ベルマリク王国南部にあるこの孤島は、かつてエヴァンズという名の富豪が所有していたことで知られています。この島は森や入り組んだ海岸、草原などもあるかなり大きな島で、中央には聖女候補生の拠点となる洋館があります。
エヴァンズはこの島に、彼だけの国を作ろうとしていました。彼は、所有していた莫大な資金を、全てこの島に投資しています。
そして、この島は、彼の望みどおりに開発されていきます。島の真ん中に位置する豪華な洋館を筆頭に、島のあちこちに彼が望んだ建築物が建てられました。
しかし、志半ばにして、エヴァンズはこの世を去ってしまいました。彼が亡くなってから、すぐにこの島の開発は止まってしまいます。エヴァンズには妻がいましたが、この島の開発をよく思っておらず、この島は彼女によって開発途中で放棄されてしまったのです。
そのため、この島には作りかけのまま廃墟となってしまった建築物が多数存在します。
そして、現在はこの島をエドワードという貴族が買い取り、別荘として利用しています。彼は別荘を利用しない期間、希望者にこの島の施設を貸し出していました。今回、ローア聖教会が聖女候補の選抜の地として、この島をエドワードから借り受けて利用することにしたのです。
ビンセントの説明を聞き終えた候補者たちは、まだお互いの腹の中を探り合っているのか、各々が単独で行動しています。
(私たちは行動を監視されている。私は聖女になる気はさらさら無いけど、中途半端に他の候補者と絡んで、足を引っ張られたり面倒なことに巻き込まれるのは避けたい。だから、現時点で私が他人と組むメリットはないわ)
カタリナは当面の間、一人で行動することにしました。
「まずは島の中にどんな場所があるのか調べておかないとね」
カタリナは島内を調査するため、必要な荷物をまとめて洋館から一人で外へと出ました。彼女はジョーカーを警戒するために周囲に気を集中させながら歩いていきます。
「初日のうちに高台に登って、ある程度この島の地図を作成しておこう。後でかならず役に立つはずだから」
カタリナは高台へ登ると、カバンから単眼鏡、作図用紙、筆記用具、そしてコンパスを取り出し、地図を描き出しました。天気が良く、空気が澄んでいたため、島の端まではっきりと見渡すことができます。
「へえ、いい眺めね。思ったよりずっと大きな島だわ。これは、探索するのに結構時間がかかるわね。後は、ジョーカーに追われた時のために、逃げる手段を考えておかないと……」
カタリナは地図の真ん中に洋館を描きこんでから、慎重に海岸線を描き込んでいきます。単眼鏡で海岸を確認しながら、カタリナは島の大体の形を描くことができました。地図を描いている間も、彼女はジョーカーへの警戒を怠りません。
「あのビンセントという男の説明だと、仮にジョーカーに追いかけられたとしても、洋館まで逃げることが出来ればいいのよね。地図を描き終わったら逃走用のルートを確認しに行こうかな」
次にカタリナは、高台から確認できるこの島の主要な目標物を単眼鏡で確認しながら、地図に落としこむことにしました。
「この島での生活に慣れるまでは、なるべく洋館の近くで活動した方がよさそうね。そして、なるべく昼間に行動したいけど、もし、夜に外で行動することになったら、なるべく灯りを使わないように、暗さに目を慣らしておく必要があるわ」
カタリナは単眼鏡を覗き込んで、島の中に点在する奇妙な建築物を確認しながら、その場所を地図に描きこんでいます。
「面白そうな建物がいくつかあるわね。余裕が出来たら、島にある建築物も見てみたいな」
彼女は地図上に高台から見える目標を全て描き終えると、すべての道具をカバンへしまいこみました。
「さて、地図も描き終わったし、道を確認しながら洋館に戻りますかね」
カタリナはジョーカーに見つからないように、気配を消しながら慎重に洋館へと戻りました。
エヴァンズはこの島に、彼だけの国を作ろうとしていました。彼は、所有していた莫大な資金を、全てこの島に投資しています。
そして、この島は、彼の望みどおりに開発されていきます。島の真ん中に位置する豪華な洋館を筆頭に、島のあちこちに彼が望んだ建築物が建てられました。
しかし、志半ばにして、エヴァンズはこの世を去ってしまいました。彼が亡くなってから、すぐにこの島の開発は止まってしまいます。エヴァンズには妻がいましたが、この島の開発をよく思っておらず、この島は彼女によって開発途中で放棄されてしまったのです。
そのため、この島には作りかけのまま廃墟となってしまった建築物が多数存在します。
そして、現在はこの島をエドワードという貴族が買い取り、別荘として利用しています。彼は別荘を利用しない期間、希望者にこの島の施設を貸し出していました。今回、ローア聖教会が聖女候補の選抜の地として、この島をエドワードから借り受けて利用することにしたのです。
ビンセントの説明を聞き終えた候補者たちは、まだお互いの腹の中を探り合っているのか、各々が単独で行動しています。
(私たちは行動を監視されている。私は聖女になる気はさらさら無いけど、中途半端に他の候補者と絡んで、足を引っ張られたり面倒なことに巻き込まれるのは避けたい。だから、現時点で私が他人と組むメリットはないわ)
カタリナは当面の間、一人で行動することにしました。
「まずは島の中にどんな場所があるのか調べておかないとね」
カタリナは島内を調査するため、必要な荷物をまとめて洋館から一人で外へと出ました。彼女はジョーカーを警戒するために周囲に気を集中させながら歩いていきます。
「初日のうちに高台に登って、ある程度この島の地図を作成しておこう。後でかならず役に立つはずだから」
カタリナは高台へ登ると、カバンから単眼鏡、作図用紙、筆記用具、そしてコンパスを取り出し、地図を描き出しました。天気が良く、空気が澄んでいたため、島の端まではっきりと見渡すことができます。
「へえ、いい眺めね。思ったよりずっと大きな島だわ。これは、探索するのに結構時間がかかるわね。後は、ジョーカーに追われた時のために、逃げる手段を考えておかないと……」
カタリナは地図の真ん中に洋館を描きこんでから、慎重に海岸線を描き込んでいきます。単眼鏡で海岸を確認しながら、カタリナは島の大体の形を描くことができました。地図を描いている間も、彼女はジョーカーへの警戒を怠りません。
「あのビンセントという男の説明だと、仮にジョーカーに追いかけられたとしても、洋館まで逃げることが出来ればいいのよね。地図を描き終わったら逃走用のルートを確認しに行こうかな」
次にカタリナは、高台から確認できるこの島の主要な目標物を単眼鏡で確認しながら、地図に落としこむことにしました。
「この島での生活に慣れるまでは、なるべく洋館の近くで活動した方がよさそうね。そして、なるべく昼間に行動したいけど、もし、夜に外で行動することになったら、なるべく灯りを使わないように、暗さに目を慣らしておく必要があるわ」
カタリナは単眼鏡を覗き込んで、島の中に点在する奇妙な建築物を確認しながら、その場所を地図に描きこんでいます。
「面白そうな建物がいくつかあるわね。余裕が出来たら、島にある建築物も見てみたいな」
彼女は地図上に高台から見える目標を全て描き終えると、すべての道具をカバンへしまいこみました。
「さて、地図も描き終わったし、道を確認しながら洋館に戻りますかね」
カタリナはジョーカーに見つからないように、気配を消しながら慎重に洋館へと戻りました。



