最後の読者

「この中では『キリタチセン』が割と好きかな。確かに人気順位低いみたいだけど、続いたら面白くなると思うんだよな」

「ふーん……。さすが神丘」

「さすがって何が?」

「打ちきり漫画に優しい」

「あのな〜!」

友人の言葉に思わず声をあらげる。

「僕は別に打ちきり漫画が好きなわけじゃない。大体『キリタチセン』はまだ打ちきりになってないし」

「いやいや、だってあれだろ。神丘の推しは伝説の一巻打ちきりじゃん」

「それは……つか何度も言うけど『ロキ』を打ちきり漫画としてくくるのやめてくれ。運悪く打ちきりになっただけですげえ名作なんだから。……ほら、読め!」

僕は部室の棚から一冊の漫画を取り出し机におく。
『正義の暗殺者ロキ』……数年前チャンプで連載していた、僕がもっとも愛する漫画だ。
ちなみに部室にあるものは、僕が家から持ってきた布教用の一冊。

「もう散々読んだって。……まあ、すげえつまらないってわけじゃねーんだけど……なんかなあ」

「同じ暗殺者モチーフの『アサメイ』と比べたら月とすっぽんっつーか……」

「何がすっぽんだって!?」