「日夏くん」
「どっかいっといてくれっ!今苛々してるからっ」
はっきりと伝えてやると、友達は「ごめん」と去っていった。腹立ってるなら、言えばいいのに。去るのかよ、と余計に苛々する。
幸人は、ちっとも見舞いに来なかった。さすがに泣けた。
伯父が、病院に駆けつけてくれた。
「ひなちゃん!」
抱きしめられると、気が緩んで、いっぱい涙が出てきた。そうでなくても転校してこっち、自分のトラウマを刺激するような、嫌なやつにずっと絡み続けられたせいで、心が疲れ切っていたのだ。わあわあと声の限り、泣き叫ぶ。
「辛かったね。伯父さんに話してごらん」
「伯父さんっ……」
「可哀そうに、幸人くんは何をしてるんだか」
舌打ちをする伯父に頼もしくなる。けれど、同時に悲しくなった。日夏の友人である幸人を信頼してるんだとわかったから。
ことのあらましを話すと、伯父が恐ろしく怖い顔をして、腕を組んでいた。
「そうだったのか。まさか幸人くんが……」
「幸人のことは、叱らないでやってくれっ。たぶん、現実を認められないんだよ」
そんなことしても、なんの解決にもならないのに。幸人はきっと、お人好しで恐ろしく鈍いか、人に裏切られたことがないのだろう。いや、どっちもかもしれない。そんな幸人には、もどかしく思うときもあったけど、日夏はだからこそ親友として、幸人のことを守ってやらねばと思う。
「だから、伯父さん。助けてくれ」
幸人の目を、どうか覚まさせてやってくれ――。
日夏は、頭をさげたのだった。
「どっかいっといてくれっ!今苛々してるからっ」
はっきりと伝えてやると、友達は「ごめん」と去っていった。腹立ってるなら、言えばいいのに。去るのかよ、と余計に苛々する。
幸人は、ちっとも見舞いに来なかった。さすがに泣けた。
伯父が、病院に駆けつけてくれた。
「ひなちゃん!」
抱きしめられると、気が緩んで、いっぱい涙が出てきた。そうでなくても転校してこっち、自分のトラウマを刺激するような、嫌なやつにずっと絡み続けられたせいで、心が疲れ切っていたのだ。わあわあと声の限り、泣き叫ぶ。
「辛かったね。伯父さんに話してごらん」
「伯父さんっ……」
「可哀そうに、幸人くんは何をしてるんだか」
舌打ちをする伯父に頼もしくなる。けれど、同時に悲しくなった。日夏の友人である幸人を信頼してるんだとわかったから。
ことのあらましを話すと、伯父が恐ろしく怖い顔をして、腕を組んでいた。
「そうだったのか。まさか幸人くんが……」
「幸人のことは、叱らないでやってくれっ。たぶん、現実を認められないんだよ」
そんなことしても、なんの解決にもならないのに。幸人はきっと、お人好しで恐ろしく鈍いか、人に裏切られたことがないのだろう。いや、どっちもかもしれない。そんな幸人には、もどかしく思うときもあったけど、日夏はだからこそ親友として、幸人のことを守ってやらねばと思う。
「だから、伯父さん。助けてくれ」
幸人の目を、どうか覚まさせてやってくれ――。
日夏は、頭をさげたのだった。



