黒い影は徐々に形を成し、巨大な人型の姿となって5人に迫ってきた。その姿は不定形で、まるで彼ら自身の恐怖や不安が具現化したかのようだった。
「あれは……私たちの内なる闇？」紗英が震える声で言った。
教授が頷く。「そうだ。この世界では、あなたがたの潜在意識も現実化する。恐れや不安、抑圧された感情――それらすべてが形を持つのだ。」
悠斗は拳を握りしめた。「じゃあ、俺たちはそれと戦わなきゃならないのか？」
「いや、"戦う"のではない。」教授は静かに言った。「それを理解し、受け入れる必要がある。」
その言葉に、美咲が不安そうに尋ねる。「でも、どうやって？」
突如、黒い影が5人に襲いかかった。しかし、その瞬間、翔太が一歩前に踏み出した。
「俺から行ってみる。」彼は決意を込めて言った。
翔太は目を閉じ、深呼吸をした。すると、黒い影の一部が彼の方へ引き寄せられ、彼の体を包み込んだ。
「翔太！」他の4人が叫ぶ。
しかし、数秒後、翔太の体から光が放たれ、黒い影が消えていった。彼は目を開け、安堵の表情を浮かべた。
「大丈夫だ。」翔太は微笑んだ。「俺は……自分の弱さを認めることができた。それを受け入れたら、恐れが消えていったんだ。」
この光景を見て、残りの4人も勇気を得た。一人ずつ、彼らは自分の内なる闇と向き合い、それを受け入れていった。
最後に残ったのは悠斗だった。彼の前に現れた影は、特に濃く、大きかった。
「俺の中にはこんなにも闇があったのか……」悠斗は呟いた。
紗英が彼の肩に手を置いた。「大丈夫よ、悠斗。あなたは一人じゃない。」
その言葉に力を得て、悠斗は自分の闇に向き合った。彼の中にあった後悔、自責、そして恐れ――それらすべてを認め、受け入れていく。
光が闇を貫いた瞬間、周囲の景色が一変した。霧が晴れ、彼らの前には美しい楽園が広がっていた。
教授が満足げに頷いた。「よくやった。これが第一歩だ。自分自身を理解し、受け入れることで、初めてこの力を正しく使うことができる。」
5人は達成感に満ちた表情で互いを見つめ合った。しかし、その瞬間、遠くの空に異変が起きた。巨大な渦が現れ、何かが降り立とうとしている。
「まだ終わりじゃないようね。」紗英が緊張した面持ちで言った。
悠斗は決意を新たにする。「ああ、これは始まりに過ぎない。俺たちにはまだやるべきことがある。」
5人は再び手を取り合い、新たな挑戦に向けて歩み出した。彼らの意識が作り出す世界で、さらなる試練と真実が待ち受けている――。