悠斗が目覚めた時、彼は山奥の小道に立っていた。振り返ると霧坂館は跡形もなく消え去っており、ただ静かな森だけが広がっている。ポケットには一枚の紙切れ――そこには紗英からと思われるメッセージが書かれていた。
「あなたなら、この狂気から何か意味あるものを見つけられると信じています。」
悠斗はその紙切れを握りしめながら歩き出した。その背後では風が吹き抜け、どこからともなく館そのものの笑い声のような音が響いていた――それとも、それはただ風音だったのだろうか?