「明宏坊っちゃん、お仕事の方はどうされたのですか?」

「あぁあれね。宝来家という地位に目がくらんだ女性に口説かれてさ。まぁそれが運悪く重役の息子の許嫁だったんだよね。」

「おお。修羅場ですね。」

「僕が使えないのも相まって、居づらくなったから辞めた。髪切れだのなんだのうるさかったし。」

「髪を切るのは、社会人として当たり前では?」

「まあまあ、これは僕のトレードマークだしさ。死んでも切りたくないわけ。」

「そうですか。」

明宏坊っちゃんは明宏坊っちゃんだな。いつも周りの人々に恵まれず、傷ついて逃げる。彼が傷つかず安心して働ける所はあるのだろうか。