「これで全部…。ふぅ…。」
遠藤詩織はバツイチとなり、荷物をまとめて、アパートに引っ越してきた。
「疲れたなぁ…。どこか、ご飯食べに行こうかな…。」
荷解きも終わっていない、段ボールだらけの部屋である。詩織は携帯電話を取り出し、周辺の飲食店を探し始めた。
「実際に歩いてみないと分からないなぁ…。両隣くらいには挨拶、した方がいいのかなぁ?」
詩織にとっては、初めての一人暮らしだ。学生時代は、学生寮に入り、門限はあったがアルバイトしながら大学に通っていた。卒業後、社会人になってすぐに元夫と出会い結婚したが、彼はギャンブル依存性で、堪らず離婚したのだ。
「仕事も探さなきゃな…。実家に帰った方が良かったのかな…?」
詩織は自問自答を繰り返す。
「…はぁ…。取り敢えず、外に出てみよう。」
そう言い、詩織は小さなバッグに財布と携帯電話と部屋の鍵だけ入れて、出掛けることにした。
「お腹空いたな…。」
朝から引っ越しのため、何も食べていないことを思いだし、余計にお腹が空いたと感じる詩織だった。少し歩いたところに、小さなレストランがあったので、そこに入ることにした。
「いらっしゃいませ。1名様ですか?」
「はい。」
「こちらのお席へどうぞ。」
「ありがとうございます。」
「ご注文がお決まりになりましたら、お声掛けください。」
ウェイターがメニュー表と水を持ってきて、軽くお辞儀をすると静かにテーブルから離れた。
「どれにしようかな…。おすすめ、聞けば良かったかな?」
ふと、メニュー表の「日替わりランチ」に目がいった。
「これにしよう!…すみません、注文お願いします!」
「はい。お伺いします。」
「日替わりランチで、お願いします。」
「日替わりランチですね。本日のランチメニューは、ハンバーグとなっております。パンかライスお選び出来ますが、いかがなさいますか?」
「…、じゃあ、パンでお願いします。」
「かしこまりました。」
しばらく待っていると、料理が運ばれてきた。
「お待たせいたしました。ごゆっくりお召し上がりください。」
詩織は美味しそうに食べ、満足してレストランから出た。
詩織は再びアパートに戻り、荷解きを始めた。
「これ、いつになったら終わるんだろう…?」
深い溜め息をつきながら、作業を進める。簡単な家具の組み立ても、一人ではなかなか思うように進まない。そんなこんなで部屋が片付くまで一週間もかかってしまった。
「仕事、探さなきゃ。MOS検定、簿記、秘書検定の資格あるし、取り敢えず派遣会社に登録しようかな?」
詩織は携帯サイトで派遣会社を調べて、登録を行った。
派遣先は、若手イケメン社長、近衛隆二の大手株式会社 近衛クリエイティブだった。多くの動画クリエイターや、webデザイナー、イラストレーター、webライターなどが活躍出来る場を設け、会社だけでなく、オンラインでも仕事が出来る会社だ。
「仕事、早く見付かって良かった…!」
派遣先の会社のホームページを開いて見てみると、そこには近衛隆二社長の写真と、プロフィールが書かれていた。
「あれ?出身高校、私とおんなじなんだ…。私より2つ年下だから、後輩かぁ…。」
それにしても、写真で見るだけでも社長はイケメンだった。
「…なんて素敵な人なんだろう…。」
詩織は、まだ直接会ってもいないのに、ホームページに掲載された写真を見て、一目惚れしてしまったのだ。
「初出勤は来月1日からかぁ。…よし!頑張ろう!!」
気合いは十分だった。
いよいよ、詩織の初出勤日となった。詩織は緊張気味である。
「…きっと大丈夫…!」
そう、自分に言い聞かせ、緊張を解した。会社の受付で、
「今日から派遣でこちらに来ることになりました、渡辺詩織と申します。」
「わたなべ しおり様ですね。お待ちしておりました。では、秘書室までご案内いたします。」
そう言われ、詩織は一緒にエレベーターに乗り込む。エレベーターが8階で止まると、
「こちらで降りていただきます。」
廊下をスタスタ歩く受付スタッフの後を着いていく。
やがてドアの前で立ち止まり、ドアをノックする。
「失礼します。わたなべしおり様をお連れしました。」
詩織は受付スタッフがお辞儀をするのをみて慌てて、お辞儀をする。
「ありがとう。」
少し低めの落ち着いた感じの声が聞こえて、詩織が頭を上げると目の前には近衛隆二社長がいた。
「渡辺さん、今日からよろしくね。」
「はい…!よろしくお願いいたします!」
「そんなに緊張しないで。肩の力を抜いてください。」
「…はい。ありがとうございます。」
社長は詩織に笑顔を見せる。間違いなく、ホームページで見た、近衛社長の笑顔だった。詩織は嬉しさと恥ずかしさで赤面してしまう。
「急に秘書が辞めてしまったから、困ってたんだよ。」
「…引継とかは?」
「前任者が居ないから、僕が仕事内容教えるよ。」
「はい。お願いいたします。」
「これ、今週の僕のスケジュール、把握しておいてね。」
スケジュールはほぼ分刻みで細かく、そしてびっしりと詰まっていたので、詩織は驚いてしまった。
「あの…、社長はいつもこんなにスケジュールが詰まっているんですか?」
詩織は、近衛社長から渡されたスケジュール帳をじっと見つめながら、つい口に出してしまった。
「うん、最近は特にね。新しいプロジェクトがいくつか動き出したから。」
遠藤詩織はバツイチとなり、荷物をまとめて、アパートに引っ越してきた。
「疲れたなぁ…。どこか、ご飯食べに行こうかな…。」
荷解きも終わっていない、段ボールだらけの部屋である。詩織は携帯電話を取り出し、周辺の飲食店を探し始めた。
「実際に歩いてみないと分からないなぁ…。両隣くらいには挨拶、した方がいいのかなぁ?」
詩織にとっては、初めての一人暮らしだ。学生時代は、学生寮に入り、門限はあったがアルバイトしながら大学に通っていた。卒業後、社会人になってすぐに元夫と出会い結婚したが、彼はギャンブル依存性で、堪らず離婚したのだ。
「仕事も探さなきゃな…。実家に帰った方が良かったのかな…?」
詩織は自問自答を繰り返す。
「…はぁ…。取り敢えず、外に出てみよう。」
そう言い、詩織は小さなバッグに財布と携帯電話と部屋の鍵だけ入れて、出掛けることにした。
「お腹空いたな…。」
朝から引っ越しのため、何も食べていないことを思いだし、余計にお腹が空いたと感じる詩織だった。少し歩いたところに、小さなレストランがあったので、そこに入ることにした。
「いらっしゃいませ。1名様ですか?」
「はい。」
「こちらのお席へどうぞ。」
「ありがとうございます。」
「ご注文がお決まりになりましたら、お声掛けください。」
ウェイターがメニュー表と水を持ってきて、軽くお辞儀をすると静かにテーブルから離れた。
「どれにしようかな…。おすすめ、聞けば良かったかな?」
ふと、メニュー表の「日替わりランチ」に目がいった。
「これにしよう!…すみません、注文お願いします!」
「はい。お伺いします。」
「日替わりランチで、お願いします。」
「日替わりランチですね。本日のランチメニューは、ハンバーグとなっております。パンかライスお選び出来ますが、いかがなさいますか?」
「…、じゃあ、パンでお願いします。」
「かしこまりました。」
しばらく待っていると、料理が運ばれてきた。
「お待たせいたしました。ごゆっくりお召し上がりください。」
詩織は美味しそうに食べ、満足してレストランから出た。
詩織は再びアパートに戻り、荷解きを始めた。
「これ、いつになったら終わるんだろう…?」
深い溜め息をつきながら、作業を進める。簡単な家具の組み立ても、一人ではなかなか思うように進まない。そんなこんなで部屋が片付くまで一週間もかかってしまった。
「仕事、探さなきゃ。MOS検定、簿記、秘書検定の資格あるし、取り敢えず派遣会社に登録しようかな?」
詩織は携帯サイトで派遣会社を調べて、登録を行った。
派遣先は、若手イケメン社長、近衛隆二の大手株式会社 近衛クリエイティブだった。多くの動画クリエイターや、webデザイナー、イラストレーター、webライターなどが活躍出来る場を設け、会社だけでなく、オンラインでも仕事が出来る会社だ。
「仕事、早く見付かって良かった…!」
派遣先の会社のホームページを開いて見てみると、そこには近衛隆二社長の写真と、プロフィールが書かれていた。
「あれ?出身高校、私とおんなじなんだ…。私より2つ年下だから、後輩かぁ…。」
それにしても、写真で見るだけでも社長はイケメンだった。
「…なんて素敵な人なんだろう…。」
詩織は、まだ直接会ってもいないのに、ホームページに掲載された写真を見て、一目惚れしてしまったのだ。
「初出勤は来月1日からかぁ。…よし!頑張ろう!!」
気合いは十分だった。
いよいよ、詩織の初出勤日となった。詩織は緊張気味である。
「…きっと大丈夫…!」
そう、自分に言い聞かせ、緊張を解した。会社の受付で、
「今日から派遣でこちらに来ることになりました、渡辺詩織と申します。」
「わたなべ しおり様ですね。お待ちしておりました。では、秘書室までご案内いたします。」
そう言われ、詩織は一緒にエレベーターに乗り込む。エレベーターが8階で止まると、
「こちらで降りていただきます。」
廊下をスタスタ歩く受付スタッフの後を着いていく。
やがてドアの前で立ち止まり、ドアをノックする。
「失礼します。わたなべしおり様をお連れしました。」
詩織は受付スタッフがお辞儀をするのをみて慌てて、お辞儀をする。
「ありがとう。」
少し低めの落ち着いた感じの声が聞こえて、詩織が頭を上げると目の前には近衛隆二社長がいた。
「渡辺さん、今日からよろしくね。」
「はい…!よろしくお願いいたします!」
「そんなに緊張しないで。肩の力を抜いてください。」
「…はい。ありがとうございます。」
社長は詩織に笑顔を見せる。間違いなく、ホームページで見た、近衛社長の笑顔だった。詩織は嬉しさと恥ずかしさで赤面してしまう。
「急に秘書が辞めてしまったから、困ってたんだよ。」
「…引継とかは?」
「前任者が居ないから、僕が仕事内容教えるよ。」
「はい。お願いいたします。」
「これ、今週の僕のスケジュール、把握しておいてね。」
スケジュールはほぼ分刻みで細かく、そしてびっしりと詰まっていたので、詩織は驚いてしまった。
「あの…、社長はいつもこんなにスケジュールが詰まっているんですか?」
詩織は、近衛社長から渡されたスケジュール帳をじっと見つめながら、つい口に出してしまった。
「うん、最近は特にね。新しいプロジェクトがいくつか動き出したから。」



