最後の読者

その夜。僕はそのまま眠ってしまった。
眠りに入る直前、ふと、以前に小山内くんが言っていたことを思い出した。

『親父の漫画のファンなんて、いるわけねーじゃん』

……小山内くん。
どうしてああ言ったのか。
どんな気持ちで言ったのか。

感想は個人の自由だ。面白いと思うのも、その逆も。それを話すことも。

それを聞きたくなくても聞いてしまうのも、仕方ない……のかもしれない。

でも、でもさ……
それでも僕は……

○●○

……それから二週間くらいして。
何となくまだ落ち込んだ気持ちでいた僕。
休み時間も誰とも話さず、ぼんやり過ごしていた。

すると、クラスメイトが教室の扉のところから僕を呼ぶ。

「神丘ー、お前に客ー」

「え、わかったー」

誰だろ。漫研のやつかな。
そう思って扉に向かった僕は『え!?』と声を上げた。


「……こんにちは。神丘……先輩」

「お、小山内くん!?」

扉の近くに少し気まずそうな顔で立っていたのは、スラリと長身のイケメン。小山内くんだった。