ここは、ローア大陸の南部にあるベルマリク王国。この国には聖女がいて、その加護の力によって、国に幸運をもたらしています。

 ベルマリク王国では、ローア聖教会という組織が、数年に一度、聖女候補の中からもっとも聖女にふさわしいと認めた女性を聖女として選出していました。

 今回、聖教会は、聖女候補の中でまだ聖女として加護の能力を発現していない者たちを集めて、とある試練を与えることにしました。この試練は、彼女たちを極限状態に置くことで、無理矢理加護の能力を発現させることを目的としています。

 しかし、これは表向きの理由でした。本当の理由は、使えない聖女候補を処分することです。聖女候補に選ばれた段階で、彼女たちは、国からかなりの援助を受けています。最近、ベルマリク王国の経済状況が悪化したため、彼女たちは国民から批判の対象となってしまいました。その批判を少しでも和らげるために、聖女候補の数を減らすことになったのです。

 さらに今回は、聖女ソフィアが国家反逆罪で処刑されるという前代未聞の事件が起きていたので、聖教会は慎重に聖女を選ぶ必要がありました。本来であれば、加護の能力を発現出来ていない聖女候補はそのまま追放すればいいのですが、今後、彼女たちが強力な加護を身につける可能性はゼロではありません。

 そのため、聖教会は試練によって、彼女たちを極限状態まで追い詰めて、聖女としてふさわしい能力を持っているかどうかを見極めようとしたのです。

 今回の試練はベルマリク王国南部の孤島で行われることになりました。とある貴族が所有している孤島で一ヶ月間もの間、選抜の試練が実施されます。この試練にはいくつかのミッションが設定されています。聖女候補たちは、ミッションとして、島の中にいる特定のモンスターを倒すこと、島の中に隠されたアイテムを見つけること、そして、ジョーカーと呼ばれるハンターに捕まらないように行動することが求められます。更に、聖女候補たちの試練中の行動は、常に気配を消した女性の試験官に監視されます。試験官の目的は、聖女候補の採点と、能力は使えないが、ここで目覚ましい活躍をした者を、聖女以外の役職にスカウトすることです。

 こうして、絶海の孤島で、聖女候補たちの限界サバイバルが始まりました。