季節は移り変わり、涼しくなってきた季節。
相変わらず、俺たちは一緒に部屋で筋トレを続けていた。
輪島から筋トレ用にと、茶色くて耳の垂れ下がった犬の可愛いワンポイントが胸元に入っている、つるつるした触り心地の黒いTシャツもプレゼントされた。洗い替えようにと、二枚も。しかもそのTシャツは輪島とお揃い。
――お揃いのTシャツを着て一緒に筋トレをするのが、なんか嬉しい。
最近はそれを着て一緒に筋トレをしている。輪島とお揃いのTシャツを着ると、筋トレが何倍もはかどる気がしている。
筋トレは基礎代謝が上がり、健康にも頭にも、そして精神にもいいらしい。
テストの成績も少しあがったし、喧嘩もしなくなった。最近はイライラもしない。
――筋トレ、すげーよ!!
だけど、あんまり筋肉の変化は感じない。
「どうしたら輪島みたいに筋肉つくんだろ。あんまり変わらねえ」と俺はいつもの筋トレタイムに呟いた。
「大丈夫だ。徐々に効果は現れている」と、俺の腕を触る輪島。触られると気のせいか、胸の鼓動が早くなった。それはただの筋トレの余韻か、それとも――。胸の鼓動が早くなるのおさまれ!と思っていると「俺のも、触ってみるか?」と輪島は筋肉モリモリポーズをしてアピールしてきた。あらためて見ると、やっぱり輪島の筋肉はすごい。俺の腕とは比べ物にはならない、大きな山がある。俺の筋肉が近所の公園にある山だとしたら、輪島の山は、名前なんだっけな……高くて有名な、カタカナ五文字のところみたいだ。触らせてもらうと、固くて凄かった。
「俺も、そんな風になりたい。カッコイーな!」
俺がそう言うと「そ、そっか?」と、輪島は頬を赤らめる。予想外過ぎる反応に俺の心の中が、たじたじしどろもどろした。
「お、俺もそんなふうになって、軽々と好きになった女の子をお姫様抱っことかしてみてーな」
「好きな女の子をお姫様抱っこか……」
なぜか輪島は少しかなしそうな表情をして、下を向く。
なんでだ?
じっと輪島を眺めていたら、急に俺をじっと見つめてきた。
「先輩!!」
「な、何?」
「先輩は、好きな女の子いるんすか?」
急に敬語になる輪島。
「いや、いないけど……」
「先輩は、好きな子をお姫様抱っこするんですか?」
じりじりと輪島が距離を詰めてくる。
「いや……」
「先輩、失礼します!!」
そう言うと輪島は俺を軽々と持ち上げて、なんとお姫様抱っこしてきた。
「先輩、軽い……。本当に可愛い」
俺が、可愛い?
輪島の顔が急にデレデレしだす。
「その小ささも、明るくてふわふわしてる髪の毛も、可愛い顔も。ちょっと天然な性格も……全部、好き」
言葉を放ったあと、輪島は「はぁ、幸せ」と呟く。なんか、俺の顔が熱くなってきた。そして心臓の鼓動も早くなって――。
「多分、俺も輪島が好きだわ」
「ほ、本当に?」
お姫様抱っこされていた俺を更に強く抱き締めてくる輪島。
「痛い、その分厚い筋肉でそんな強く抱きしめられたら、俺潰れる!!」
「ご、ごめんなさい!!」
焦って俺を降ろす輪島。
輪島は目を輝かせて俺を見て笑った。その笑顔が追い討ちかけるように、更にドキドキしてきて、俺の心臓がうるさくなった。そして俺も勝手に笑顔が込み上げてきた。
――俺は輪島のこと、いつの間にか大好きになっていたな。
「輪島、これからもずっと、筋トレしような」
「先輩……」
「鍛えて、今度は俺が輪島をお姫様抱っこする!」
そう言って、俺は輪島と腕を組み、笑いあった。
相変わらず、俺たちは一緒に部屋で筋トレを続けていた。
輪島から筋トレ用にと、茶色くて耳の垂れ下がった犬の可愛いワンポイントが胸元に入っている、つるつるした触り心地の黒いTシャツもプレゼントされた。洗い替えようにと、二枚も。しかもそのTシャツは輪島とお揃い。
――お揃いのTシャツを着て一緒に筋トレをするのが、なんか嬉しい。
最近はそれを着て一緒に筋トレをしている。輪島とお揃いのTシャツを着ると、筋トレが何倍もはかどる気がしている。
筋トレは基礎代謝が上がり、健康にも頭にも、そして精神にもいいらしい。
テストの成績も少しあがったし、喧嘩もしなくなった。最近はイライラもしない。
――筋トレ、すげーよ!!
だけど、あんまり筋肉の変化は感じない。
「どうしたら輪島みたいに筋肉つくんだろ。あんまり変わらねえ」と俺はいつもの筋トレタイムに呟いた。
「大丈夫だ。徐々に効果は現れている」と、俺の腕を触る輪島。触られると気のせいか、胸の鼓動が早くなった。それはただの筋トレの余韻か、それとも――。胸の鼓動が早くなるのおさまれ!と思っていると「俺のも、触ってみるか?」と輪島は筋肉モリモリポーズをしてアピールしてきた。あらためて見ると、やっぱり輪島の筋肉はすごい。俺の腕とは比べ物にはならない、大きな山がある。俺の筋肉が近所の公園にある山だとしたら、輪島の山は、名前なんだっけな……高くて有名な、カタカナ五文字のところみたいだ。触らせてもらうと、固くて凄かった。
「俺も、そんな風になりたい。カッコイーな!」
俺がそう言うと「そ、そっか?」と、輪島は頬を赤らめる。予想外過ぎる反応に俺の心の中が、たじたじしどろもどろした。
「お、俺もそんなふうになって、軽々と好きになった女の子をお姫様抱っことかしてみてーな」
「好きな女の子をお姫様抱っこか……」
なぜか輪島は少しかなしそうな表情をして、下を向く。
なんでだ?
じっと輪島を眺めていたら、急に俺をじっと見つめてきた。
「先輩!!」
「な、何?」
「先輩は、好きな女の子いるんすか?」
急に敬語になる輪島。
「いや、いないけど……」
「先輩は、好きな子をお姫様抱っこするんですか?」
じりじりと輪島が距離を詰めてくる。
「いや……」
「先輩、失礼します!!」
そう言うと輪島は俺を軽々と持ち上げて、なんとお姫様抱っこしてきた。
「先輩、軽い……。本当に可愛い」
俺が、可愛い?
輪島の顔が急にデレデレしだす。
「その小ささも、明るくてふわふわしてる髪の毛も、可愛い顔も。ちょっと天然な性格も……全部、好き」
言葉を放ったあと、輪島は「はぁ、幸せ」と呟く。なんか、俺の顔が熱くなってきた。そして心臓の鼓動も早くなって――。
「多分、俺も輪島が好きだわ」
「ほ、本当に?」
お姫様抱っこされていた俺を更に強く抱き締めてくる輪島。
「痛い、その分厚い筋肉でそんな強く抱きしめられたら、俺潰れる!!」
「ご、ごめんなさい!!」
焦って俺を降ろす輪島。
輪島は目を輝かせて俺を見て笑った。その笑顔が追い討ちかけるように、更にドキドキしてきて、俺の心臓がうるさくなった。そして俺も勝手に笑顔が込み上げてきた。
――俺は輪島のこと、いつの間にか大好きになっていたな。
「輪島、これからもずっと、筋トレしような」
「先輩……」
「鍛えて、今度は俺が輪島をお姫様抱っこする!」
そう言って、俺は輪島と腕を組み、笑いあった。



