「部屋じゃないところで話す? 輪島くんたちしばらく部屋に戻って来なさそうだけど、もし戻ってきて話を聞かれたら、あれだから……」
「そうだな」
輪島たちは休憩室を素通りするだろう、したらいいな!ということで、休憩室の、外からは見えない角でそっと話をすることにした。
「中谷は、どうやって付き合い始めたんだ?」
「僕は、秦くんにアドバイスをもらって『先輩が卒業したら、僕たち離れちゃうね?作戦』を実践したよ」
「なんだそれ、めんどくさそ……」
「いや、その作戦はめんどくさくないです」
秦が俺の言葉を遮り、強めにそう言ってきた。
おっ、そんな態度の秦は珍しいな!
「うん、たしかに面倒ではなかったよ。ふたりきりになった時に、夕陽を眺めながら僕がそのセリフを言うだけで、ぽんぽん話が進んでいったからね」
「そうなのか……で、そのセリフを言ったら、青木副部長はどんな反応したんだ?」
「『卒業したら俺たちはもう、会わないのか?』って、青木先輩が超焦ってて、可愛くて……」
話の途中で中谷はくくっと笑いだした。
「それで、どうしたんだ?」
「『ずっとこれからも会いたい』って言うから『だけど、共通点がなくなって僕に恋人なんてできたりしたら、僕は恋人のことばかり考えちゃうから本当に会えなくなるかも』って、たしかそんな感じのことを言ったら『俺が恋人になる』って!」
中谷の話を聞いてソワソワソワソワ気持ちが騒がしくなってきた。幸せそうでよかったな!って気持ちとそして、羨ましいなって気持ちがふたつ――。
「ねぇ、秦くんは矢萩くんと輪島くんについて、どう思う?」
「ふたりは両思いですよね?」
「やっぱり俺たちのこと、部員たちにバレてたんだな」
「はい、お姫様抱っこの件もありますけど。実はその前から、部活動中にふたりの視線が混ざり合いすぎていたので、気がついていました」
「そうなのか……輪島と恋人になりたいんだけど、秦はどうしたらいいと思う?」
「おふたりの場合は、僕の好みといたしましてはヤンキー受けの方が気持ち押さえきれなくなって『お前が好きだ……好きなんだよ! 俺と付き合ってくれよ』と泣きながら必死にうったえるのが理想ですが」
ヤンキー受けって、ヤンキーっぽいのは俺の方だから、どう考えても俺だよな?
――なんだ受けって? いや、それよりも。
「 ……俺からは、恥ずかしくて言えない」
「うーん。そしたら輪島くんから言わせると?」
「何か、いい方法あるのか?」
「じゃあ、こういうのはどうでしょうか?」
「なんだなんだ」と、秦に顔を近づける俺と中谷。
「『別に俺たち、付き合ってるわけじゃないんだし。作戦』です!」
「なんだそれ!?」
「そうだな」
輪島たちは休憩室を素通りするだろう、したらいいな!ということで、休憩室の、外からは見えない角でそっと話をすることにした。
「中谷は、どうやって付き合い始めたんだ?」
「僕は、秦くんにアドバイスをもらって『先輩が卒業したら、僕たち離れちゃうね?作戦』を実践したよ」
「なんだそれ、めんどくさそ……」
「いや、その作戦はめんどくさくないです」
秦が俺の言葉を遮り、強めにそう言ってきた。
おっ、そんな態度の秦は珍しいな!
「うん、たしかに面倒ではなかったよ。ふたりきりになった時に、夕陽を眺めながら僕がそのセリフを言うだけで、ぽんぽん話が進んでいったからね」
「そうなのか……で、そのセリフを言ったら、青木副部長はどんな反応したんだ?」
「『卒業したら俺たちはもう、会わないのか?』って、青木先輩が超焦ってて、可愛くて……」
話の途中で中谷はくくっと笑いだした。
「それで、どうしたんだ?」
「『ずっとこれからも会いたい』って言うから『だけど、共通点がなくなって僕に恋人なんてできたりしたら、僕は恋人のことばかり考えちゃうから本当に会えなくなるかも』って、たしかそんな感じのことを言ったら『俺が恋人になる』って!」
中谷の話を聞いてソワソワソワソワ気持ちが騒がしくなってきた。幸せそうでよかったな!って気持ちとそして、羨ましいなって気持ちがふたつ――。
「ねぇ、秦くんは矢萩くんと輪島くんについて、どう思う?」
「ふたりは両思いですよね?」
「やっぱり俺たちのこと、部員たちにバレてたんだな」
「はい、お姫様抱っこの件もありますけど。実はその前から、部活動中にふたりの視線が混ざり合いすぎていたので、気がついていました」
「そうなのか……輪島と恋人になりたいんだけど、秦はどうしたらいいと思う?」
「おふたりの場合は、僕の好みといたしましてはヤンキー受けの方が気持ち押さえきれなくなって『お前が好きだ……好きなんだよ! 俺と付き合ってくれよ』と泣きながら必死にうったえるのが理想ですが」
ヤンキー受けって、ヤンキーっぽいのは俺の方だから、どう考えても俺だよな?
――なんだ受けって? いや、それよりも。
「 ……俺からは、恥ずかしくて言えない」
「うーん。そしたら輪島くんから言わせると?」
「何か、いい方法あるのか?」
「じゃあ、こういうのはどうでしょうか?」
「なんだなんだ」と、秦に顔を近づける俺と中谷。
「『別に俺たち、付き合ってるわけじゃないんだし。作戦』です!」
「なんだそれ!?」



