るのさ!」
「そんなこと言いました?」
イヌサワがトモナリの肩に手を回して抱き寄せる。
一言も五十嵐ギルドに行くとは言った覚えのないトモナリは苦笑する。
「ともかく君が参加するなら僕も本気を出さなきゃね。いいところを見せてアピールをしよう」
「じゃあ僕は手を抜いても大丈夫そうだね」
「助っ人に働かせるつもりか?」
「働いてくれるなら僕は何の文句もないよ」
友人だとは聞いていたが本当に親しいのだなと二人の会話を聞いていて感じられる。
「変わらないな」
「君もね」
ーーーーー
ギルドの仕事をこなしながらゲート攻略のために装備の整備などを進めた。
五十嵐ギルドには覚醒者装備を扱う専門家もいた。
二日寝ずにみんなの装備を点検までしてくれて万全の体制を整えることができた。
「いいか、常に警戒は怠るな。一階はまだ事故が起こる可能性は低いだろうが起きないとも言えないからな」
ゲートが発生した建物は崩れていた。
中から出てきたミニサウルスが壊してしまったのである。
五十嵐ギルドの全力を持って挑むというが五十嵐ギルドの覚醒者全員が入るわけではない。
ギルドハウスがある拠点や畑に他のモンスターが襲ってくるかもしれないので防衛のための人員は残す必要がある。
さらにゲートの外にも攻略失敗やゲートの異変を伝えるための見張りを立てておくことも攻略としては必要だ。
防衛要員は元々持ち回りで決められていたが、外の見張り要員はくじ引きで決められた。
「イヌサワ、研修生は頼むぞ」
「任せてください」
イガラシと数名が先にゲートの中に入って様子を直に確かめる。
ゲート事故にはゲートに入って攻略するまで出られなくなるなんてものまで存在している。
今回については先に調査隊を送っているのでそのようなゲート事故が起こることはないと分かっている。
だがそれでも一番初めにゲートに入って確かめるところはさすが慕われるギルド長だ。
中の安全が確認されてトモナリたちも中に入っていく。
トモナリたちは研修生でありCクラスゲートでも挑ませるにはやや厳しいところがある。
だから配置としては後方からついていく形になっていた。
三階層に分かれているゲートの中の一階は草原だった。
穏やかで、ゲートの中には珍しく弱く風が吹いている。
「やたら大人しいと思ったらやっぱりお前も今回のこと知ってたんだな」
シノハラはイヌサワが大人しいと感じていた。
いつもなら軽い感じで口を挟んでもおかしくないのに余裕の態度で状況を見守っていことをいぶかしんでいた。
ゲート攻略について黙っていてもギリギリ理解はできるが、イヌサワが受け取っている研修生まで連れていくと聞いて黙っているはずがない。
知っていたから黙っていたのだなとシノハラは納得する。
「わぁ……ミヤノさんだ……!」
アサミは感動した目でミヤノのことを見ている。
ミヤノにしてもイヌサワにしても覚醒者としての能力の高さもあるけれど、顔も良いことで有名であった。
アサミにはややミーハー気質なところがあるとトモナリは思っていた。
「ともかく今回の攻略ではミヤノさんに力を貸してもらうことになった」
下手な覚醒者を集めるより強い覚醒者一人の方がよほど頼もしい。
五十嵐ギルドの全力に加えてミヤノまで来てくれれば研修生のリスクを補っても余りあるぐらいだ。
「準備を整えて二日後に攻略を開始する」
ミヤノまで呼ぶなんてトモナリも予想外のことであった。
ここまでするということはイガラシは本気でトモナリの話を受け止めてくれているようである。
もしかしたら覚醒者協会にトモナリの力について問い合わせたのかもしれない。
「久しぶりだね、アイゼン君」
「どうも、お久しぶりです」
攻略に向かうメンバーが発表されて、ミーティングは終わった。
ミヤノはトモナリに声をかけてきた。
覚えていてくれたのかという驚きがある。
「あの時よりも成長したようだね」
「もう少しだけ、強くなりました」
「有望な若者の成長は見ていて面白いよ」
ミヤノは笑顔を浮かべる。
回帰前の中でトモナリが接したS級の覚醒者はとっつきにくい人が多かった。
プライドが高い人もいれば性格的に問題がある人もいた。
イヌサワもミヤノもS級認定されている覚醒者である。
それなのに二人とも近寄りにくさはない。
イヌサワは少し変わり者な雰囲気はあるけれどおかしな人ってわけでもない。
「まさかここに来ているなんてね。大和ギルドに来てくれたらよかったのに」
「五十嵐ギルドに来る先輩が俺をサポーターとして指名してくれたので」
実際リストの中には大和ギルドの名前もあった。
しかしよく知らない先輩からの指名だったので行くつもりはなかったのである。
「よかったら君の研修はうちに来ないかい? 歓迎するよ」
「おい、ユウスケ! ここで勧誘するなよ!」
「ちょっと挨拶しただけだよ」
前にも誘われた。
興味を持たれていることはトモナリもはっきりと感じていた。
「トモナリ君はうちに来るのさ!」
「そんなこと言いました?」
イヌサワがトモナリの肩に手を回して抱き寄せる。
一言も五十嵐ギルドに行くとは言った覚えのないトモナリは苦笑する。
「ともかく君が参加するなら僕も本気を出さなきゃね。いいところを見せてアピールをしよう」
「じゃあ僕は手を抜いても大丈夫そうだね」
「助っ人に働かせるつもりか?」
「働いてくれるなら僕は何の文句もないよ」
友人だとは聞いていたが本当に親しいのだなと二人の会話を聞いていて感じられる。
「変わらないな」
「君もね」
ーーーーー
ギルドの仕事をこなしながらゲート攻略のために装備の整備などを進めた。
五十嵐ギルドには覚醒者装備を扱う専門家もいた。
二日寝ずにみんなの装備を点検までしてくれて万全の体制を整えることができた。
「いいか、常に警戒は怠るな。一階はまだ事故が起こる可能性は低いだろうが起きないとも言えないからな」
ゲートが発生した建物は崩れていた。
中から出てきたミニサウルスが壊してしまったのである。
五十嵐ギルドの全力を持って挑むというが五十嵐ギルドの覚醒者全員が入るわけではない。
ギルドハウスがある拠点や畑に他のモンスターが襲ってくるかもしれないので防衛のための人員は残す必要がある。
さらにゲートの外にも攻略失敗やゲートの異変を伝えるための見張りを立てておくことも攻略としては必要だ。
防衛要員は元々持ち回りで決められていたが、外の見張り要員はくじ引きで決められた。
「イヌサワ、研修生は頼むぞ」
「任せてください」
イガラシと数名が先にゲートの中に入って様子を直に確かめる。
ゲート事故にはゲートに入って攻略するまで出られなくなるなんてものまで存在している。
今回については先に調査隊を送っているのでそのようなゲート事故が起こることはないと分かっている。
だがそれでも一番初めにゲートに入って確かめるところはさすが慕われるギルド長だ。
中の安全が確認されてトモナリたちも中に入っていく。
トモナリたちは研修生でありCクラスゲートでも挑ませるにはやや厳しいところがある。
だから配置としては後方からついていく形になっていた。
三階層に分かれているゲートの中の一階は草原だった。
穏やかで、ゲートの中には珍しく弱く風が吹いている。

