最後の読者

小山内くんがどうして!?
以前、迷惑そうにされたからなるべく関わらないようにしていたのに。
あ、もしかしておさない先生への手紙になにか失礼なこと書いてしまっていたのか?それなら謝らければ。

いや!待て待て!
その前にお悔やみの言葉を伝えないと。
小山内くんは……お父さんを亡くしたばかりなんだ……。

「……小山内くん……この度は……」
「神丘先輩、すみませんでした」

……え?
僕の言葉を遮るように、小山内くんが謝罪してきた。

「お、小山内くん?」

「本当はもう少し早く来ようと思っていたんスけど、親父の看病や葬儀でバタバタしていて、……本当にすみません」

「なんで……小山内くんが謝るの?」

「……神丘先輩、ずっと昔から親父のこと応援してくれていたんですね」

「!」

「俺……今まで声かけてくるのって、興味本位のやつとか、親父の漫画を打ち切りって馬鹿にするようなやつばっかりだったんで、神丘先輩もそうなんだと思ってて……」

「そう……だったんだ……」

丁寧な言葉遣いに、態度。
初対面のときの小山内くんとは別人のようだ。

でも……こちらが本当に小山内くんなのかもしれない。
今まで彼に接してきた『興味本位のやつ』たちに対する警戒が、初対面のときの彼を作ったのではないだろうか。

根拠はないが、そう思った。

「親父、神丘先輩のこと覚えていました。昔、ロキを連載していたとき、何回も手紙をくれたって……そう言ってました」

「ほ、ほ、本当…?」

「はい。神丘先輩が俺に預けた手紙、入院中の親父に渡したんです。
親父……泣いて、喜んでました」

「…………!」


──おさない先生……。


そのとき。
僕の頬に、涙がこぼれた。
ほんの一粒。勝手に。ぽろりと。