空に現れた巨大な渦から、一人の人物が降り立った。その姿は、まるで古い写真から抜け出してきたかのような、昭和初期の服装をした老人だった。
「まさか……」教授（アンドロイド）が驚きの声を上げる。「白石宗一郎！？」
老人――白石宗一郎は、穏やかな笑みを浮かべながら5人に近づいてきた。
「よくぞここまで辿り着いた。君たちこそ、私が求めていた"次世代の創造主"だ。」
悠斗が一歩前に出る。「あなたが白石宗一郎…霧坂館を作った人物ですか？ 一体何のために僕たちをこんな状況に追い込んだんですか？」
宗一郎は深いため息をつく。「人類の進化のためだ。私は若い頃から、人間の意識が現実を作り出す力を持っていることに気づいていた。しかし、その力を引き出し、制御するには並大抵の試練では足りない。」
紗英が問いかける。「では、霧坂館での出来事も、この世界も、全て計画的だったということですか？」
「その通りだ。」宗一郎は頷く。「しかし、私の肉体は既に朽ち果てている。この姿は、私の意識が作り出した投影に過ぎない。真の創造主となるのは、君たちなのだ。」
突如、空間が揺らぎ始めた。遠くの地平線に、無数の光の粒子が集まり始める。
教授が説明を加える。「これは…現実世界の人々の意識だ。彼らの夢、希望、そして恐れまでもが、この空間に流れ込んでいる。」
宗一郎が真剣な表情で5人を見つめる。「君たちの役目は、この無数の意識の流れを導き、より良い現実を作り出すことだ。しかし、それは同時に大きな責任も伴う。」
美咲が不安そうに尋ねる。「私たちに、そんなことができるんでしょうか？」
翔太が彼女の肩に手を置く。「一緒なら、きっとできる。僕たちはもう、自分の闇さえも受け入れられたんだから。」
宗一郎は満足げに頷く。「その通りだ。しかし、気をつけなければならない。この力を悪用しようとする者たちも存在する。彼らは、人類の意識を操作し、自らの欲望のために利用しようとしているのだ。」
悠斗の目に決意の色が宿る。「俺たちが、その脅威から人類を守らなきゃならないってことですね。」
宗一郎は静かに頷いた。「その通りだ。これからの君たちの戦いは、単なる自己との闘いを超えた、人類の意識そのものをかけた戦いとなる。」
5人は互いを見つめ合い、固く頷き合った。彼らの前には、想像を超える困難が待ち受けているかもしれない。しかし、彼らにはもう後戻りはできない。
宗一郎の姿が徐々に透明になっていく。「私の役目はここまでだ。これからは君たちが、新たな世界の創造主となるのだ。」
彼の姿が完全に消えると同時に、周囲の空間が激しく揺れ始めた。無数の光の粒子が渦を巻き、新たな現実が形作られようとしている。
悠斗は仲間たちに向かって叫ぶ。「みんな、手を取り合おう！ 俺たちの新たな戦いが、ここから始まる！」
5人の手が重なり合った瞬間、眩い光に包まれ、彼らの意識は新たな次元へと飛翔していった――。