最後の読者

「………え」

「それで、そんなときに『暗殺者ロキ』を読んで、勝手に主人公のヒロキと自分を重ねたんだ。ヒロキも冴えなくて、いじめられっこで……だけど、そんな自分に負けずに勇気を出すことで、ロキの力と新しい居場所を手に入れるよね」

「……はい……」

「僕、それを読んだとき涙が出てきて、…僕も頑張らなくちゃって思った。自分を信じてみろって勇気をもらえた気がした。だから親に相談して、転校させてもらって、新しい学校でなんとか友達もできて、また学校に通えるようになったんだよ」

言いながら、また泣きそうになった。
胸があの頃のようにギュッと痛む。

「……『ロキ』より面白いと言われている漫画はきっとたくさんあるんだろうね。でもあのときの僕の支えになったのは『ロキ』だった。『アサシン・メイデン』じゃ駄目だった。他の漫画でも駄目だった。……『暗殺者ロキ』だったから、僕は勇気を出せたんだ。絶対、そう思う」

「神丘先輩……」

「価値がないわけないじゃないか。おさない先生が『ロキ』を描いてくれて本当に良かった。……そして、そう思っている人は僕の他にもきっといるはずだ」

「………」

小山内くんは黙り込んだ。