「幸人……」 涙まじりに、自分を呼ぶ和希に、幸人はぎゅっと胸が締め付けられていた。秋房のことを、好かないまでも一定の信用をおいていた自分を恥じる。おかげで、和希が辛い思いをした。 「もう大丈夫」 「ごめんなさい」 「謝ることなんて、一個もないだろ。怖かったな」 ひっと息をのんで、和希が幸人の背にすがった。「ごめんなさい」と繰り返す和希の顔を、覗き込む。涙にぬれた頬を包んでやった。 「好きだよ」 「ゆきちゃん」 「好きだ、和希」 そう言って、唇を重ねた。