その日の午後、一同は館内を調査することにした。それぞれ手分けして探索する中で、紗英と悠斗は地下室への階段を発見した。そこには古びた鉄製の扉があり、その表面には奇妙な模様と文字列が刻まれていた。
「鍵となる者よ、この扉を開けよ」
「鍵となる者……?」
紗英が呟く。その時、不意に悠斗がポケットから小さな鍵を取り出した。それは初日に高槻翔太から渡されていたものだった。
「これじゃないか?」
悠斗が鍵穴にそれを差し込むと、重々しい音を立てて扉が開いた。その先には暗闇しか見えず、不気味な空気だけが漂っている。
二人は躊躇しながらも中へ足を踏み入れた。そしてその奥で目にしたもの――それこそ、この物語全体を覆す“秘密”だった。

地下室の奥へと足を踏み入れた紗英と悠斗。そこは薄暗く、湿った空気が漂っている。懐中電灯の光が壁に映し出すのは、奇妙な模様や記号が刻まれた石壁だった。天井からは水滴がぽつりぽつりと落ち、静寂の中でその音だけが響いている。
「……何だここは。」
紗英が呟いた。その声には明らかな動揺が含まれている。
「ただの地下室じゃないな。」
悠斗も慎重に周囲を見渡しながら答える。「これは……何かの儀式用の部屋かもしれない。」
部屋の中央には古びた木製の机があり、その上には分厚い一冊のノートが置かれていた。ノートの表紙には「白石宗一郎」と書かれている。
「曾祖父の日記……?」
紗英は震える手でそれを開いた。中には達筆な文字でびっしりと何かが書き込まれている。二人はページをめくりながら、その内容に目を通した。