最後の読者

●○●
それから、僕は後悔しまくりだった。

小山内くんのあの態度。
迷惑かもしれないと何度も頭をよぎったくせに、結局自分の思いを優先させてしまったこと。
その結果、小山内くんに嫌な思いをさせてしまったこと。

いくつもの失敗が耐えきれない後悔となり、僕の頭をぐるぐると支配する。
時を戻せるものなら昨日の僕に会って、全力で引き留めたい。


……それにしても
小山内くん、どうしてあんなこと言ったんだろう。

『親父の漫画のファンなんて、いるわけねーじゃん』

確かに最後に彼はそう言っていた。
それはあまりに悲しい言葉で、そう言ったときの声色もどこか悲しげだった。

おさない先生は日本中の誰もが知っている超人気作家とは言えないかもしれない。
それでも国民的漫画雑誌で連載していたのは事実だし、打ちきりになったとはいえ『暗殺者ロキ』を応援していた読者だって多くいたはずだ。現に僕だってその一人。

それとも……僕のような一読者ではわからないような悩みや悲しみがあったのだろうか。
おさない先生や。
その息子である小山内くんにも。