最後の読者

『正義の暗殺者ロキ』が連載されていたのは、僕が小学6年生のとき。
作者は、おさない洋司(ようじ)先生。
気弱な中学生ヒロキが、北欧神話のロキの力を受け継ぎ、その力で悪者に制裁を加えていくというダークアクションだ。
さっきも言ったが僕の最愛の漫画。……なのだが人気がでなかったのかすぐ打ちきりになってしまった。

おさない先生は、それから何回か読みきりをチャンプに載せていたが、連載に繋がることはなく、もう3年は作品を発表していない。


「…まあ、そこまで熱心なファンがいて作者も幸せだろうよ、打ちきりだけど。
……あ、作者といえば……神丘、知ってるか?」

「何が?」

「『ロキ』の作者の息子、この学校に通ってんだって」

「ええ!?ほ、本当?おさない先生の息子?」

「ああ、一年の小山内(おさない)淳司(じゅんじ)ってやつ。そいつと同中の後輩に聞いた。中学では漫画家の息子として割と知られてたって。打ちきりだけど」

「打ちきり、打ちきり言うなよ……。
でも、息子さん…一年ってことは僕よりひとつ後輩かあ」

……すごい情報だ。
おさない先生の息子がうちの学校に。
それが事実なら……会ってみたいかもしれない。